トップ > 北陸中日新聞から > 北陸文化 > 記事一覧 > 12月の記事一覧 > 記事

ここから本文

北陸文化

【能楽おもしろ鑑賞法】1 能「翁」 三拍子、七拍子、裏拍と多彩

躍動する三番叟(右)。後ろは(左)から大鼓と3人の小鼓方=2008年4月26日、石川県立能楽堂で

写真

 金沢能楽会の一月定例能は五年連続で「翁(おきな)」が上演される。能にして能にあらず−といわれる翁。「天下太平、国土安穏、今日のご祈祷(きとう)なり」と謡う神事的な能だが、注目点を変えると予想外の面白さが浮かび上がる。

 まずは小鼓。通常は一人だが、三人も居並ぶ。服装も素袍(すおう)に烏帽子(えぼし)姿(他の囃子方(はやしかた)と地謡も同じ)。迫力満点だ。翁の舞の前に、若き千歳(せんざい)が二回舞う。最初は厳かに二回目は躍動感たっぷりと。鼓のリズムのご注目(音だからご注耳か)。二回目は四拍子だが、一回目は三拍子だ。ほかの能ではあり得ない。

 それだけではない、翁の舞が終わってシテが面を外し、客席に向かって拝礼するまでのリズムは何と、七拍子! 朝鮮半島では三拍子の音楽が多く「五木の子守歌」も三拍子だが、能の原点とされる翁にそうしたリズムが取り入れられているのだ。当日ご確認あれ。

 「翁」の後半部分で狂言方によって演じられる三番叟(さんばそう)も独特だ。ここから本格的に参加する大鼓。小鼓のリズムの間を縫って打ってくる。つまりアフタービート。ジャズ的なのである。

 笛も面白い。三番叟では「揉(もみ)の段」「鈴の段」の二曲とも鼓のリズムに乗って吹き続ける。だが、翁や千歳の舞を含む前半の演奏はリズムに乗らずに吹く。能の原点「翁」の音楽は実に多彩なのである。

 この欄も四年目に入る。これまでと趣向を変えて、おもしろ視点の裏技鑑賞法をご紹介したい。 (笛)

◇一月定例能番組(九日後1、石川県立能楽堂)

▽能「翁」(シテ渡辺茂人、千歳高橋憲正、三番叟能村祐丞)

▽能「西王母」(シテ島村明宏)

▽狂言「福の神」(シテ能村祐丞)

▽能「野守」(シテ松田若子)

▽入場料=一般2500円(当日3000円)学生1000円、中学生以下無料

(問)同能楽堂=電076(264)2598

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索