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北陸文化

【コミュニティシネマ 街中銀幕から】 一番幸せな上映の形は

「クレマスター3」(CREMASTER 3,2002/Photo Chris Winget/(C)MatthewBarney,courtesty Gladstone Gallery,New York and Brussels)

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 十一月十七日から十九日に金沢21世紀美術館で開催される「映画の極意vol.18」というイベントがある。映画の極意は、金沢21世紀美術館の地下にあるシアター21というホールを会場に、毎回テーマを変えて開催されている。過去にはポルトガルの巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ監督特集や、無声映画の生伴奏付きの上映、MoMAニューヨーク近代美術館映画コレクション、八〇年代のアイドル映画に焦点を当てた上映などもあった。

 今年は現代アートにおける映画に焦点を当てての開催ということで、21美が開館して間もない二〇〇五年に展覧会を開催したマシュー・バーニーの作品を中心に、美術館のコレクション作家に関連した貴重な映像作品などを上映するそうだ。特に21美の開館前にプレイベントとしてシネモンドで上映した『クレマスター5』と『クレマスター4』を含む『クレマスター・シリーズ』は、近年では日本国内では上映されていない。国内で公開される映画の本数は年々増加しているが、地方では限られている。大ヒット作や話題作以外の映画を鑑賞することができる上映は貴重な機会だ。

 全国一斉公開の映画に比べると、ミニシアターや映像センター、美術館などで上映される作品は宣伝費も見込めず、一般への周知が大変で、さらにいわゆる芸術性が高く難解な作品や、娯楽作でも、ハリウッドなどのなじみ深い国の作品でもなく、キャストも知らない人ばかりで映画を見慣れていない人にはとっつきにくい映画も数多くある。

 例えば今年上映したマレーシア映画の『タレンタイム〜優しい歌』という作品なんかは笑いあり涙あり、娯楽作としてもとてもすばらしい作品だった。しかし、興行として成り立たせることはとても難しい。

 僕はそういった商業的に採算を取ることが特に難しい映画のことを「美術館向けの映画」と評することがある。ガラガラの劇場で長いこと上映されるより、経費を抑えて一回のみの上映でもたくさんのお客さんでにぎわう会場の方が良い場合もある。昔、ボスから「その映画にとって一番幸せな上映の形は何か考えなきゃ」と言われたことがあった。デジタル化が進んだことから、個人でもできる自主上映も再び注目を集めている。

 見渡してみると金沢でもさまざまな映画の上映会がある。上映される作品にはなぜ上映されているのか理由がある。そんなことを考えながらどの映画を見るか、考えることも面白いと思う。 (シネモンド支配人・上野克)

 

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