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北陸文化

【能楽おもしろ鑑賞法】3 能「雲林院」 原点胸にみやび味わう

能「雲林院」の後シテ、在原業平。古い演出では恋人の高子と彼女の兄基経が出たという=2011年2月6日、石川県立能楽堂で(金沢能楽会提供)

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 古語を使い、言葉の省略も多い能。中には筋書きが曖昧なものもある。そうした分かりにくい作品ながら人気曲でもある「雲林院」が、金沢能楽会の三月定例能で上演される。

 前半は明快だ。伊勢物語オタクである芦屋の公光(ワキ)が、二条の后高子(きさきたかいこ)と在原業平の夢を見、二人の近くにいた老人がここは都北山の雲林院だと告げたと語る。公光は雲林院へ。夢と同様、老人(前シテ)が現れ、今が盛りの桜の下で眠れば夢で不審を晴らそう、と言って消える。能の定型だ。

 問題は後半。美しい装束の業平(後シテ)が登場し、伊勢物語の謎を解き明かす。しかし、高子を盗み出した業平の恋の逃避行は「思い知らずも迷い行く」とそっけない表現。原典では雷雨の中、高子を連れだして荒れ果てた蔵に隠すが、鬼に食われ、気付いた時には姿が見えなかったとある。こうしたドキドキ感がない。

 世阿弥時代には後半に高子(ツレ)とその兄基経(後シテ)が登場したそうだ。蔵から妹を取り返した兄は、鬼の姿で救出劇を物語る。公光が知りたかったのはこういう話に違いない。

 現行曲では後シテが突然、宮廷生活を思い出し、典雅な序ノ舞を舞い始める。美女と鬼では品がないと、改作して美男で知られる業平に焦点を当てたのか。恋のドラマは原典で楽しもう。能楽堂ではドキドキ感を隠し味に、王朝のみやびに浸ってはいかが。 (笛)

◇三月定例能番組(3月5日午後1時、石川県立能楽堂)

▽能「俊成忠度」(シテ福岡聡子、俊成=佐野弘宜)

▽狂言「歌争」(シテ能村祐丞)

▽仕舞「誓願寺キリ」(シテ広島克栄)

▽能「雲林院」(シテ渡辺荀之助)

▽入場料=一般2500円(当日3000円)学生1000円、中学生以下無料

(問)同能楽堂=電076(264)2598

 

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