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北陸文化

【工芸】手仕事の強み 共感力 金沢 工芸と街づくり シンポ

「工芸からのものづくり・まちづくり」をテーマにしたシンポジウム=金沢市の金沢21世紀美術館で

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 工芸と街づくりをテーマにしたシンポジウム「工芸からのものづくり・まちづくり」が十四日、金沢市の金沢21世紀美術館であった。NPO法人「趣都金沢」がまちづくりにつながるヒントを探ろうと主催、同美術館の前館長で東京芸術大美術館館長・教授の秋元雄史さんが司会役。北陸三県で工芸や手工業にかかわるパネリストたちの発言からは「つなぐこと」「共感」「地域性」などのキーワードが浮かび上がった。 (松岡等)

新たな価値生むには

 富山県高岡市にUターンし、高岡銅器や高岡漆器などのイベントやPR事業に携わるアートプロデューサー林口砂里さんは、職人をテーマにした映画や斬新なフリーペーパーを全国に配布するなどして成果を上げつつあることを例に、「違う分野のものをつなぎ、掛け合わせることで新しい価値が生まれる」と強調。

 全国の良質な手工業品の作り手と売り手をつなぐ「ててて見本市」に携わったり、福井県越前市で「越前ものづくり塾」を監修する金沢美術工芸大出身のプランニングディレクター永田宙郷さんは、日本を代表する刃物や和紙の産地でも、「買い手につなぐための相談相手がいなかった。これをつなぎ、共感力を上げるために周縁を広げるよう工夫した」という。

 建築やグラフィックデザイン、漆器製造などさまざまな分野の若手事業者が集まり、福井市の料亭街で築五十年の空きビルを改装してつくった交流拠点「CRAFT BRIDGE(クラフト・ブリッジ)」をつくった際に核にしたのがクラフト。グループ「ブリッジ・ラボラトリー」のメンバーも「クラフトなら地域の人が応援しやすい」。手仕事の持つ共感力に目を付けた。

 金沢市でシェアホテルを展開する会社でチーフディレクターを務める北島優さんは、出店でターゲットにしたU−35(三十五歳以下)の特徴を「デジタルネーティブだからこそ、人とのリアルな交流や共感性を求める世代」と、インテリアなどに質の高い九谷焼や高岡銅器を取り入れた。「単純にカッコいいというのではなく、背景にあるストーリーが共感を呼ぶことを意識した」と明かした。

 では工芸とまちづくりは今後どう結び付いていくか。林口さんは「かつては職業としての『仕事』と地域のための『務め』があって両方ができて一人前といわれた。戦後は務めを行政に任せてきたが、経済が縮小する中、行政と民間がいいバランスでまちづくりを行っていく必要がある」と指摘。地域通貨の可能性にも言及した。

 永田さんは作り手と買い手を結び付ける方策の一つに「共同購入」を提案。「かつてスポンサーだった殿様はいないが、百人を集めて百個をあつらえることはできるのでは」と、買い手のものづくりへの興味や共感を生かした展開を展望しながら、「工芸が持つローカリティーが個性であり、これを掘り起こしていくことも必要」とも話した。

 

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