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北陸文化

【舞台】「珈琲時光」制作へ始動 侯孝賢監督の映画 日台共同で演劇化

オーディションを兼ねたワークショップで参加者に語りかける演出の鳴海康平さん(左端)=5月14日、金沢市の金沢21世紀美術館シアター21で

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 台湾映画の巨匠・侯孝賢(ホウシャオシェン)監督が日本で撮影した「珈琲時光」を演劇化する日本と台湾の国際共同制作プロジェクトが今秋に始まる。東京、台湾、津市に続き、来年二月に金沢21世紀美術館シアター21でも上演されることになり、石川県に縁のある俳優をオーディションで募集、メインキャストの一人に石川県野々市市在住の俳優・西本浩明さん(39)が選ばれた。 (松岡等)

金沢でもワークショップと選考会

 共同プロジェクトは、津市を拠点に演出家・鳴海康平さんが主宰する劇団「第七劇場」と、台湾・台北市の前衛的な演劇集団「シェイクスピアズ・ワイルド・シスターズ・グループ」とで二〇一六年にスタート。同年はドストエフスキー原作作品、一七年はジョージ・オーウェル原作「1984」を、日台双方の俳優が出演し両国で上演した。三回目の今回、新たに金沢も参加し、今年十月の東京を皮切りに四都市を巡回する。

 第七劇場は、一九九九年に鳴海さんと数人の俳優によって設立した劇団。言葉による物語だけに頼らず身体や空間を生かした作品づくりが評価を受け、国内だけでなく国際演劇祭への作品出品などで公演。二〇一三年まで東京を拠点に活動していたが、一四年に津市に移った。

 「珈琲時光」は小津安二郎の生誕百年を記念して侯監督が日本で撮影、一青窈さん、浅野忠信さんが主演した。日本と台湾の両方にルーツのある女性の生き方を静かに描く。台湾側の演出家・王嘉明(ワンチャンミン)さんが侯監督と友人だったことや、小津監督が三重県松阪市にゆかりがあることなどもあり、演劇化が実現した。

 過去二回と同様に日本、台湾双方の俳優が出演し、日本語、中国語の両方で演じられるという。鳴海さんは「六つの短編がそれぞれにつながるといった劇になる。日本にいると日本人の目線で海外のことを考えがちだが、舞台で台湾の人々の発想や表現を見ることで違いを感じるはず。この時代、違いを認め合うことが絶対に必要だと思う」

 第七劇場を含め、地方に拠点を移して活動する劇団が増えている。「劇団を維持するコストの面が大きいが、お客さんとのコミュニケーションの面で直接かかわりあえる実感がある」という鳴海さん。金沢での上演について「台湾では教科書に載るほど知られているダム技師の八田与一の故郷でもあり、金沢での上演は意義深い」と話す。

金沢公演は来年2月

 八月中旬ごろの顔合わせから芝居づくりが本格的にスタート。日本、台湾を行き来しながら稽古を重ね、十月二十四、二十五日に東京芸術劇場、十二月一、二日と八、九日に台湾・新北市、来年二月十、十一日に津市の三重文化会館、同月十六、十七日に金沢で公演を予定する。

日台共同プロジェクト「珈琲時光」への出演が決まった西本浩明さん

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「石川の役者代表のつもりで」

西本浩明さん出演へ

 西本浩明さんは石川県野々市市生まれ、在住。俳優としてだけでなく、音声言語指導、演出、脚本などでも活動している。「たまたま今回は自分が選ばれたが、石川県の役者の代表のつもりでやりたい」と意気込みを語る。

 五月十三、十四日に金沢21世紀美術館であったオーディションを兼ねたワークショップには三十六人が参加。うち十八人がオーディションとしての参加だった。

 学生時代から金沢で俳優としての活動をスタート。二〇〇三年に上京し、音声言語指導者・演出家である磯貝靖洋さん、日本舞踊家の花柳茂珠さんに師事した。一三年に地元に拠点を移し、一六年に演芸列車「東西本線」を結成。演劇が持つ可能性を多方面に展開し、今年五月には日本舞踊の中日名扇会公演の創作舞踊「平成から未来へ」の演出も手掛けた。

 西本さんは「過去二回の共同制作公演も見ているが、台湾の俳優さんたちのレベルはとても高い。自分のように金沢から外へ出た後、戻って活動をしている人は少ないので、できれば後進の人たちに見てもらいたい」と話した。

 

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