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北陸文化

【映画】人と人とのつながり 見つめたい 今村彩子監督ドキュメンタリー

「StartLine(スタートライン)」の1場面((C)StudioAYA)

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きょうから公開「Start Line」

 人とコミュニケーションをとるというのはどういうことか−。生まれつき耳の聞こえない映画監督・今村彩子さん(37)が沖縄から北海道まで自転車で自ら縦断する姿を記録したドキュメンタリー映画「Start Line(スタートライン)」を見ながら考えた。

 「最初は旅を通じて人との触れ合いを描くハートウオームな映画にするつもりだった」。今村監督は伴走と撮影する男性と2人で旅に出る。57日間、3824キロを走破した過酷な自転車の旅、各地であるかつて知った仲間や親切な人たちとの交流…。

 だが話はそう簡単ではない。聞こえないことを伝え、筆談や手話で話をしようとするが、反応は一様ではない。今村監督自身が人に話しかけられなかったり、会話の輪に加われなかったり。走ることで一生懸命なせいもあり、パンクしている別のツーリストにも力を貸そうとせずに行き過ぎる。伴走の男性にしかられ、言い争う。そんな場面をさらけ出して映画が動き出す。男性の「コミュニケーションできないのは聞こえないせいじゃない」という叱咤(しった)には誰もがはっとさせられるはずだ。

手話を交えて自作を語る今村彩子監督=金沢市内で

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 旅の終盤には、奇跡的とも思える出会いが待っている。「映画の神様っているんだなって。もしかしたら一生分の運を使い果たしたかも」。その出会いは、聴者であれ、ろうであれ、言葉や文化の違う外国人であれ、人と人とが心を通わすために、自分たちが自明と思うのとは別の仕方があると教えてくれる。今村監督が映画の道に進むきっかけとなり、今も最も好きだという映画「E.T」のあの有名な場面が、言葉を超えたつながりを描いていたように。

 これまで障がいについて知ってもらうのがテーマだったという今村監督。この映画を経て「障がいだけでなく、人の生き方、人と人とのつながり方に目を向けていきたい」と語る。

 19日から金沢市のシネモンドで1週間の上映。20日午後2時40分からの上映後、今村監督の舞台あいさつがある。 (松岡等)

 

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