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北陸文化

【THE ARTIST】イラストレーター 中村佑介さん 誰でも手に入れられ、楽しめるのが価値

「高校生の音楽1」(左)と「角川新字源」

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 デビューから十六年、女の子を、それも憂いを含むような横顔の女の子を描いてきた。ロックバンド「ASIAN(アジアン) KUNG(カン)−FU(フー) GENERATION(ジェネレーション)」(アジカン)のCDジャケットで注目を集め、近年は漢和辞典や高校教科書の装丁など硬派な仕事も。

 「イラストは安価で手に入る複製されたもの。そこが一番好きですね」。幼いころ大流行したビックリマンシールに熱中した。「美術の世界では一点もので高価なものが喜ばれてきた。ビックリマンは大量生産なのに子供たちはみんな欲しがった。絵の価値じゃないですか、それって」

 論理的で言葉が豊富。創作哲学をこうも言う。「昔、ガサガサのAMラジオで聴いた曲に感動して録音してずっと聴いてました。音質なんか気にならなかった。誰でも手に入れることができて、みんなが楽しむことができる。それは本物の文化ですよね」

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 格闘ゲームが好きで、就職活動ではゲーム業界を志望した。ところが美少女ゲーム全盛の時代に「女の子が全く描けなかった」。これが、女の子を描きはじめたきっかけだから面白い。

 林静一さんが手掛けたロッテの「小梅ちゃん」を理想に置く肖像は「クラスに三人はいる」がイメージ。個性をそぎ落とすのは「幅広い年齢層の誰もが感情移入できるように」との狙いからだ。

 「ロマンチックで少し寂しそうな絵が気になっていたら、いつの間にか時代のスタイルになっていました」。画集『NOW』で、漫画家の近藤ようこさんがそう評している。繊細で感覚に訴えるような作品にも論理的な意図がある。そこに「時代のスタイル」となった理由があるのかもしれない。 (森本智之)

 ※国内外で文化を発信し、輝いている人を紹介します。 =随時掲載

◇なかむら・ゆうすけ 1978年兵庫県生まれ。40歳。大阪芸術大デザイン学科卒。アジカンのCDジャケットは互いの新人時代から手掛ける。森見登美彦さん、東川篤哉さん、赤川次郎さんらの書籍の装丁、ロッテ「チョコパイ」のパッケージも。画集『Blue』『NOW』は累計13万部を記録。大阪府在住。

 

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