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北陸文化

【能楽おもしろ鑑賞法】2 能「祇王」独特の“写実”に注目を

仏御前(左)と祇王がともに舞う能「祇王」。外見でなく心理描写に注目を=2008年7月6日、石川県立能楽堂で

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 金沢能楽会の二月定例能で能「祇王(ぎおう)」が上演される。「平家物語」巻第一にある「祇王の事」が原典だ。

 白拍子・祇王は清盛の寵愛(ちょうあい)を受けて三年。栄華を極める。ある日、加賀の国から出てきた若き白拍子・仏御前が清盛邸に押しかけ対面を求める。無礼だと憤る清盛を祇王がなだめ、仏御前は清盛の前で歌い、舞うことができた。

 仏御前は十六歳。美貌と舞にメロメロになった清盛は祇王に暇を出したかと思うと、「仏御前が退屈しているので歌や舞で慰めよ」と呼び出す始末。世の無常を悟った祇王は母や妹と出家し、嵯峨の奥に庵(いほり)を結ぶ。時に二十一歳。そこへ髪を下ろした仏御前が訪ねてきた。「私もいずれ清盛に捨てられる。娑婆(しゃば)の栄華は夢の夢」と述懐し、ともに仏道に励んだという。

 平家の隆盛を描いた節の直後に置かれた物語。若き女たちは絶頂の清盛から離脱した。その心理劇を一時間ほどの能で簡潔に描いている。注目点は登場する二人の白拍子。若いはずの仏御前の方が祇王より年上に見えるからだ。

 主役(シテ)は演題とは異なる仏御前。能では、果敢に挑んだ人物をシテとして描いているようにみえる。高僧ではなく、彼を魔道に引き込もうとする天狗(てんぐ)の方がシテになるように。「祇王」では、仏御前がシテの品格がある二十代前半ぐらいの増(ぞう)の面を掛け、ツレの祇王は十六歳ぐらいの小面を掛ける。能の写実は外見ではなく心理描写。その妙を味わいたい。 (笛)

◇二月定例能番組(2月5日後1時、石川県立能楽堂)

▽能「難波」(シテ高橋右任、ツレ高橋憲正、天女田屋邦夫)

▽連吟「鞍馬天狗」(酒井章ほか)

▽狂言「伯母ケ酒」(シテ炭光太郎)

▽能「祇王」(シテ佐野由於、ツレ島村明宏)

▽入場料=一般2500円(当日3000円)学生1000円、中学生以下無料

(問)同能楽堂=電076(264)2598

 

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