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北陸文化

【詩集】「出会わねばならなかった、ただひとりの人」 井崎外枝子さん出版

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 詩誌「笛」同人の井崎外枝子(としこ)さん(金沢市)が、詩集「出会わなねばならなかった、ただひとりの人」(草子舎)=写真=を出版した。二〇一五年一月に夫の宏一さんを八十三歳で亡くした井崎さんが、書き留めていた言葉をまとめたタイトルと同名の長編詩のほか、その前後に発表した十一編を収める。

 あとがきによれば、詩集のタイトルは、宏一さんの納骨の際に寺にあった法語カレンダーの言葉「出会わねばならない ただひとりの人がいる それは 私自身」から。つづられる詩は、長く人生をともにした人の突然の不在を生きる日々の、心のドキュメントのようだ。

 収められた詩編の多くに「雲」と「空」が登場するのは偶然ではない。そこに亡き人を探すかのような作者の思い。タイトル詩では「歯ブラシも湯飲みもそのままにして」「納骨、骨納めができない」と、喪失を嘆く思いが重なっていくが、その最後、「空を見る/空の見えるところにばかり行こうとする/身近なものはなにも見たくない」という言葉は痛切だ。

 しかし、長いこの詩を締めくくるのは「天と地の/無限が放つものを/受け止めよう/それは言葉にならぬ/言葉のようで」。改めて詩と向き合っていこうとする姿に打たれる。

 井崎さんは一九三八年石川県生まれ。日本現代詩人会、日本ペンクラブ会員。二〇〇二年の詩集「母音の織りもの」(能登印刷出版部)で第一回北陸現代詩人賞。ほかに「金沢駅に侏羅紀の恐竜を見た」(思潮社)など。 (松岡等)

 

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