トップ > 北陸中日新聞から > 北陸文化 > 記事一覧 > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

北陸文化

【映画】「羊の木」2月3日全国公開 「魚津ロケ イメージ湧いた」

映画「羊の木」のシーンから((C)2018「羊の木」製作委員会(C)山上たつひこいがらしみきお/講談社)

写真

 仮出所した男女6人の元受刑者を極秘に受け入れた過疎化する港町。全員が元殺人犯という6人は、地元の奇祭を通じて交わっていくが−。吉田大八監督の「羊の木」が2月3日、全国ロードショー公開される。漫画「がきデカ」などの巨匠・山上たつひこさん原作、いがらしみきおさん作画の同名漫画の映画化だ。主要な撮影は富山県魚津市と石川県志賀町で行われた。吉田監督は「他者とどう共生していくかという、これからの日本で一番重いテーマを考えるきっかけになれば」と語る。

  (松岡等)

吉田監督 他者との共生 現代日本のテーマ

香川さん 問題作 楽しんでもらえるように

 原作は、山上さんの想像を絶する設定による不穏極まる物語を、いがらしさんが不気味というほかない絵で表現した。雑誌連載中から作品に注目していたという井手陽子プロデューサーから映画化の打診を受けた吉田監督は「設定のおもしろさにひかれたし、映画化できればすごいことだとやりがいを感じた」。「クヒオ大佐」でも組んだ脚本家・香川まさひとさんと脚本を練った。

「他者とどう共生するかもテーマ」と映画「羊の木」の吉田大八監督=昨年10月、富山市の中日新聞富山支局で

写真

 「山上さんもいがらしさんもあこがれの人」という香川さんも「問題作をどうエンターテインメントに落とし込めるかを考えた」。原作で十人以上いた凶悪犯の数を六人に絞り、それぞれが背負った背景を描くことで、人間ドラマに厚みが増した。

 日本アカデミー賞の最優秀作品賞、監督賞を受賞した「桐島、部活やめるってよ」、「紙の月」などで人間の心に潜む光と闇を描いてきた吉田監督。「すぐ側にいる人のことが分からないという恐怖感は、どんな人間関係にもあること」

 元受刑者たちの受け入れを担当する主人公の市役所職員・月末を錦戸亮さん、その同級生を演じた木村文乃さんの素直さと、六人の受刑者を演じた松田龍平さん、北村一輝さん、優香さん、市川実日子さん、水澤紳吾さん、田中泯さんそれぞれの個性的な演技が対照的。その演出によってサスペンスに不可欠な不気味さは高まり、ストーリーはクライマックスに向けて一気に加速していく。

「どうエンターテインメントに落とし込むかを考えた」という脚本家の香川まさひとさん=昨年11月、金沢市の中日新聞北陸本社で

写真

 吉田監督は前作「美しい星」でも、三島由紀夫の原作を現在の日本の社会が抱える問題にとらえ直してみせた。今作についても「少子化による人口減少をどうしていくか。人の動きが流動化する中で、文化の異なる他者と、どう共生していくかという問題が一番の重いテーマ」と話す。

 作品は昨年十月、韓国・釜山国際映画祭でアジア映画の新たな発見を目的に新設されたキム・ジソク賞を受賞するなど高い評価を受け、公開前から期待は高まる。

 「美しい星」も石川県内でロケし、北陸での撮影が続いた吉田監督。「いろいろな港町を回ったが、魚津がぴたっとくるものがあり、イメージも湧いた。地元の協力も、これまでに経験がないほどだった」。クライマックスは、松本清張の「ゼロの焦点」でも知られる石川県志賀町のヤセの断崖で撮影。同地が日本映画のロケ地として新たな歴史を刻むことにもなった。

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索