トップ > 北陸中日新聞から > 北陸文化 > 記事一覧 > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

北陸文化

【写真】赤い写真は問う 家族とは 金沢出身 森栄喜さん新作

写真家の森栄喜さん

写真

 金沢市出身の写真家、森栄喜さん(41)の新作写真集「Family (ファミリー) Regained   (リゲインド)」(ナナロク社)はさまざまな家族像を写した。どの写真もあえて赤く彩られている。最初に覚える違和感はその赤色のせいだけではない。混乱した後、写真を見返し、赤色に目が慣れるとともに、「家族写真」から親密さや切なさ、独特の空気が漂い、それぞれの家族の物語に引き込まれる。(押川恵理子)

 森さんは「tokyo boy alone」(二〇一一年)で男性たちの孤独を、「intimacy」(二〇一三年、第三十九回木村伊兵衛写真賞受賞)で恋人たちの親密さを、さりげなく切り取った。新作では、同性の恋人と「家族になって子育てしたら」と思い描いた未来を、地元の石川県や東京都の親しい家族、恋人ら四十組の協力で形にした。

(C)EikiMori“FamilyRegained”2017CourtesyKENNAKAHASHI

写真

 彼らの住まいを訪れ、洋服を借り、その家族の一員になりきって自らも写真に収まった。だからどの写真も「本物の家族」ではない。それが違和感の原因かもしれないが、では家族をかたちづくるものは何なのか。血縁か、制度か、共に過ごした年月か、記憶か。父母やパートナーのことを私たちはどこまで理解しているのだろうか。写真はそう問い掛け、見る人は価値観が揺さぶられる。

 写真集のタイトルは、アダムとイブによって失われた楽園をキリストが取り戻すジョン・ミルトンの叙事詩「復楽園」(Paradise Regained)から着想した。「小さい楽園が現れては消える。エイズで亡くなった表現者とか、マイノリティーのアーティストに共鳴してしまう。おこがましいけれど、彼らが描ききれなかった世界を描いて提示したい」

 森さんはかつてこう語った。ポートレートは「他者との共同作業」であり、「人を撮るのも、他人と一緒に幸せになりたいから」。他者とつくりあげた「未来の家族」から、その静かな決意が伝わる。横A4判、九十二ページ。四千五百円(税別)。

     ◇

 石川・富山両県では石引パブリック(金沢市石引)、明文堂書店金沢野々市店(石川県野々市市粟田)、文苑堂書店福田本店(富山県高岡市福田)で販売。(問)ナナロク社03(5749)4976

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索