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北陸文化

【能楽おもしろ鑑賞法】6 能「花月」 芸達者少年にくぎ付け

能「花月」で謡われる「恋こそ寝られね」の場面。中世以前、男色は珍しくなかった=2008年5月4日、石川県立能楽堂で

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 能は人間の心の描写に深い表現力を発揮するが、娯楽的な芸尽くしの曲もある。金沢能楽会の六月定例能で上演される「花月」は代表的な作品である。

 七歳で息子を誘拐された男(ワキ)が出家し、都へ向かう。人が集まる場所で子を探すため。着いたのは清水寺。門前の男(間狂言(あいきょうげん))に面白いものがあれば見せるよう頼み込む。

 呼び出されたのが花月という少年(シテ)。額に三味線のばちのような前髪を垂らした面が面白い。自己紹介のあと謡う小歌は「恋こそ寝られね」。恋と言っても男同士で、門前の男が扇で顔を半分隠し、花月に怪しく寄り添って舞う。

 あらあら、と思っていると男は突き飛ばされ「花に目がある」と叫ぶ。熱々の様子をのぞき見されたかと心配したらしいが、ウグイスの目だった。花月は弓で狙う。「弓の段」といわれる謡と舞。矢を放とうとした瞬間「殺生戒をば破るまじ」と弓を捨てるのが能らしい。

 さらに清水寺の由緒を描いた「地主(じしゅ)の曲舞(くせまい)」に続く。まさに芸尽くし。旅僧は花月がわが子と気づき「父の左衛門よ見忘れたか」と名乗る。門前の男が「父御を慰めよ」と勧め喝鼓(かっこ)の演奏に移る。「ヒーィヤアラアラアラアラアラーィトー」という笛の音が喝鼓のリズムを表すのでお聞き逃しなく。

 最後に、てんぐに誘拐され山々を転々とした苦しみを謡うが、舞は変化に富んでおり一番の見どころ。室町時代にタイムスリップしたつもりで鑑賞を。 (笛)

◇六月定例能番組(6月4日後1時、石川県立能楽堂)

▽能「高砂」(シテ渡辺茂人)▽狂言「清水」(シテ山田譲二)▽仕舞「杜若キリ」(シテ藪俊彦)▽能「花月」(シテ木谷哲也)

▽入場料=一般2500円(当日3000円)学生1000円、中学生以下無料

(問)同能楽堂=電076(264)2598

 

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