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北陸文化

【コミュニティシネマ 街中銀幕から】ご当地での映画

 ご当地映画のブームも一段落してきたようだが、それでも撮影地では堅実な興行となることが多い。石川県でロケを敢行した「海辺のリア」がシニア層を中心にヒット作となった。県に縁の深い仲代達矢主演、ほぼ全編が石川ロケということで、シネモンドのほかシネマサンシャインかほく、イオンシネマ新小松でも上映。スクリーンに映し出される景色は、普段目にする景色とは少し違って見えたかもしれない。

 かつてのお正月映画や、映画が誕生した頃の記録映画には、観光の代わりという楽しみ方が大きな意味を持っていた。寅さんやトラック野郎の星桃次郎は国内を、ジェームズ・ボンドは世界各地の風光明媚(めいび)な土地を訪ねた。そもそも映画を発明したリュミエール兄弟は世界の秘境を巡り、撮影した映像をいろんな場所で上映した。そうした映像は、旅行が贅沢(ぜいたく)だった時代には人気があり、商売として成立していた。

 海外旅行が身近になり、テレビが普及して大型化してからは、普通の娯楽作の中では観光としての価値は下火となったが、近年は逆に撮影された土地でのご当地の人々の動員が見込めることから注目され、低予算の映画の製作が盛んに行われている。

 現在、「美しい星」という映画がイオンシネマ金沢で上映されている。三島由紀夫のSF小説が原作、リリー・フランキー主演、吉田大八監督作品。金沢駅や長町武家屋敷などでも撮影があった。金沢ロケということがあまり話題になっていないためか、ご当地映画としての主な観客であるシニア層が足を運びやすい街中での上映館がないためか、まだまだ動員が見込めるのではないかと思う。

 国内での製作作品ではないので事情はちょっと違うが、門前町の総持寺祖院で撮影された「MON−ZEN」というドイツ映画を二〇〇三年に上映した時、初めてご当地映画を意識した。ドイツから仏門で修行するためにやってきた中年男性二人の日本道中を描いた作品で、現地の多くの人々も存在を知らなかった映画は事件となり、大ヒットした。「海辺のリア」のヒットで、映画館という場所を支えているのは、その土地の人々だということを改めて思った。 (シネモンド支配人・上野克)

 

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