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北陸文化

【本】「富山市議はなぜ14人も辞めたのか 政務活動費の闇を追う」

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地道に資料を調べ関係者と本人に話を聞く

報道本来の仕事示す

 報道に携わっている者なら、読後に背筋が伸び、勇気をもらうのではないか。

 チューリップテレビ取材班による「富山市議はなぜ14人も辞めたのか−政務活動費の闇を追う」(岩波書店)は、昨年秋から全国をにぎわせた富山市議の“辞職ドミノ”のきっかけになったスクープが、いかにして生まれたのかを記録したドキュメントだ。

 きっかけは、議員報酬を一挙に十万円も増額するという条例案を取材した一人の記者が抱いた違和感だ。「第二の報酬」とも言われる政活費がどのように使われているのかという疑問から、記者は情報公開制度を活用して市議の政活費を調べ始める。

 その取材方法が新しいわけではない。ただ、膨大な資料を調べる地道な作業は骨が折れ、しかもスクープにつながる確証もない。本紙のある記者が「辛気くさい仕事」と言うほど手間がかかる。しかしその作業なしに、真実には近づけない。チューリップテレビの記者を支えたのは「今、自分たちが取り組んでいることには大義がある」という信念だ。

 資料をこつこつと調べ、不審な領収書を探し出す。関係者に当たって不正の裏付けを取り、本人に質問をぶつける。納得がいくまで正攻法を繰り返す姿勢に、報道の本来の仕事とは何かを改めて教えられる。

 新聞も含めてメディアは不信とも言える厳しい目にさらされている。求められるのは、忖度(そんたく)なしで地道な報道に取り組むことであり、その過程を本書のようなドキュメントなどで公開することは、メディアが信頼を取り戻すために有効かもしれない。

 一連の報道は本年度の日本記者クラブ賞特別賞を受賞した。加計(かけ)学園問題などでメディアの在り方が問われている今、賞が一層輝いて見える。 (松岡等)

 

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