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北陸文化

【映画】あふれる映画への愛 こども映画教室から生まれた映画 「ライオンは今夜死ぬ」

「ライオンは今夜死ぬ」の1シーン

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17日から金沢・シネモンド 21日、諏訪監督が来館

 金沢市で二〇〇四年に始まり全国に広がっている「こども映画教室」をモチーフに生まれた諏訪敦彦(のぶひろ)監督の新作「ライオンは今夜死ぬ」が十七日から三月九日まで、同市のシネモンドで上映される。フランス・ヌーベルバーグの申し子といわれる名優ジャンピエール・レオーふんする老俳優が、南仏のまばゆい光の中で子どもたちの映画づくりに関わりながら失われつつあった生の喜びを取り戻していく物語には「映画への愛」があふれている。

 死をどう演じたらよいか悩む老俳優ジャン(レオー)は、かつて愛した女性ジュリエット(ポーリーヌ・エチエンヌ)の屋敷を訪ね、幽霊となって現れるジュリエットと再会する。一方、ジャンは映画を撮影しようと屋敷に忍び込んだ子どもたちとも知り合い、おかしな映画撮影が始まる…。

 レオーは、フランソワ・トリュフォー監督の「大人は判(わか)ってくれない」(一九五九年)以来、トリュフォーの分身であるアントワーヌ・ドワネル役として数々の自伝的作品に主演。そのほかジャンリュック・ゴダール、ジャック・リベットらの映画にも出演し、ヌーベルバーグを体現する俳優となった。諏訪監督は九七年、「2/デュオ」で監督デビュー。二作目の「M/OTHER」は九九年のカンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞。フランスで活躍する一方、二〇〇八年から一三年まで東京造形大学長、現在は東京芸術大教授を務める。

 金沢で始まったこども映画教室は、小学生が三日間で脚本づくりから演技、撮影、上映までのプロセスを体験するワークショップ。子供たちだけでなく、大人にも映画の原初的な喜びを実感させてくれる試みだ。諏訪監督は一〇年に講師として参加した。本作での子どもたちの映画撮影の様子は、こども映画教室そのままだ。

 本作の冒頭、レオーのアップをとらえたカメラが引いて、それが映画撮影のテストだと判る時、あるいは子供たちとの撮影でレオーに「クペ!」(フランス語で「カット!」の意味)の声がかかる時、トリュフォーの映画撮影をめぐる喜悲劇「アメリカの夜」(一九七三年)の若いレオーを思い出さずにはいられなかった。そして、その邦題に「映画に愛を込めて」という副題がついていたことも。

 シネモンドでは二十一日午前十一時五十五分からの上映後、諏訪監督による舞台あいさつがある。

     ◇

 映画の歴史は一八九五年、フランス人のルイとオーギュストのリュミエール兄弟がシネマトグラフを発明した時に始まった。「工場の出口」「水をかけられた散水夫」「ラ・シオタ駅への列車の到着」など、兄弟が製作した映画は十年間で千四百二十二本。その中から百八本を選んで4Kで復元し、一本の映画にまとめた映画「リュミエール!」が、シネモンドで十七日から同時上映される。併せて見たい。 (松岡等)

 

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