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北陸文化

【コミュニティシネマ 街中銀幕から】 4月の一押し「ビッグ・シック〜」

 四月の一押し映画はパキスタン系のアメリカ人の実話を元に映画化した『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』だ。宗教や人種による差別、世代間のギャップや親の愛や人間関係とさまざまな問題を抱えながらも、自分らしく生きることに向かい合う一人の青年の姿を、笑いと涙で描いた傑作だ。

 アメリカ育ちのパキスタン人クメイルは、コメディアンを目指して日々シカゴの舞台に上がりながら、タクシーの運転手のような仕事をしている。実家はとても裕福で、家族からは弁護士になるよう勧められたり、パキスタンの女性とのお見合いをセッティングされている。慣習で、お見合いでパキスタン人と結婚することになっているのだ。しかし、アメリカ育ちのクメイルにとってはその慣習が性に合わない。

 ある日、クメイルは舞台を見にきてくれたエミリーという大学生と親しくなる。二人の付き合いは深くなっていくが、ある日エミリーはクメイルの家でお見合いの写真を見つけてしまう。エミリーから二人の将来について考えているのか聞かれた時に返答に詰まってしまったクメイル。エミリーは激怒し、別れを告げる。しばらくして失意のクメイルの元にエミリーが謎の病気で入院したという知らせが届く。エミリーのことが忘れられないクメイルは病院に駆けつけるが…。

 ほぼ無名のキャストということもあり、アメリカでは五館でのみ上映が始まったが、口コミで全米に広がる大ヒットに。アカデミー脚本賞にもノミネートされた。

 よくできたロマンチック・コメディーでもあるが、現在のアメリカ社会を描いた作品としても素晴らしい。クメイルたちの親世代のインド系の移民たちは一九八〇年代に米国へ渡ってきた時には、多くの人々がタクシーの運転手やコンビニやレストランの店員などをして暮らしていた。その後、勤勉な彼らは努力を重ね教育に力を注ぎ、次世代は現在のアメリカ社会で医者やエンジニアや弁護士など、ユダヤ人に次ぐ富裕層となっているという。

 移民を排斥しようとするトランプ政権下にある今のアメリカ社会でこの映画は絶大な支持を受けた。建国の歴史をさかのぼれば、人種を超えたさまざまな優秀な人たちが国を発展させてきた移民たちの国。ロマンスに笑って泣いて、さらに今のアメリカの一面を知ることができる。シネモンドでは五月十一日までの上映だ。

 (シネモンド支配人・上野克)

 

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