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北陸文化

【美術】館運営や制作補助も ボランティア充実図る 金沢21世紀美術館

「ミュージアム・クルーズ」でボランティアのメンバーとともに作品を鑑賞する児童=金沢21世紀美術館で

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市民参画さらに深く

 金沢21世紀美術館は本年度、館の運営に協力するボランティアの充実を図っている。ボランティア向けの新講座をスタートさせたほか、今秋に市内の施設や空き家などを使って日本、韓国、中国の作家が展示を展開する「変容する家」のプロジェクトで、制作から会場案内などを担うボランティアも募集。黒沢浩美学芸課長・交流課長は「市民参画はこの美術館のミッションの一つ。講座をボランティア同士の交流の場にしてもらえれば」と話す。 (松岡等)

 21美では開館当初から続く市内全小学校の四年生を対象に作品を鑑賞する「ミュージアム・クルーズ」などでボランティアが活躍する。今年は一年間に約四千百人の小学四年生が作品を鑑賞する予定だ。六日午前中には、同市木曳野小の四年生百四十人が訪れた。全員がガイダンスを受けた後、児童五、六人ほどが一つの班となり、それぞれにボランティア一人ずつがついて作品を見て回る。

 「こっちから見たらどう見えるかな」。作品を解説するのではなく、子どもたち自身が作品から何かを感じ取るよう促していく。いったん展示室を出て、班ごとに話し合いをした後、今度は児童だけで展示室を回ることで、より主体的な見方をできるようにする。

 本年度のミュージアム・クルーズのボランティアは六十一人。二十代の大学生から七十代まで年齢層も職業もさまざまだ。元会社員の仁歩義晴さん(75)は、スタート時から参加するベテラン。会社を定年後、新たな美術館ができたことで興味を持ち「最初の説明会で出会った人たちにみせられた」という。「美術といえば名画や大作だったが、感じたままでいいということを子どもたちから教えられる」と話す。

 初参加の主婦井出温美さん(29)は大阪府から金沢市に引っ越してきたばかり。アートマネージメントに興味があり、美術大学の通信講座で学ぶといい、「地方都市で評価の定まらない現代美術を展示の中心にするのはすごい。十歳ぐらいの子と接することは少ないので戸惑いもあるが、子どもたちからいい意見を引き出せるようになれば」と話し、クルーズ後のボランティア同士の交流にも興味津々のようだった。

     ◇

アトリエを訪問して作家の角永和夫さん(右から3人目)から話を聞く21美のボランティア=6月3日、石川県白山市で

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 本年度から始めたボランティア向けの新講座は「新しい自分と仲間をみつける10のレッスン」。現代美術の作品を見るだけにとどまらず、21美の建築や小学生の発達心理学からこどもに関する講座まで、さまざまな分野の専門家の講義やワークショップのメニューを用意した。

 四月にあった初回の神野真吾・千葉大准教授は「みることは学ぶこと」と題して、美術教育の移り変わり、古典的な作品であっても文脈によって見方が変わることを示しながら、「作品が一つの物であったとしても、その意味や価値は一つに還元されない」などと解説し、ボランティアたちが聞き入った。

 今後も日本の美術鑑賞教育の先駆的な存在といわれる元宮城県美術館教育普及部長の斎正弘さんによる「美術探検−10歳の人が図工でなく美術で世界を見るドキドキ」、21美建設の際にプロジェクトリーダーとしてかかわった吉村寿博さんによる「建築のウンチク!金沢21世紀美術館ができるまで」などが続く。

 また今月三日には、ボランティアのメンバーが作家のアトリエを訪問するツアーも実施した。開催中で小学生たちが見て回ったコレクション展「見ることの冒険」に作品が展示されている作家・角永和夫さんの石川県白山市にあるアトリエでは、角永さんから作品制作の過程などを直接、聞き、さらに作品への関心が高まったようだった。

     ◇

 21美は「東アジア文化都市2018金沢」の一環として美術館が主催する「変容する家」でもボランティアを募集。日本、中国、韓国の作家たちがそれぞれに市内の建物を活用し、「変容する家」をテーマに展示を繰り広げる。その際、ボランティアは作品制作の補助、会場案内、各国の文化を味わうプログラムなどに携わる予定で役割は大きい。六月二十二、二十三、二十七日に説明会があり、七月上旬から十一月上旬にかけて活動する。

 このほか、カフェのように美術館に集まり金沢の街と美術館について語り合う「まるびぃみらいカフェ」、夏休みに小学生が作家とともに作品づくりに取り組む「スタジオみる・つくーる」、「アートライブラリー」での書架の整理などでもボランティアを募集中。ボランティア登録や講座の参加は、(問)美術館広報室ボランティア登録係076(220)2814。

 

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