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北陸文化

【映画】「金沢 考える環境にいい」 将棋にかけた魂 映画「聖の青春」19日公開

19日公開の映画「聖の青春」を語る森義隆監督=中日新聞北陸本社で

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森監督 完成機に移住

 羽生善治さんのライバルと目されながら二十九歳で夭逝(ようせい)した棋士村山聖さんの壮絶な生き様を描いた映画「聖(さとし)の青春」(KADOKAWA)が十九日に全国一斉公開される。森義隆監督(37)はこの長編三作目の完成を機に金沢市に移住。「八年越しの映画ができて自分の中で一区切りがついた。次に向けてじっくりものを考える環境に身を置くのには金沢がいいとピンときた」と話す。 (松岡等)

 作家大崎善生さんによる同名ノンフィクションを映画化した。幼いころからネフローゼという重い腎臓病を患いながら十七歳でプロ入りし、死期が迫る葛藤の中でひたすら名人位を目指した。羽生さんとの死闘とそれゆえにできた魂の交換とも言える心の交流、七冠を達成した羽生さんと盤を挟んで対峙(たいじ)するシーンは将棋ファンならずとも息をのむ。

 八年前に森さんにオファーがあった時は「最初はどう作品化すればよいのか分からず、すぐに受けることができなかった。村山さんの一生を再現するというのではなく、人間の魂の形とでもいうものを提示できればいいのではないかと思えてから映画が動きだした。撮り終えてみると必要な八年間だった」という。映画は村山さんの最も充実し、壮絶でもあった晩年の四年間を中心に再構成されている。

 村山さんを演じる主演の松山ケンイチさんは、映画化の情報を聞いて自ら手を上げたのだという。「人生をかけられる物語を探していたということだった。ちょうど撮影の時は村山さんが亡くなった年齢とほぼ同じ三十歳。配役というより、松山君がやるのが必然だった」

(C)2016「聖の青春」製作委員会

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 ボクシング映画「レイジング・ブル」でロバート・デ・ニーロが見せたような肉体改造を思わせる役作り。それでも「太ってくるのは当たり前で、魂が燃えて灰になるところを撮らないとダメだと思っていた。もともと役者として技術のある松山君には『技術はいらないよ。一秒一秒をいとおしむように』と伝えた」。ネクタイなど村山さんの遺品がそのまま撮影に使われたといい、村山さんが乗り移ったような熱演から目が離せない。

 対する羽生さんを演じたのは東出昌大さん。「人生をかけてきた松山君にぶつけるなら、スケールの大きな東出君だと思った」と森監督。東出さん自身も将棋で相当の実力者で、羽生さんの熱狂的なファン。「羽生さんを演じられるという純粋な喜びが大事だった。膨大な資料がある中で研究をしてもらったが、物まねになっては元も子もない。『羽生として村山に向き合え』と」。

 羽生さんには二度、取材。その際、映画のためにと、村山さんとの対局時に実際にかけていたというメガネを自ら東出さんに提供している。

 このほか村山さんの師匠だった森信雄七段役のリリー・フランキーさん、年齢制限でプロ棋士の道を断念する弟弟子役の染谷将太さん、母親役の竹下景子さんらが好演し、師弟愛や友情、家族愛といった将棋の世界を超えた人生の物語として映画に厚みをもたらしている。主題歌は秦基博さんの「終わりのない空」。

 石川県内はイオンシネマ金沢とイオンシネマ御経塚、富山県内はTOHOシネマズファボーレ富山で上映される。

森義隆(もり・よしたか) 埼玉県出身。「ひゃくはち」(2008年)で監督デビューし、新藤兼人賞銀賞、ヨコハマ映画祭新人監督賞。監督2作目の「宇宙兄弟」(12年)でプチョン国際ファンタスティック映画祭グランプリ、観客賞。

 

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