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北陸文化

【本谷のこだわり学 重伝建の巻】 室戸市吉き良ら川がわ町(高知県室戸市)

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台風から壁守る水切り瓦

 高知県東部に位置する室戸市吉良川町は、江戸時代から林業が盛んで、火力の強い薪(まき)や木材は大阪や京都などで大量消費されました。明治時代には木炭の生産が始まり、大正時代には和歌山県から備長炭の製法を学んで品質を向上させて良質の備長炭を製造したので、商家や回船問屋が栄えました。しかし、昭和三十年代以降は産業構造や生活様式の変化に対応できず、次第に活力を失いました。

土佐漆喰の建物が並ぶ通り。壁面には段になった水切り瓦が見える=高知県室戸市吉良川町で

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 重伝建は東西約七百五十メートル、南北約二百五十メートルの範囲にあります。明治から昭和時代の建物が多く、主屋は切り妻造り桟瓦葺で平入(ひらいり)の形が一般的です。海に近い下町地区は雑貨屋、炭問屋、廻船業問屋などの建物が並び、山側の上町地区には「イシグロ」と呼ばれる石垣のある家が目立ちます。

 太平洋に面し、降雨や台風の多い所です。「雨は横から降るもの」と形容されるほどの強い雨と風から家屋を守るために、壁面から突き出た水切り瓦が漆喰(しっくい)(消石灰に繊維質などを加えて水で練ったもの)の外壁を守りました。壁面の漆喰は「土佐漆喰」と呼ばれ、艶があり防水性に富んでいます。

 吉良川まちなみ拠点施設「まちなみ館」で、吉良川の歴史や建物の見どころなどを分かりやすく紹介するパネルを熟読してから、約二時間かけて重伝建の範囲を歩きました。事前学習のおかげで、吉良川の良さと建物の魅力を満喫することができました。(本谷文雄=大衆文化研究家)

 ◆基本データ◆

 所在地 高知県室戸市吉良川町字東町、字西町及び字西松原の各一部

 種別 在郷町 面積 約18・3ヘクタール

 選定年 1997年

 選定基準 伝統的建造物群が全体として意匠的に優秀なもの。

 ※「重伝建の巻」は今回で終了。「本谷のこだわり学」の新シリーズは来年春ごろにスタートします。

 

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