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北陸文化

【能楽おもしろ鑑賞法】13 能「翁」 なぞに着目 尽きぬ興味

翁が帰った後、黒い翁面をかけフルパワーで舞う三番叟=2008年4月26日、金沢市の石川県立能楽堂で

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 金沢能楽会の新年一月定例能は七年連続となる「翁(おきな)」で始まる。平安時代後期からあったという神事の舞。「なぞの翁」に着目して鑑賞してみるのも面白いだろう。

 シテの翁のほか、若手のシテ方が勤める千歳(せんざい)、狂言方が勤める三番叟(さんばそう)が舞う。昔はこの後、延命冠者(えんめいかじゃ)と父尉(ちちのじょう)が登場し、父尉も舞ったそうだ。

 千歳は、翁の面をかける前のシテが第一声を上げた後、はつらつと二回舞う。足拍子が印象的で、特に後半は足拍子で始まり足拍子で終わる。露払いといった風情だ。

 この間に面をかけたシテは「座していたれども」と立ち上がり「天下泰平、国土安穏、今日のご祈祷(きとう)なり」と高らかに宣言する。その後が不可解である。「あれはなじょの翁ども(観世流では『なぞの翁ども』)、そやいずくの翁ども」と遠くを見るからだ。いったい誰を見ているのだろう。

 天地人の足拍子を踏みながら厳粛に舞った後にも「よろこびの舞なれば、ひと舞まおう万歳楽」と、これから舞うような口ぶり。だが、面を外して帰ってしまう。舞うのは三番叟だ。フルパワーで大地の霊を呼び起こし、実りを引き出す「揉(もみ)の段」と「鈴の段」。後半は黒い翁面を着けており(父尉も翁面)、まさに「なぞの翁」である。

 金春流、金剛流では千歳も狂言方が勤める。「能にして能にあらず」と言われる翁。世阿弥以前の猿楽の様式を伝えているのか。興味は尽きない。 (笛)

◇一月定例能番組(1月7日午後1時、石川県立能楽堂)

 ▽能「翁」(シテ宝生和英、千歳木谷哲也、三番叟炭光太郎)

 ▽狂言「末広がり」(シテ能村祐丞)

 ▽能「船弁慶」(シテ佐野弘宜、ワキ平木豊男、間狂言炭哲男)

入場料=一般2500円(当日3000円)学生1000円、中学生以下無料(問)同能楽堂076(264)2598

 

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