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北陸文化

【コミュニティシネマ 街中銀幕から】 ブランカとギター弾き

 世の中は三連休。スケジュール管理が苦手な性分で、今年は連休が一度もないまま九月になってしまった。たまの連休は帰省して墓参りに帰るだけというのが何年か続いている。幸か不幸かいろいろな国の映画を上映しているので、観光欲が満たされているような、刺激されるような。

 最近は「この映画は何語の映画か」と尋ねられることも増えた。金沢に長期滞在中の外国の観光客も。今日は映画でもとやってくるのだろうか。そうして訪ねてくるのは圧倒的に欧米の人。長期休暇が習慣化し、過ごし方に慣れているのかと考えたりする。

 九月は多様な国々を舞台にした映画が多い。アメリカを筆頭にフランス、イタリア、カナリア諸島、フィリピン、アイスランド、ドイツ、ルーマニア、スイス、日本。その中で、十六日から上映の『ブランカとギター弾き』が気に入っている。フィリピンを舞台に孤児の少女と盲目のギター弾きの旅を描いた心温まるドラマで、写真家として活躍する長谷井宏紀監督の長編デビュー作。日本人で初めてベネチアビエンナーレとベネチア国際映画祭の出資を得て製作された。

 ストリートチルドレンの少女ブランカは、自分を愛してくれる母親を求めていた。ある日、母親を金で買うことを思いつき、路上でギターを弾いて暮らしていた盲目のピーターに歌で稼ぐことを教わる。二人の暮らしが始まるが、予期せぬトラブルに巻き込まれる。

 ブランカ役のサイデル・ガブテロはYouTubeの歌がプロデューサーの目に留まり主演に抜擢(ばってき)された。フィリピンの街角で流しの音楽家として活動していたピーターを始め、他の主要キャストは実際にスラムで暮らす人々をキャスティングした。

 長谷井監督がピーターにあらすじを聞かせると、その話は実際にあったこととよく似ていると言われたという。フィクションだが、貧しいスラムでたくましく生きている人々の姿はフィクションを超えたリアリティー。フィクションが現実と交差する作品だ。 (シネモンド支配人・上野克)

 

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