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北陸文化

【能楽おもしろ鑑賞法】14 能「籠太鼓」 「幽玄」とは違う趣

シテ中心主義と言われる能だが、ワキ方、狂言方も持ち味を生かしてドラマを展開する「籠太鼓」の一場面=2010年6月6日、石川県立能楽堂で

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 能というと幽玄という形容詞がすぐ出てくる。世阿弥が完成させた夢幻能(高貴な男女が旅僧の夢に現れ自分の生きざまを語る能)にはぴったりだが、まったく趣の異なる作品も多い。

 例えば現在能と呼ばれる作品群。歌舞伎や現代の演劇と同じく、生きている人間同士の葛藤を描いた能だ。その中でも必見の作品が金沢能楽会の二月定例能で上演される「籠太鼓」だ。

 登場人物は三人。他郷の者をいさかいで殺した清次(舞台には出ない)の妻(シテ)、清次の主人(ワキ)、その家人(狂言)。各役の特徴を生かしてドラマが展開する。

 粗筋は、牢(ろう)に入れた清次に脱獄された主人。牢番の家人に命じて清次の妻を代わりに入れ、太鼓を鳴らし続けて不眠にさせ、潜伏先を聞き出そうとする。妻はしらを切り通し、気が狂った体で主人を威圧する…。

 狂言方は小心者の家人の心理をユーモラスに描き、客席の笑いを誘う。狂言方が一役を担うことは他の作品でもあるが、ここまで笑いを誘う演出は珍しい。

 ワキ方演ずる主人は妻に寛大な処置をとる。家人にも鷹揚(おうよう)な対応だから、女性に甘い訳でもなさそう。そうしたいい男をサラリと描き、シテを浮き立たす。

 シテは気丈な女性の役だ。主人が牢から出すと言っても「これこそ(夫の)形見よ懐かしや」と拒絶。「この鼓を打ちて心が慰みたく候」と拷問を逆手にとる。

 幽玄とは違う趣。これを見ずに能は語れない。 (笛)

◇二月定例能番組(2月4日午後1時、石川県立能楽堂)

▽能「養老」(シテ広島克栄)

▽連吟「野守」(中村清ほか)

▽狂言「節分」(シテ炭光太郎)

▽能「籠太鼓(ろうだいこ)」(シテ高橋右任、ワキ北島公之、間狂言能村祐丞)

▽入場料=一般2500円(当日3000円)学生1000円、中学生以下無料(問)同能楽堂076(264)2598

 

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