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北陸文化

時空を超え 弾き歌う 本條秀太郎の音空間 江戸端唄と寺山修司の世界

「言葉で作る音楽に興味」本條さん

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 邦楽の古典から現代音楽までジャンルを超えて三味線の可能性を広げてきた本條秀太郎さんの社中による公演「江戸端唄と寺山修司の世界」が11月5日、金沢市の石川県立音楽堂である。東京・赤坂芸者を代表する育子さん、マリンバ奏者の新谷祥子さんが共演。江戸の粋と「言葉の錬金術師」ともいわれる寺山修司の世界がともに味わえる「夢舞台」が展開する。 (松岡等)

11月5日

 「若い時から寺山さんの芝居も見てきたし、何よりその言葉が好きだった。あの言葉で音楽を作ったらどうなのかという興味があった」。本條さんは「寺山端唄」として、寺山の世界を弾き、歌うようにきっかけをそう語る。

「垣根を越える挑戦」 新谷さん 

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 新谷さんは青森県出身。一昨年、三沢市であった寺山修司音楽祭に本條さんともに出演した。別々での演奏だったが、その後に本條さんの「寺山端唄」で共演を果たした。

 本條さんは新谷さんの演奏を「楽器はもちろんだが声もすてき。マリンバと邦楽を一緒に奏でる機会は少ないが、僕自身は異質だという感じはなく自然にできる」。一方の新谷さんは「ずっと以前から本條先生の三味線と歌のファン。最先端で作曲もされている先生と新しいサウンドを作ることは、自分にとってステップ、挑戦だと思っている」という。

 新谷さんが本條さんの音楽に出合ったのは学生時代。「劇団四季のミュージカルに一部三味線で出演されていた。たまたまオケに参加していてびっくりした」。その音楽を「伝統とか新たな世界の創作とか、垣根をダンディーに自然に越えていく。構えてこういうのをやりますというのではなく、しなやかで美しい。三味線の音ももちろん、声も恍惚感(こうこつかん)を覚えるほど美しい。弾き歌うことが一体化している」と語る。今回の講演で「自分が書いた曲も一緒にやらせてもらえるのは、すごくぜいたくなこと」

「一音を大切に踊る」 育子さん

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 育子さんは「本條先生とは四十年近いお付き合い。いろんなところに出させていただいた。いつも先を読んで勉強され、ぱっとひらめいて曲を作ってくださる。先生の声にひかれて踊らされるようなもの。踊り手は曲と唄がマッチする曲の流れで踊らせてもらえるから」

 江戸を代表する芸者の一人。本人は「めったに見ていただけない貴重な機会。一つ一つ、先生の音を大事に表現したい」。本條さんも「育子さんが行くということは江戸前の芸者が行くということ。芸者衆は土地柄で雰囲気が違う。金沢とも京都とも違うところを見ていただけたら」という。

 育子さんが踊る「浮世道成寺」は、花柳界の女性を道成寺もの仕立てにした作品。もう一つは寺山修司による「汚れた旅」では北海道の芸者を演じる。

 二十代で、日本の民衆の間に伝わっていた音楽から、自らの楽派「俚奏楽(りそうがく)」をつくった本條さん。「三味線には紋付きはかまのイメージがあるかもしれないが、もともとは自由な楽器。日本の芸能にはそういうところがある」。育子さんも「遊びも必要」と。

 その音について「音格」という言葉を使う。「西欧の民族舞踊、民族は画一的。日本は東北だけでも場所場所でリズムが違う。自分はそうした音楽を取り入れてきた。三味線は西洋の楽器に比べて、薄い音でも表現豊かにいろんなことができる」。そう語る本條さんが、江戸の粋と寺山修司独特の世界をどんな舞台に仕上げるのか、見逃せない。

 ほんじょう・ひでたろう 1945(昭和20)年、茨城県出身。1971年に本條流を創流。自然民謡の普遍的、民族的な躍動感や旋律を元に楽派「俚奏楽」を発表。「本條秀太郎の会」を主催し、三味線音楽の興隆に尽力。350曲におよぶ「端唄」を収集、全曲を唄う演奏会に取り組む。古典のほかさまざまなジャンルの音楽、奏者との共演や映画、演劇の音楽も数多く担当。著書に「本條秀太郎三味線語り」(淡交社)など。

 いくこ 1940(昭和15)年、熊本市生まれ。地元で芸者見習いの「半玉(はんぎょく)」となった後、64年に上京。赤坂芸者となって、現在も第一線で活躍し続ける。歌舞伎座や国立劇場のほかテレビ出演も多数。赤坂芸者が総出演する伝統の「赤坂をどり」の中心的存在で、置き屋の主としても若手育成に尽力している。

 あらや・しょうこ 青森県生まれ。打楽器、マリンバ奏者。国立音大、米ミシガン大音楽学部大学院卒。ジャンルを超え、ロック、邦楽などさまざまな分野とのコラボレーションを重ねる。劇作家北村想さんの朗読劇で音楽を担当。近年は弾き語りのソロ活動「マリンバシアター」も展開。2015年に寺山修司音楽祭に出演した。

◇日時 11月5日午後1時半開場、午後2時開演

◇会場 石川県立音楽堂邦楽ホール

◇入場料 1階席5000円、2階席4000円(全席指定、税込み)

◇チケット販売 中日サービスセンター、石川県立音楽堂チケットボックス、香林坊大和プレイガイド、アピタ松任ティオ、チケットぴあ(Pコード:337−985)、ローソンチケット(Lコード:53250)、セブンチケット

◇主催 北陸中日新聞、石川テレビ放送

◇後援 エフエム石川、金沢中日文化センター

◇問い合わせ 北陸中日新聞事業部076(233)4642(午前10時〜午後5時、土日祝日除く)

 

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