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北陸文化

【コミュニティシネマ 街中銀幕から】 20年目に突入

 今年も残りわずかとなった。歳を重ねるにつれ一年が短く感じられる。学生の時には進学や進級など年度ごとの区切りがあったけれど、週替わりで映画を上映する日々を続けていると細かい区切りが続いているようでもある。過去に上映した映画のタイトルを見ると、印象に残っている映画は極端に昔か最近に上映したように感じられて、印象が薄い映画の場合は上映した時期は漠然と五年前か十年前に感じられる。

 今年は『この世界の片隅に』の大ヒットで幕を開けた。老若男女、幅広い層から支持を受けて八週間と当館では異例のロングラン、その後も各地のシネコンで上映され社会現象となったと言えるだろう。先日、劇場に張ってある『この世界の片隅に』のカレンダーを見たお客さんから「いい映画なんですってね。いつ上映しますか?」と尋ねられた。そのお客さんの元に評判が届くまで半年以上かかったようだ。およそ一年前の作品なのに今でも問い合わせがあるということは初めての体験だ。それだけ愛された作品なのだ。

 他にも『人生フルーツ』や『マンチェスター・バイ・ザ・シー』といった作品が好調だったが、個人的にはマレーシアのヤスミン・アフマド監督作『タレンタイム〜優しい歌』と、マクドナルドの創業の裏側を描いたドラマ『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』が印象に残っている。

 前者は音楽コンクール「タレンタイム」へ挑戦する若者たちの姿を描きながら、多民族国家であるマレーシアが抱える葛藤を映し出した作品で、社会派なテーマを普遍的な青春群像劇を通して笑いと涙を交えながら軽やかで爽やかな感動とともに描いた傑作だった。後者はグローバリゼーションと高度経済成長の黎明(れいめい)期の傑物の姿から、幸福とは何かを観客に問いかけるドラマ作品で、観客からさまざまな角度の感想を聞くことができた。

 ところで一九九八年十二月十九日に開館したシネモンドはまもなく二十年目に突入する。来年の二十周年に向けて、いろいろとイベントなどができれば良いなと思っている。

 まずは十六日に『ドゥミとヴァルダ、幸福についての5つの物語』という特集上映が始まるが、その初回の『ローラ』の上映後、シネモンド代表土肥悦子のトークイベントを開催する。

 『ローラ』は『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』などの作品で知られるジャック・ドゥミ監督の長編劇映画のデビュー作。土肥は、かつて日本初公開時に『ローラ』の宣伝を担当していた。その頃の思い出からシネモンド開館に至るまでなどをお話しできればと思っている。

(シネモンド支配人・上野克)

 

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