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北陸文化

【芸能】日本文化体験 濃密な3日間 松葉づえのダンサー クレア・カニンガムさん

宝生流シテ方の松田若子さん(右)の指導で能を体験するカニンガムさん=金沢市出羽町の石川県立能楽堂別館で

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石川で能や太鼓など「将来の作品に必ず生きる」

 松葉づえをついたままでダンスパフォーマンスをする英国スコットランド出身の振付家・ダンサーのクレア・カニンガムさんが一月末に石川県を訪れ、三日間にわたって舞踏、和太鼓、能など県内の舞台芸術家らと交流した。初来日で日本文化に初めて直接触れたカニンガムさんは「経験は必ず将来の作品に生きてくる」と話した。 (松岡等)

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 カニンガムさんは生まれつきの骨の障がいで松葉づえを使ってきた。声楽などを学んだ後にダンスを始めたのは二十七歳。「遅いけれど、身体に障がいのあるアーティストにはよくある。自分が表現者としてやっていく自信を持つまで時間もかかる」と話す。

 二〇一二年のロンドン五輪・パラリンピックの文化プログラム「アンリミテッド」を通して広く知られるようになった。画家ヒエロニムス・ボスが描いた物乞いをする障害者からインスピレーションを得た「Give Me a Reason to Live」など社会性の強い作品も発表。世界各地を公演で回り、今回は横浜市で四、五日に開く公演のための来日。

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 石川県野々市市では活動が四十年になる金沢舞踏館を主宰する舞踏家・山本萌さんのワークショップを体験した。画家・靉光(あいみつ)の画集にある作品「馬」などからイメージした動きを山本さんとともに演じ、コンテンポラリーダンスとは異なる舞踏独特の体の使い方などを学んだ。

 山本さんが舞踏を「体を動かすことが楽しいとか、運動能力が優れているとかいうのとは異なり、舞踏で重要なのはハート。なぜ踊るのかという心の動きが重要で、それを引き出さなくてはいけない。完全なものを追求するというのではなく、むしろ不完全な体を追求する表現」と説明。これに対しカニンガムさんは「内面の感覚を表現するのは共通するものがある」と応じた。

 山本さんと語り合う中でカニンガムさんは自らのダンスを「自分と松葉づえの動きを研究してきた。最初は物でしかなかったが、今はつえに命を感じている。重力を感じる地面との接点が四つ。今は一体となることを探求しているが、松葉づえのなしには自分ではない」などと話した。

 世界各国に招かれ訪れた国は二十カ国以上。今回の訪問を「各地で障害者のためのワークショップをやることは多いが、自分が学ぶことはあまりなかった。アーティストとして表現を充実させるのに大事なことで、日本の伝統的な芸術を体験できたのはよかった。今後の自分の作品に確実に影響はあると思う」と語る。

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 金沢市の石川県立能楽堂では能舞台と金沢に伝わる加賀宝生流の歴史について説明を聞いた後、シテ方の松田若子さんが開いている謡の教室にも参加。さらに平家物語に題をとる「巴(ともえ)」の一場面でなぎなたを使う場面も体験した。能独特の足の運びを教わる中で、カニンガムさんは「目の不自由な人がつえを使いながら歩く動きにも似ている」とも。

 同県白山市では和太鼓の女性グループ「●(ほのお)太鼓」でのワークショップも体験。「日本文化の持つ時間の積み重ねを感じた」という一方で、「いろいろな才能を持った女性に会えたこともよかった」と話した。

●は、「晶」の日を火に変えた字

 

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