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北陸文化

【音楽】精鋭の輝きを前面に OEK指揮者に4月就任 田中祐子さんが抱負

4月に就任するOEK指揮者としての抱負を語る田中祐子さん

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3月4日、学生との合同公演 石川県立音楽堂

 オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の指揮者(レジデント・コンダクター)に田中祐子さんが四月から就任する。九月の新シーズンからは、芸術監督として初の外国人をトップにするだけに、アシスタント役としても期待されている。国内のほとんどの主要オーケストラと共演しながら、自身にとっては初めてのポスト。意気込みを聞いた。 (聞き手・松岡等)

 −OEKとはこれまでも共演してきたが、抱負を。

 初めてのポストが、OEKの指揮者であることをとても光栄に思っている。OEKは国際色豊かな精鋭メンバーが集まり、その高いアンサンブル力は唯一無二だと思う。ソリストの集団であるということを私自身が存分に感じ取って、一人一人が輝きながら演奏するという特徴を前面に出せるようにしたい。

 −どんな音楽をやっていきたいか。

 五年くらい前から、家にチェンバロを置いてバロックの勉強をしている。一つには、古典をプロフェッショナルとしっかりやりたいという思いからだ。

 もう一つはオペラ。池辺晋一郎先生のオペラ「高野聖」もそうだったが、邦人作曲家の作品を振らせていただく機会が多い。将来は日本の作曲家の作品を世界に発表できればという思いがある。

 あとはフランスの作品。日本の現代音楽の作曲家の多くがフランスで勉強されていて、通じ合うものがあると感じる。欧州なら最初はパリが受け入れられやすいとも思うので、そこをつなげていければ。

 −OEKから求められているものは。

 OEKの内側に入って仕事をしてもらうように言っていただいたのはすごくうれしかった。ゲストではなく、そういう意味での指揮者というポストだという話をしていただいた。

 OEKでは初めての外国人のマルク・ミンコフスキさんが“シェフ”になる。来日できる日数もそう多くはないと思うので、例えばオーディションに立ち会うというようなこともあり得るかなと思っている。

 ミンコフスキさんとOEKのお披露目公演がオペラ(ドビュッシー「ペレアスとメリザンド」)ということもあり、力を求めてくださっている。尊敬するマエストロに出会えたので、自分のほうから積極的にお手伝いをしたい。

 −ボルドー国立歌劇場で公演を視察し、ミンコフスキさんにも会われたそうだが、印象は。

 演奏だけだとダイナミックで、パワフルな印象もあったが、慎重に言葉を選ぶ、奥深い人だと思った。最初にバロックを中心に音楽活動をされてきたということもあり、言葉が軽くない人。笑顔の奥に、そういった音楽活動の積み重ねがしっかりある人だと感じた。

 そのアシスタントをできるのは自分にとって非常にプラス。尊敬する指揮者のサポートを、本番の指揮をやりながらできるという機会はそうはない。指揮科の学生のころから、できるだけ下積みをしっかりやりたいという気持ちがあったので、原点に返れるというか。事務局から手伝いをという話をいただいた時には二つ返事だった。

OEKと学生オーケストラの合同演奏会を前にリハーサルする指揮の田中さん=金沢市の金沢大角間キャンパスで

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 −OEKとは近く、大学生の合同公演で指揮する。

 OEKと一緒に演奏することで、学生の皆さんが何倍も力を発揮できる演奏にしたい。プロに埋もれていい演奏をするのではなく、一緒にやることで自分の力が大きくなるはず。

 練習ではOEKのメンバーが熱心なのに驚いた。普段いかに緻密なアンサンブルをしているのかを改めて知った。指導者としてでなく一緒にステージに立つので力が入る。質はもちろん、愛情があり、この合同公演が十四回も続く理由が分かった。

 メーンはドボルザークの交響曲第八番。大学生が重要なところを弾く。ボロディンの「ダッタン人の踊り」は、あまり聴けない曲でもあり、参加する地元の合唱団からも手応えを感じた。プロコフィエフの「古典交響曲」はOEKの魅力が出る作品。いいプログラムです。

 たなか・ゆうこ 1978年名古屋市生まれ。愛知教育大教育学部音楽科卒、同大学院修了と同時に東京音楽大学指揮科に特待奨学生として入学。卒業後、東京芸術大大学院指揮科修士課程に進み首席で修了。ブザンソン国際、ショルティ国際の両指揮者コンクールでセミファイナリスト。東京国際コンクール「指揮」部門入選。国内のほとんどのプロオーケストラに客演し、13年にクロアチア国立歌劇場リエカ管弦楽団に招かれ海外デビュー。12年の池辺晋一郎作曲オペラ「高野聖」の世界初演で副指揮者、プロンプター。15年藤原歌劇団の本公演ヴェルディ歌劇「椿姫」でオペラデビュー。NHK交響楽団首席指揮者パーボ・ヤルヴィ氏の公式アシスタントを務め、今年4月にOEK指揮者(レジデント・コンダクター)に就任する。

 田中祐子さんが指揮する第14回石川県学生オーケストラ&オーケストラ・アンサンブル金沢合同公演「カレッジ・コンサート2018」が三月四日午後二時から、金沢市の石川県立音楽堂である。

 同県学生オーケストラ(金沢大フィルハーモニー管弦楽団、金沢工業大室内管弦楽団)とOEK、OEK合唱団が共演。ボロディン「『イーゴリ公』よりダッタン人の踊り」(OEK&学生)、プロコフィエフ「古典交響曲」(OEK)、ドボルザーク交響曲第八番のプログラム。料金は千円(全席自由)。

 北陸中日新聞、石川テレビ放送が共催する。チケットは(問)石川県立音楽堂チケットボックス076(232)8632。

 

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