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北陸文化

【雨乃日珈琲店だより ソウル・弘大の街角から】(2) イ・ランが来た

「へへへへ」(2017年)。イ・ラン作詞・作曲『笑え、ユーモアに』を聴いて書いた作品

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歌に人としての魅力

 イ・ランというシンガー・ソングライターがいる。二〇一一年、雨乃日珈琲店で初めてライブをしてくれた韓国人ミュージシャンの一人だ。当時、弘大のさまざまな空間でライブを企画していたオーガナイザーのパク・ダハムが、まだ音源すら発表していなかった彼女の才能を見初め、当店に連れてきてくれたのが始まりだった。

 歌唱力や演奏力で聴かせるのではなく、彼女の核の部分をそのまま見せるような、不思議な魅力を持つ歌を聴いて私たちもすっかりファンになったが、彼女もなぜか当店のことを気に入ってくれたようだ。営業中にも、営業終了後の夕食時にも頻繁に訪れてくれるようになり、彼女が手掛ける漫画や映像作品(イ・ランは音楽以外にも多彩な表現活動を行っている)に、たびたび当店を登場させてくれた。ドラマの撮影で使いたいと言うので店を貸したら、当日になって「この役やって」と台本を渡された時は焦ったが。

「雨乃日コンサート」でのイ・ラン(右から2人目)=2012年3月、ソウル市で

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 セカンドアルバム『神様ごっこ』を発表してから、さらに注目を集めるようになった彼女。韓国大衆音楽賞で最優秀フォークソング賞を獲得し、授賞式の場でトロフィーを観客に売ってしまったパフォーマンスは、問題提起やユーモアがあり、何より彼女らしくて最高だった。今や、小さな雨乃日珈琲店で演奏してもらうのが申し訳ないほど人気ある存在になってしまったが、二〇一二年にイ・ランの金沢ライブを企画した際、ついでに私たちの結婚パーティーでも歌ってもらったことが、とても大切なこととして心に残っている。

 彼女の歌の魅力は、イ・ランという人間の底力にあると考えている。嘘(うそ)のない意見をずばずばと言い、人見知りしがちな私たちの懐にもぐいぐいと入ってくる。そんな彼女の表現が、普段生きづらさを感じている現代人の心に響くのは間違いなく、そしてそれは韓国でも日本でも変わらない。

 イ・ランは三月二十一日、また金沢で演奏してくれる。訪れた方の心にどんな影響を残していくのか、楽しみだ。 (しみず・ひろゆき=ライター、いけだ・あさこ=書家、金沢市出身)

 (文・写真・清水博之 書・池多亜沙子)

 

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