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北陸文化

9代長江惣吉さんが個展 「曜変天目」の最先端 

9代長江惣吉さんが再現した「曜変天目」=金沢市のポルテ金沢3階「玄羅アート」で

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金沢のギャラリー

 漆黒の闇の上にちりばめられた銀色に縁取られた星のような斑紋が連なる。茶碗の内側できらめくその光に、人は宇宙の広がりを見るのかもしれない。世界に日本の国宝3点しか現存しないといわれる「曜変天目」。その忠実な再現に陶芸家としての人生をかけているのが、愛知県瀬戸市の9代長江惣吉さん(54)だ。

 金沢市本町のギャラリー「玄羅アート」で北陸では初めての個展を開催。独特の光沢と波紋が再現に近づいた2006年の「曜変天目」をはじめ、その過程でできた「光彩油滴」「兔毫盞(とごうさん)」などが並ぶ。

 12世紀から13世紀にかけての中国・南宗時代に作られたといわれる天目茶碗。その光彩は謎に包まれ、再現を目指す陶芸家は多いが、長江さんは実践でも、研究でもその最先端にいる。

 父の8代惣吉さんは研究に陶芸家人生をかけた。長江さんは父が亡くなった1995年、その研究の検証からスタート。それから中国・建窯へ赴くこと28回。その窯跡で蛍石の砕片を見つけたのを契機に、焼成中に蛍石の粉末を投入する技法を見いだす。豊田工業大との共同研究を重ね、発生するフッ素ガスが化学反応を起こし、表面にできる波状の構造が反射して光ることが分かった。その成果は日本と中国の学界でも発表し、反響を呼んだ。

 昨年12月にテレビ東京の鑑定番組「開運!なんでも鑑定団」で、徳島県内で新たに国宝級が見つかったと発表されたが、これにはすぐに異論を唱えた。そんなことでも注目が集まる中での個展。長江さんは「800年の時を超えて昨日焼いたばかりのような光を失われないのが曜変天目。これまでの歩みを見てもらいたい」と話す。

 16日まで。午前11時から午後6時まで開廊。会期中無休。 (松岡等)

 

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