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北陸文化

【雨乃日珈琲店だより ソウル・弘大の街角から】(5) ゲストハウス

街に掲示されている「弘大ゲストハウス案内図」。緑色の家の形のサインがゲストハウスだが、実際はその何倍も存在する

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旬のビジネス過熱気味

 弘大の街はゲストハウスだらけだ。雨乃日珈琲店の二階物件も、昨年夏に美術学校から、外国人の出入りする宿泊施設へと変わった。

 ちょっと前まで、弘大にゲストハウスなんて数えるほどしかなかった。二〇一〇年十月の京郷新聞の記事には、近年ゲストハウスが「雨後のタケノコのように増えている」とあるが、それでも「ソウルに三十カ所」だけだったという。以降、外国人観光客が弘大に集うとともに、タケノコどころではない勢いで増加。一六年、区の制作した「弘大ゲストハウス案内図」には二百六十四カ所が登録されたが、エアーB&Bをはじめ民泊登録をしていない無許可ゲストハウスは、はるかに多いことが指摘されている。

 私が韓国に住みだした〇六年、弘大のゲストハウスといえば、中心部から徒歩三十分の住宅街にある「キムズゲストハウス」だけだった。住居が決まらない時に滞在した、何かと思い出深い場所だ。見知らぬ西洋人と頻繁に焼き肉屋に行くことになったし、次に住むことになる下宿の情報も、宿泊客の香港人から教えてもらった。オーナーのキム姉弟も私に良くしてくれ、何年もたった後にひょっこり当店に現れたこともあった。そんなキムズゲストハウスも、弘大の中心に宿が増えたことで残念ながら廃業してしまった。

「旅」(金石文字)2017年。テヘランの骨董屋で出合った古書を利用した作品

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 一八年現在、弘大の宿泊施設は飽和状態と言われているが、増加の勢いは止まらない。当店の周辺は一般住宅が多いのだが、続々とゲストハウスに代わっている。若い事業家たちは、ゲストハウス(エアーB&B)運営を旬のビジネスと捉えており、大家たちは、部屋を彼らに貸せば奇麗にリフォームしてくれると考えているようだ。

 私たちも店の近くに住まいを借りていたのだが、三月末、大家から突然「ゲストハウスにしたいから出ていってくれ」と言われてしまった。家賃を倍にするという。幸い、契約が切れる二週間のうちに、より好条件の家に出合い結果的には良かったのだが、ゲストハウスバブルに振り回された大変な二週間だった。(しみず・ひろゆき=ライター、いけだ・あさこ=書家、金沢市出身)

 (文・清水博之 書・池多亜沙子)

 

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