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北陸文化

【映画】追悼 キアロスタミ監督 シネモンド開設きっかけ 15本を特集上映

キアロスタミ監督

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初日18日はトークも

 昨年七月に急逝したイラン映画の巨匠アッバス・キアロスタミ監督作品の特集上映が十八日から三月三日まで金沢市のミニシアター「シネモンド」である。キアロスタミ作品を日本に紹介した代表の土肥悦子さんが、金沢での自主上映がシネモンド開設のきっかけになっただけに、今回の十五本の上映は監督への追悼となる。初日にはトークを予定する土肥さんは「地方でまとめて見られる機会はない」と来場を呼び掛ける。 (松岡等)

 土肥さんは配給興業会社ユーロスペース(東京)で配給、宣伝を担当し、キアロスタミ作品を初めて日本に紹介した。配給に携わり、キアロスタミ監督を紹介した本「そして映画はつづく」(晶文社)の企画、翻訳も手掛けた。これをきっかけにその後、多くのイラン映画が公開されて、ブームにもなった。

 退社後に金沢に移り住んだ際、作品を上映する映画館がないことから一九九八年に自主上映会を開催。キアロスタミ監督本人も金沢を訪れて、その会場が現在のシネモンドになった。

「友だちのうちはどこ?」

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 土肥さんが最初に日本に紹介した「友だちのうちはどこ?」(一九八七年)は、小学生の男の子が自分のかばんに紛れ込んだ友だちのノートを返そうと、その子の家を探し回る物語。ただそれだけの話をキアロスタミ監督はまるでサスペンス映画のように描いて、見る人を引き込んでいく。

 「そして人生はつづく」(九二年)はその続編。九〇年、イラン地震が「友だちのうちはどこ?」の舞台を直撃。監督自身がそこを再訪しようとするが、村は崩壊し少年たちの消息も分からないが、そこではたくましく生きる人々の姿があった。現実と虚構が入り交じって映画の枠組みをも揺さぶる。さらに続く「オリーブの林をぬけて」(九四年)を含め“ジグザグ道三部作”と呼ばれ、土肥さんは「どうしても見てもらいたい」と力を込める。

「クローズ・アップ」

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 虚実が入り交じるのがキアロスタミ作品の真骨頂だが、その傑作が「クローズ・アップ」(九〇年)。イランで有名人のマフマルバフ監督に間違えられた男が映画好きな家族をだました実話。男自身が出演し、ドキュメンタリーとその再現シーンのフィクションが境目をなくしていく。「キアロスタミ自身、『何度見ても引き込まれる。自分が撮ったとは思えない』と話していた」という。

 “映像の魔術師”とも評されるキアロスタミ監督を、土肥さんは生前の黒沢明監督と対談で引き合わせた。その際、黒沢監督が「こんな人がいるんだね。なんであんなことができるのか」と感心。キアロスタミ監督に「どうやって演出しているの」と質問攻めにしたという。

「ライク・サムワン・イン・ラブ」

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 特集上映では、処女短編「パンと裏通り」(七〇年)や初の長編「トラベラー」(七四年)から、イランを離れて初めて撮った長編「トスカーナの贋作」(二〇一〇年)、日本で撮影され遺作となった「ライク・サムワン・イン・ラブ」(一二年)まで、監督作の十三本を上映。さらにフランスのジャン・ピエール・リモザン監督がキアロスタミ監督本人とかつての出演者を車で訪ねるドキュメンタリー「キアロスタミの世界」(一九九四年)、脚本作品の「柳と風」(モハメド・アリ・タレビ監督、九九年)も紹介する。

 土肥さんのトークは十八日の「そして人生はつづく」上映後の午後一時五十分から。詳しい上映日程、時間はシネモンドのホームページで。

 

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