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北陸文化

【映画】映画の力信じる 群馬・高崎ミニシアター、映画祭関係者ら全国会議

全国コミュニティシネマ会議でカナザワ映画祭について語る「かなざわ映画の会」の小野寺生哉代表(右端)=群馬県高崎市で

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 全国のミニシアターや映画上映団体の関係者が集まる全国コミュニティシネマ会議が九月三十日から二日間の日程で、群馬県高崎市の高崎電気館であった。一九九〇年代以降、シネコンの隆盛とともに多くの単館系映画館が閉館に追い込まれる中、映画の多様性を支えてきたミニシアター。富山市のフォルツァ総曲輪休館や三陸沿岸で唯一の映画館だった「みやこシネマリーン」の閉館など映画館運営の厳しさの一方、将来に向けて様々に模索される上映スタイルや新たにオープンした個性的な館の挑戦なども報告された。 (松岡等)

 二十回目となった会議初日には全国のミニシアター、公設上映施設、映画祭関係者ら約二百四十人が参加して意見を交わした。初日のテーマ「コミュニティシネマのこれまでとこれから」では、みやこシネマリーンの櫛桁一則支配人が閉館までの経緯を紹介した。

 岩手県宮古市で一九九七年、市民出資による生協方式というユニークな方法で開館。東日本大震災以降は沿岸で移動上映会や小規模な映画祭を開催してきた。櫛桁さんは「震災前から運営は厳しかったが、震災前までの客が戻らなかった」と語る一方、震災から五年余りで四百回を越えたという移動上映会は「初めてスクリーンで映画を見たという子や何十年ぶりだというお年寄りもいて喜んでもらえた」と意義を強調。閉館で三陸沿岸からは常設の映画館が姿を消すが、生協は今後、各地を巡回する方法で映画上映を続けていく。

 熊本県出身で「世界の中心で、愛をさけぶ」などで知られる行定勲監督は、同県内でかかわる小さな映画祭や、熊本の地域映画として震災前に撮影した「うつくしいひと」が各地で上映されて、被災者の励ましになってきたことなどを紹介し、「映画の力を私たちが信じなくてはならない」と語った。

金沢21美の取り組みも紹介

 「プレゼンテーション・マラソン」では、熊本電気館(熊本市)が地震での被災から上映再開までを報告。金沢21世紀美術館は「まるびぃシネマパラダイス」として学生によるフィルム上映継承の試みを紹介した。全国で初めて障害のある人のためのユニバーサルシアターとして九月に開館した「シネマ・チュプキ・タバタ」(東京)、「映画+α」の仕組みとして本とパンの店も併設する「シネコヤ」(神奈川県藤沢市)、映画制作に挑む「山口情報芸術センター」(山口市)などの関係者も登壇して注目を集めた。

 会議二日目のディスカッションでは、各地のミニシアターがこの二十年の取り組みを紹介した。横浜市のミニシアター「ジャック&ベティ」は歓楽街・黄金町のまちづくりにかかわりながら館を運営。「横浜シネマリン」とともに横浜をテーマにして月一本のペースで短編映画を制作し、予告編とともに上映する試みを続ける。シネモンド(金沢市)の土肥悦子代表が中心になって全国に広がりを見せる「こども映画教室」の作品上映もあった。

 このほか海外の旧作の配給にかかわった京都みなみ会館や、那覇市の中心街で雑貨販売やカフェ、音楽ライブも行う多角経営によって上映を維持する「桜坂劇場」も議論に加わり、「支配人の顔の見える劇場」というミニシアターの特性を裏付けた。

パネリストに小野寺さん登壇

 会議は、地域性や出自によって異なるミニシアターや上映団体がそれぞれの課題を共有するとともに、交流を通じて情報を交換し合うのも大きな狙い。ビル再開発のため会場が使えなくなり、今年が最後としていたカナザワ映画祭を主催を「かなざわ映画の会」の小野寺生哉代表も、パネリストの一人として参加した。プログラムのユニークさで全国的に注目を集めてきただけに、小野寺さんの元には各地の映画館関係者から開催のオファーがあったといい、継続開催に向けて刺激を受けたようだ。

 

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