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北陸文化

【音楽】KanSanoさん 新譜「k is s」 「うたもの」は原点回帰

「リスナーに届けるまでが作品。来年のツアーが楽しみ」と話すKanSanoさん=都内の自宅で

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 金沢市出身のキーボード奏者Kan Sanoさん(33)=本名・佐野観=が3枚目となる新譜「k is s」(origami PRODUCTIONS)を発表した。今年はCharaさん、UAさんらのツアーやフジロックなどの大型フェスなどに出演し活躍の場を広げた。アルバムではシンガー・ソングライター七尾旅人さんをフューチャーする一方、自らボーカルをとった。「全国ツアーも予定し、どう受け止めてもらえるか楽しみ」と話す。 (松岡等)

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 11曲中10曲にボーカルの入る「うたもの」だが、ほとんどがコンピューターによる打ち込みで制作。繊細な旋律とアップテンポのビート、曲ごとにオリジナリティーあふれるサウンドが魅力だ。Sanoさんらしく、曲と曲のつなぎはクラブのDJによる選曲のようだ。

 ボーカルのほとんどがフューチャリングだった前作「2.0.1.1.」とは一転、6曲を自ら歌う。「Charaさんのコンサートだと何千人という人の前で演奏する。お客さんからもらうエネルギーがすごい。会場で一つの歌を共有する素晴らしさも感じた。もともとJポップが好きで音楽を始めたという原点に戻ったという感じ」

 ほとんどが曲が先で、歌詞はその後。少しハスキーでささやくような甘い声。「いわゆるシンガーではないので歌い方や録音、編集の仕方は工夫し、自分なりに表現したいという思いもあった」

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 ジャズやソウルなどのブラック・ミュージックが基本だが、「いろんな要素を混ぜたアルバム。そのバランスを取る軸になった」というのが七尾さん作詞、ボーカルの「C’est la vie」だ。以前に七尾さんのヒット曲「サーカスナイト」をリミックスしてユーチューブに投稿したことがきっかけで、「気にいってくれてメールをもらった。ジャンルは違うけど、いつかきっと一緒にやるような気がしていた」と。

 七尾さんは戦死する自衛官に扮(ふん)して描き出す物語ライブ映像作品「兵士A」を発表するなど社会派のイメージも強い。「シリアスで逃げ場がないモチーフを扱っているけど、旅人さんには別の面もある。肩の力の抜けた軽さが出せたのは良かったかな」とも。

3枚目となるKan Sanoさんの新譜「k is s」

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 新作をひっさげ全国ツアーを予定。3月には東京で360度を客席で囲むライブを行う。「作品は子どもみたいな感じ。どう成長し、どんな表情の子になるかは育ててみないと分からない。今は育てることを精いっぱいやりたい。パッケージからプロモーション、リスナーに届けるまでが作品」

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 兵庫県宝塚市生まれで阪神大震災で被災。母の実家のあった金沢に転居し、高校卒業までを過ごした。「金沢で音楽を始めたという意味では人生に大きな影響があったのかな」。10年になる東京だが、自宅は窓から緑の見える郊外。「自然がある場所のほうが落ち着く」という。

 金沢の音楽シーンについても気を配る。金沢が拠点のラップユニットYOCO ORGANの配信シングル「あの頃とずっと変わらない空とこれからもきっと変わらない僕ら」には曲を提供してプロデュース。ツイッターで「地元の音楽シーンのために自分が何をできるか今までもこれからも考えていくし、自分にできることがあれば全力でやりたい」と書き込んだ。

 ピアノとギターの即興演奏でのデュオアルバム「共鳴」をつくったギタリスト石川征樹さん、シンガー・ソングライターの小杉奈緒さん、たちなみえみさんら北陸のミュージシャンとの交流も続いている。

 さの・かん 1983年兵庫県生まれ。11歳で金沢市に移り住み、独学でピアノと作曲を始めた。金沢桜丘高校卒後、米国ボストンのバークリー音楽大ジャズ作曲科へ。卒業後は東京を拠点にジャズ、クラブミュージックなどジャンルを超えた活動を展開。キーボーディスト、プロデューサーとして、Chara、UA、大橋トリオ、藤原さくららのサポートなどライブ、レコーディングに参加している。

 

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