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北陸文化

【文芸】変わりゆく家族 歌にも濃く 未来短歌会 富山大会

歌から見える家族関係の変化について話し合われたシンポジウム=富山国際会議場で

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 未来短歌会富山大会2017年が8月27日、富山市の富山国際会議場であった。「家族詠の現在」をテーマにしたシンポジウムでは歌人らが、家族を詠んだ歌を読み解き、家族のありようの多様性やその変遷が浮かび上がった。

 NHK短歌選者の佐伯裕子さんは、子育ての苦悩や介護をテーマとした歌に家族がどう表れているかを紹介。石川県文芸協会事務局長でもある喜多昭夫さんは、介護や男の育児などを詠んだ歌を挙げながら、家族を書いて発表する際に題材にした家族を傷つけることやプライバシーに触れることを乗り越える手法としての物語化にも言及した。

 未来選者の高島裕さんは、近年の男性歌人の家族詠の変遷をたどった。育児への積極的なかかわりや妻への気遣いも見せながら父母、夫と妻の役割を維持している歌から、やがて「産まない性」としての意識や性の無効化を感じさせる歌までが生まれている現代性を紹介した。服部真里子さんは、家族の中の権力関係から生まれる暴力性を詠んだ例を挙げ、そうした歌を詠むことによって、暴力で声を上げられなくなった人でも改めて言葉を取り戻せるという可能性を指摘した。

 大会では岡井隆さんの基調講演に続き、詩歌に詳しく著書に「うた合わせ 北村薫の百人一首」(新潮社)があるミステリー作家の北村薫さんと歌人の黒瀬珂瀾(からん)さんによる「現代短歌のかたち」と題したトークもあった。黒瀬さんは、近現代の二首を選んで読み解いていく北村さんの手法を「連歌のような発想。作者の意図を置いて一つの物語が生まれる」と紹介。北村さんも「優れた引用はすぐれた創作活動でもある」などと語った。 (松岡等)

 

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