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北陸文化

【アート】がんを語るアート 自身も患者だった ブライアン・ロベールさん

「がんについて語り合い、つながる場をつくりたい」と語るブライアン・ロベールさん

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11月3〜5日 金沢21美

 英国を拠点にするアーティストのブライアン・ロベールさん(36)が十一月三〜五日、金沢21世紀美術館を会場に、石川県内に住む患者や医療関係者らと共同で、がんや生と死について語り合う場をつくり、観客との対話型パフォーマンスとして発表する。自身もがん患者だったロベールさん。アートを通し、がんという「病気」と社会の関係をとらえ直す試みだ。

  (松岡等)

人と人の関係性テーマ

 作品のタイトルは「Fun with Cancer Patients がん患者とがんトーク:金沢編」。目指すのは「がんについて患者やその家族、医療関係者らがんにまつわる仕事をしている人々が、日常では話しにくいがんについて話題にし、その知識を伝える場を作り、『病気』という概念を通じて人々をつなげること」だ。

 ロベールさんは二十歳の大学三年生の時にがんの治療を受けた。「演出家を目指していたが、病気によって見られる存在になり、自分も演じる側になるようになった」。自らの個人的な経験が自分だけに起きることでなく、社会的な問題に結びついていると感じ、がんをテーマにした作品に結びついたという。

 あえて自らがんであることを公表し、人と人の関係性をテーマにするリレーショナル・アートとして活動。二〇一三年は英国バーミンガムで十代のがん患者の友人同士の関係をテーマに、一五年はベルギー・ゲントで乳がんの女性のパートナー捜しそのものを作品にした。

 金沢では昨年、制作に向けた調査でがん患者や家族、医療関係者らのサロン石川県がん安心生活サポートハウスつどい場「はなうめ」(金沢市本多町)と出会い、患者や家族らが社会の中で日常的にがんについて話せる場づくりを作品にできないか考えた。

 参加するのは、がん患者とがんで家族を失った人ら十七人と、医師、看護師、薬剤師ら医療関係者やカウンセラー、ネイリストら三十三人。今年六月にロベールさんが再来日し、十七人の患者、家族とともに市内で二日間にわたって合宿して互いの体験や社会に向けて感じていることなどを語り合った。医療関係者らとも四回のミーティングを重ねた。「日本では患者たちが怒りや悲しみ、無力感を口にすることが少ないとも感じた」という。

 会場のシアター21にはテーブルや畳敷きのコーナーを設け、患者らを司会役に訪れた人と関係者がテーマごとに三十分ほど会話。日常生活で話しにくく、タブー視される話題を居心地のよい中で遠慮無く話せるよう工夫する。

 企画にかかわる「はなうめ」の看護師木村美代さん(45)は「がん患者や家族はかわいそうな人ではないし、誰もが何らかの人生の困難を乗り越えるように、生きる知恵や強さ、優しさを身につけている人たち。がんに縁のない人や医療に携わる人にも決まった役割があるわけではなく、入れ替わりながら、時にがんという体験を超えた隣人として交流する関係にある。そのことに気づくいい機会になるはず」と期待している。

 毎日午前十一時〜午後三時、予約不要で、随時参加できる。企画は同美術館の「カナザワ・フリンジ」の一環として行われる。

金沢21世紀美術館の「カナザワ・フリンジ」

11月3〜5日

稲田俊輔さんが制作した「金沢奇妙弁当」=金沢21世紀美術館で

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 金沢21世紀美術館の「カナザワ・フリンジ」は、アーティストが滞在して地域の人とかかわりながら作品を制作、発表する企画。十一月三〜五日にロベールさんの作品のほか四つのプロジェクトが発表される。

 ◆TEI−EN Bento Project 料理人・飲食店プロデューサーの稲田俊輔さんを招き、金沢の郷土料理をアレンジした「金沢奇妙弁当」を制作。仕込みの見学やトークで、食について考える。

 ◆Walk With Me 台湾を拠点にするアーティストのウェイ・シンエンさんは、人の持つ社会性、物語性をテーマに写真や映像、パフォーマンス作品を制作。人と街の間にある親密な関係性に着目するシンエンさんと参加者が金沢の街を歩く。参加者には後日、手紙が届く。

 ◆あさのがわのいえ 浅野川常盤橋のほとりにある家に、首都圏で活動する路上生活経験のあるおじさんたちのダンス集団「新人Hソケリッサ!」が滞在。三、四日はダンスを上演、五日はトークがある。

新人Hソケリッサ!「日々荒野。」(2017Photo:AdamIsfendiyar)

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 ◆アーティストの目 金沢在住の振付師、ダンサーなかむらくるみさんの展示とパフォーマンス「彼らの特徴とその理由」、油彩、彫刻などを手掛ける村住知也さんの展示で構成。無意識に固定化された視点や価値観の新たな側面を発見する試み。

 多くのイベントに予約が必要。詳細は金沢21世紀美術館のHPから。(問)同美術館交流課076(220)2811

 

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