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オリンピックニュース

フィギュア女子SP:鈴木明子が8位、浅田16位

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SPの演技を終え、観客の歓声に応える鈴木明子選手=19日、ソチで(内山田正夫撮影)

 女子ショートプログラム(SP)で、前回銀メダルの浅田真央(中京大)は、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で転倒するなど三つのジャンプすべてでミスが出て、55.51点の16位と大きく出遅れた。前回8位の鈴木明子(邦和スポーツランド)は60.97点の8位、初出場の村上佳菜子(中京大)は55.60点で15位。

 五輪2連覇を狙う金妍児(キム・ヨナ、韓国)が今季世界最高の74.92点でトップ。2位に地元ロシアのアデリナ・ソトニコワで74.64点、3位で2012年の世界選手権女王のカロリナ・コストナー(イタリア)が74.12点で続いた。ロシアの団体金メダルに貢献した15歳のユリア・リプニツカヤもジャンプで転倒し、5位と出遅れた。

鈴木「最後は気持ち良く」

 8位につけた鈴木選手は演技後、大粒の涙を流した。冒頭の連続ジャンプが乱れ、得点を伸ばすことができなかった。「4年間やってきて、(きちんと)跳びたかったけど」と言葉を詰まらせた。

 ただ「ミスがあっても自分のスケートを貫く」と覚悟して臨んだ舞台。前回バンクーバー五輪は摂食障害を乗り越えての出場、今回も好不調の波を乗り越えてたどり着いただけに「どんなことがあっても気持ちを切り替える」と心を強く保って滑り切った。

 「何度も何度もそういう試合をしてきたので」と28歳の大ベテラン。演技後の氷上では、スタンドに何度も手を振りながら、感謝を込めた笑顔を浮かべた。

 「最後は気持ち良く滑りたい」。フリー演技に向け、気丈に話してリンクを後にした。

浅田「自分でも分からない」

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フィギュアスケート女子SPでジャンプを失敗して出遅れ、ぼうぜんとする浅田真央=19日、ソチで(内山田正夫撮影)

 フィギュア選手が演技後に得点を待つ「キス・アンド・クライ」。スケーターたちが好演技にコーチと抱き合い、時に涙するその席で、浅田選手はほとんど動くことができなかった。

 55.51点。トップの金妍児選手(韓国)を20ポイント近く下回る得点に、表情までが凍りつく。その後もしばらく立ち上がろうとせず、佐藤信夫コーチに促されるように舞台裏に消えた。

 フィギュア団体戦の時と同じく、直前にロシア選手が最高の滑りを見せた。鳴りやまない「ロシア」コールと大歓声。「同じ失敗は繰り返さない」と、雰囲気にのまれた団体戦の雪辱を胸に秘めたが、悪夢はよみがえってしまった。

 「緊張で体がうまく動かなくなった。今まで、それでもできたのに」。4年前のバンクーバー五輪や毎年の世界選手権。少女時代から数々の大舞台を経験したヒロインが最後に迷宮にはまった。「自分でも、まだ何も分からない」。試合後はすぐに演技を振り返り、次への課題を口にする普段の姿も消えていた。

 金選手に敗れたバンクーバー五輪から、スケートを一から見直して臨んだソチ五輪だった。ライバルが長期間の休養に入り、テレビ番組の司会者などに世界を広げる一方、ひたすら氷と向き合い、金メダルだけを目指してきた。

 だが、糧にしたバンクーバーの経験も「(雰囲気など)分かることはたくさんあったが、逆に良い方向にいかなかった」と考えすぎが体を硬くしていた。

 青春のすべてをスケートにささげた23歳に訪れた、あまりにも酷なソチの試練。「明日は自分の演技をできるようにしたい」

 声は震わせても、最後まで涙は見せなかった。金メダルの重圧はもうないはず。最後はただ、その強い心を氷上で出し切るだけだ。

村上「明日は負けない」

 初の五輪はほろ苦かった。ジャンプのミスなどで15位となった村上選手。試合後は「調子は良かったので、すごく悔しい」と唇をかんだ。

 幼いころから、練習の合間にコーチや職員の似顔絵を描いてはしゃいだ陽気な性格。滑りに身が入らず、母親やコーチに「もう帰るよ」と怒られた時は「置いてかないで」と駐車場まで泣きながら追いかけた。

 脇目もふらず黙々とフィギュアに打ち込んだ先輩の浅田選手とは少し違った成長の軌跡。そんな喜怒哀楽を込めた情感豊かな演技が持ち味だったが、ソチの舞台では硬さが目立った。「五輪に圧倒されてしまった」と村上選手。

 それでも試合後は涙をこらえ「もう明日は負けない。今日の悔しさを忘れるくらい迫力のある演技をしたい」と誓った19歳。思いの丈をフリーの舞台にぶつける。

 (杉藤貴浩)