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北陸文化

【映画】「この世界の片隅に」異例のヒット 戦争という暴力対抗するには…

(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

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富山・上映中、金沢・17日から

 太平洋戦争末期の広島、呉を舞台に若い女性の視線で戦下の日常を丁寧に描くアニメーション映画「この世界の片隅に」が十一月の公開以来、異例のヒットとなっている。富山での上映に続き、今月十七日からは金沢でも公開が始まる。

 原作はこうの史代さんの同名漫画。広島から軍港のある呉に嫁いだ十八歳の主人公すずと家族、周囲の人々の生活ぶりがつづられる。「マイマイ新子と千年の魔法」(二〇〇九年)で文化庁メディア大賞を受賞した片渕須直監督が構想から六年をかけた。

 街並みを再現するために広島、呉での調査を重ねた片渕監督。製作費の一部をクラウドファンディングで呼び掛け、三千三百七十四人から約四千万円を集めて製作がスタート。早くから単館系映画館が上映の手を挙げた。

 配給物資が減っていく中でも、すずは野の草を摘むなど工夫を凝らして食卓をにぎわせ、衣服を作り直す。当時の生活を徹底して調べた原作のリアリティーをアニメーションの力がより高めている。

 原作と同様、日記のように日付を追いながら、呉は激しい空襲に襲われ、広島はやがて訪れるだろう八月六日の悲劇に向かっていく。それでも決して人間らしい明るさを失わない人々の暮らしを、観客は胸を締め付けられるような気持ちで見詰めることになる。

 大切なものを容赦なく奪う戦争という圧倒的な暴力。それに人が対抗するには、挿入歌「悲しくてやりきれない」が歌う思いを超えてなお、たくましく日々を生きていくことなのだというメッセージが胸に迫る。

 ヨコハマ映画祭では作品賞とベストテンの第一位、主演ののんさん(能年玲奈から改名)が審査員特別賞を獲得。上映館も増え続けており、人気はさらに広がる気配だ。

 金沢市ではシネモンドで十七日から上映。二十五日には片淵監督の舞台あいさつを予定している。富山は富山市のTOHOシネマズファボーレ富山で公開中。来年一月十四日から同市のJMAX THEATERとやまでも上映される。 (松岡等)

 

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