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北陸文化

ハンガリー国立歌劇場のオペレッタ「こうもり」 11月13日金沢公演

ハンガリー国立歌劇場によるオペレッタ「こうもり」の1場面

写真

セット、衣装 本場再現

 ハンガリー国立歌劇場のオペレッタ「こうもり」の引っ越し公演が十一月十三日、金沢市の金沢歌劇座である。ハプスブルク帝国の二大王立劇場としてウイーン国立歌劇場と並び称された伝統と実力を誇る劇場で、現地の舞台や衣装をそのまま再現。ヨハン・シュトラウス2世による優雅で軽快なワルツ、多彩な登場人部によるコミカルな芝居はオペレッタの最高傑作とも呼ばれる。公演を前に、音楽ジャーナリスト潮博恵さんに見どころを寄稿してもらった。

寄稿 潮博恵

 好きなオペラを質問すると、声が魅力のヴェルディ、重厚な管弦楽のワーグナー、いややっぱりモーツァルトだと好みは人それぞれに分かれる。ところが誰からも共通して好かれている作品が存在する。ヨハン・シュトラウス2世作曲のオペレッタ『こうもり』だ。

 『美しき青きドナウ』に代表されるように「ワルツ王」として多くの名曲を残したシュトラウスは、台詞(せりふ)と踊りが入ったカジュアル版オペラとも言うべきオペレッタにおいてもこの最高傑作を生み出した。

 ストーリーは、お金持ちの夫妻と彼らを取り巻く人々がそれぞれに事情を抱え、別の人物に扮(ふん)して出掛ける舞踏会の一日を描く。収拾つかなくなるかと思われた騒ぎを大団円へ導く台詞が「すべてはシャンパンのせい」という一言だ。

 文字で読むと実にたわいないが、作品が初演されたのは一八七四年。当時のウィーンは市民が経済的に成功して力を持ち、街も城壁が取り壊されて環状線を中心に開発が進み、一八七三年に万国博覧会が開催されて上昇マインドがどこまでも続くかに見えた直後、株価の大暴落が起きて一気に暗雲が立ち込めた世相のただ中。だからこそ、現実への不安を一時忘れさせてくれる『こうもり』の華やかな世界は人々から圧倒的に支持された。

 観客が余計なことを考えずに心から楽しめる、この長所は作品が時代と場所を超えて変わらぬ人気を誇っているゆえんでもある。

 さて、そんな『こうもり』が今秋、ハンガリー国立歌劇場の引っ越し公演で金沢にお目見えする。

 同劇場はオーストリア・ハンガリー帝国時代の一八八四年にオープンし、グスタフ・マーラーを筆頭に名だたるアーティストが活躍してきた歴史を持つ。その歌手や指揮者、オーケストラ、合唱団やバレエ団が来日し、舞台セットや衣装まで本場そのままの舞台が実現する。

 見どころはまず、第二幕にヒロインが歌う、ハンガリーの民族舞踊の音楽チャールダーシュ。本家本元が生み出すリズムをぜひ体感したい。また、舞踏会の場面では、ポルカやワルツなどの音楽が自由に挿入されるが、その選曲とバレエにも注目だ。

 そしてオペレッタに欠かせないのが芝居。字幕つきの原語上演だが、来日公演では日本語を織り交ぜた台詞が飛び出すのもお楽しみの一つ。歌手たちの芸達者ぶりとサービス精神に、きっとヨーロッパのオペラ文化の懐の深さを感じるはず。序曲からフィナーレまで、全てがヒット曲で構成されていると言っても過言ではない作品を心ゆくまで楽しみたい。

◇会場 金沢歌劇座(金沢市下本多町6番丁27)

◇日時 11月13日(月)

 ▽開場 午後6時

 ▽開演 午後6時半

◇料金(全席指定、税込み)

 ▽SS席 16000円

 ▽S席  12000円

 ▽A席   9000円

 ▽B席   6000円

 ▽学生席  4000円(限定50枚=石川県立音楽堂チケットボックスでのみ販売)

◇主催 石川テレビ放送、北陸中日新聞

◇後援 石川県、金沢市、石川県音楽文化振興事業団

◇問い合わせ 石川テレビ放送事業部=電076(267)6483(平日午前9時半〜午後6時、土日祝日休)

 うしお・ひろえ 石川県野々市市出身。音楽と社会とのつながりをテーマに執筆活動を展開。著書に『オーケストラは未来をつくる−マイケル・ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団の挑戦』『古都のオーケストラ、世界へ!−「オーケストラ・アンサンブル金沢」がひらく地方文化の未来』(ともにアルテスパブリッシング)

 

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