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北陸文化

【美術】思い出のカタチ どこから 金沢・山鬼文庫 福田尚代展

消しゴムでつくった無数のオブジェが並ぶ「漂着物」(2001〜16年)=写真はいずれも金沢市桜町の山鬼文庫で

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 言葉や記憶をめぐるさまざまな思索を作品として表出する美術作家福田尚代さん(埼玉県在住)の個展「水枕 氷枕」が金沢市桜町のギャラリー「山鬼(さんき)文庫」で開かれている。

 約2万冊の書籍を備える私設図書館の2階和室が会場。会場から幼いころの記憶や夢を思い出し、展示の着想を得たという。

 「漂着物」は2001年から現在も続く作品。白いプラスチック消しゴムを主な素材にしたベッドやふとん、いす、テーブル、小箱、小舟などが、畳2畳の中に放射状に置かれる。それは、少女時代からの記憶をひっくり返したよう。作品は増殖を続けるのだろうか。

 長方形の消しゴムをくりぬき、骨組みだけにした「残像:眠り箱」(2010〜16年)も無数に増えているようだ。「漂着物」と対になり、記憶や夢を奪われた後の空っぽの箱のようにも思える。

文庫本のページを内側に織り込んだ「翼あるもの:『エミリーはのぼる』」(2003年)

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 始めから読んでも終わりから読んでも同じ文になる「回文」の作家として著作も多い福田さん。言葉や文字をテーマにした作品も並ぶ。

 文庫本の背表紙を切り取った棒状にしたものを無数に畳にばらまいた「書物の骨」(03〜10年)や、文庫本のページを1枚1枚すべて内側に折り込んでしまう「翼のあるもの:『エミリーはのぼる』」(03年)は、読んでしまった本から言葉や文字をはぎ取って物として見せることで、文字と言葉が持つ意味との関係を問うているようでもある。

 21日まで。金曜から月曜日のみ開廊。無料。 (松岡等)

 

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