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文科省の質問と名古屋市教委の回答(全文)

2018年3月17日 朝刊

 前川喜平・前文部科学次官を招いた中学校の授業を巡る、文科省と名古屋市教育委員会による質問と回答のやりとりは次の通り。趣旨が難解な一部を除き、全文を掲載した。理解を助けるため、本紙が、質問や回答に番号を付けたり、かっこ書きで説明を補ったりした部分がある。誤字は訂正した。

 ◆1度目の質問と回答【文科省の1日付の質問と学校・市教委の5日付の回答】

 質問1 八王子中学校における総合的な学習の時間では、全体計画における全体テーマを「さまざまな人の生き方を学び、自分の生き方を考える」と設定されていますが、今回の前川氏の講演による授業は、同氏のどのような生き方を学ぶことをねらいとし、また生徒はどのような生き方を考えていくことをねらいとして実施されたのか具体的かつ詳細にご教示ください。
 特に、総合的な学習の時間は、各学年ごとにそれぞれの取り組みを行っているにもかかわらず、この授業は3学年一斉に行っていますが、各学年ごとに同氏を招いたねらいは何か、具体的にご教示ください。

 回答1 前川さんの中学生時代、文部科学省時代、退官後の生き方について、生徒がどう感じたかを生徒同士で共有することにより、キャリア教育の視点で、自分の未来や自分の生き方を創っていくことの参考にしてほしいというねらいです。
 総合的な学習の時間は、原則金曜日の5、6限に設定しています。修学旅行の分散学習の事前・事後学習、職業体験学習の事前・事後などは、各学年で実施。外部から講師を招く場合は、全学年でお話を聴くことが多いです。

 質問2 今回の前川氏の講演による授業を行った主たる目的は何だったのか。生徒たちに何を伝えたかったのか。そしてこれはどのように達成されたのかご教示ください。

 回答2 ねらいは1と同じ。達成については、この時間の終わりに感想を記入。お話を聴いて、自分なりの考えをもっています。個々の今後の「生きる力」につながっていると考えています。

 <生徒の感想>
 ・実際にあった不登校の出来事を教えてもらい、「不登校の僕」では、前川さんのことを聞いて、人は変わることができると分かりました。(中1)
 ・私は夜間中学のことで衝撃を受けた。今になって学校に通ったことがない人がいないと思っていたし、昔の話だと思っていたけれど、人ごとでは無いと思った。(中2)
 ・いくつになっても学びたい人がいると分かったので、中学生の僕も一生懸命学ぼうと思った。すごいお方だと思った。(中3)

 質問3 前川氏は文部科学次官という教育行政の事務の最高責任者としての立場にいましたが、いわゆる国家公務員の天下り問題により辞職し、停職相当とされた経緯があります。また、報道などにより次官在任中にいわゆる出会い系バーの店を利用し、そこで知り合った女性と食事をしたり、時に金銭を供与したりしていたことなどが公になっています。
 こうした背景がある同氏について、道徳教育が行われる学校の場に、また教育課程に位置づけられた授業において、どのような判断で依頼されたのか具体的かつ詳細にご教示ください。

 回答3 天下り問題は、文科省ひいては国家公務員全体の問題であると認識しています。また、バーうんぬんについては、良心的な目的であったことが報道されています。いずれも今回の講演を依頼する障害になると考えませんでした。

 質問4 一般的に、ある方の生き方に学ぶことをねらいとする場合、その方のそれぞれの生き方などを詳しく説明した上で授業に臨むことになると思われますが、今回の前川氏の授業に当たって、同氏の経緯について、生徒にあらかじめ(あるいは事後に)説明をした上で授業に臨んだのでしょうか。その場合、具体的にはどの程度の経緯を説明されたのでしょうか、具体的かつ詳細にご教示ください。

 回答4 回答3参照。
 生徒には先入観や思い込みなしで話を聴いてもらおうと意図したので、事前に特定の事柄だけを詳しく説明する必要はないと考えました。保護者や関係者向けの案内に、簡単なプロフィルは載せました。「この方はどんな方だろう?」と話の中身だけでなく、話し方やふるまいなどから感じさせたい。その感じ方は個々によって違い、この違いを共有することにとても意義があると考えています。

 質問5 今回の総合的な学習の時間における前川氏の講演を「全校一斉総合」として、保護者やマスコミ等にも開いた公開授業としたと承知していますが、一般的に、同校では総合的な学習の時間の授業をこのような形で公開されるのでしょうか。また、今回公開したねらいや意図は何でしょうか。具体的かつ詳細にご教示ください。

 回答5 開かれた学校、開かれた教育課程の一つ。保護者、地域の方々が、学校に関心をもち、実際の中学生と接したり、オブザーブしていただいたりして、フィードバックをもらい、本校の教育活動に生かしています。
 <大人からのフィードバック例>
 ・自ら学び自ら考える力をつける授業に熱心に取り組んでみえた姿勢に頭が下がります。大人も既成概念にとらわれず、自ら学び自ら考える姿勢が生徒の手本になると思います。
 ・たくさんの大人(保護者以外)の方々の参加に注目の高さを感じました。生徒さんが素直だと感じました。このまま新しいことに恐れず挑戦し続けていただけたらと思います。また、訪れたくなる学校でした。

 質問6 さまざまな人の生き方を学ぶ観点から、同校の総合的な学習の時間において、前川氏以外にもいろいろな方から話を聞く機会があったと思われますが、具体的にどの学年の学習で、具体的にどのような方からどのようなねらいで話を聞く機会があったのか、具体的かつ詳細にご教示ください。

 回答6
 2016・9・2 大阪市立大空小学校初代校長の木村泰子さんによる全校道徳、地域、保護者も参加
 2016・12・5 日本舞踊西川流家元西川千雅さんによる道徳授業、地域、保護者にも公開
 2017・10・6 防災ジレンマゲーム“クロスロード”全中学生+小学生+保護者、地域住民も一緒に参加
 2018・1・6 日本ど真ん中祭りの創始者 水野孝一さんによる全校道徳授業、地域、保護者にも公開
 2018・3・9 避難所運営ゲーム“HUG”体験 全校生徒+保護者+地域住民+区役所職員  *公開授業は、開かれた学校づくりを目指しています。

 <地域の方からのメッセージ>
 ・一般参加を受け入れる公開授業の一体感は素晴らしい取り組みだと思います。生徒も大人も良い刺激を受けられると思います。
 ・八王子中学校の校長先生のおかげで、公開授業は3回聴くことができました。地域や学区とのつながりが深まり、とても良い催しだと思います。

 質問7 前川氏以外に外部講師を招いている場合、今回と同様に公開授業として行ったのかそうでないのかご教示ください。また、公開とした理由(あるいは公開としなかった理由)も併せてご教示ください。

 回答7 5、6で回答済み

 質問8 前川氏を同校に外部講師として依頼したのは、具体的にはいつ頃かご教示ください。特に、報道によれば、3年ほど前から校長が前川氏と面識を得て昨年から依頼をしていたとのことですが、これは事実でしょうか。また、校長は個人的な関係を基に招いたということでしょうか、ご教示ください。

 回答8 4年前の全国中学校長会の総会や研究大会で、前川さんによる文科省の説明や講演を2回聴きました。次期学習指導要領の特徴や背景の説明はとてもわかりやすいものでした。昨年夏に前川さんに久しぶりにお会いした時に、本校の生徒への講演を依頼しました。総合的な学習の時間に、未来の日本について、自分で考え、生きる力が必要となって来ることをキャリア教育の視点とともにわかりやすくお話しいただけると思いました。校長として前川さんが一番適していると思ったからです。

 質問9 前川氏の公開授業を行うことについて、事前または事後に保護者から意見や反応等はなかったのかご教示ください。

 回答9 事前、事後とも、ポジティブな反応ばかりいただいています。

 質問10 前川氏の公開授業を行うことについて、事前または事後に生徒から意見や反応等はなかったかご教示ください。

 回答10 事前には、何も反応はありません。
 事後は、お話を聞いてのワークシートには、ポジティブな反応ばかり。中3の生徒との面談の中では、夜間中学校のことが印象に残っており、人の役に立つことをしたいという生徒の思いを聞きました。

 質問11 今回の前川氏の講演による授業について、講演録や録音データ等がありましたら、ご提供ください。

 回答11 まとめたものはあります。
 記録用として、録画したものはありますが、前川さんからは、他に見せてもよいという許可はいただいておらず、ご提供は差し控えさせていただきます。

 質問12 前川氏を講師で招いた際の交通費や謝金の支出はあったのかどうか、あった場合、それらの金額はいくらか。また、それらの経費はどこから出ているのか、具体的にご教示ください。また、同氏以外の外部講師の交通費や謝金の扱いはどうなっているかも併せてご教示ください。

 回答12 名古屋市教委の「笑顔いっぱい絆づくり推進事業」の一環として、交通費込みで、50000円を執行しました。事前に市教委に計画等を提出しています。
 ・2016年9月 木村泰子さん(大阪)「夢育(キャリア教育)・生命尊重教育推進事業」で、交通費込み50000円を執行
 ・2016年12月 西川千雅さん(名古屋)「道徳教育講師活用支援事業」で、10000円を執行
 ・2018年1月 水野孝一さん(名古屋)「道徳教育講師活用支援事業」で、10000円を執行

 質問13 報道によれば、前川氏は今の肩書を聞かれ「国会参考人です」と答えたとありますが、これは事実でしょうか。また、この国会参考人とは、いわゆる天下り問題または加計学園の問題に関して国会に招致されたことを指したものと考えられますが、こうしたことが授業の場において話されたことについて、校長はどのように認識し、どのように生徒や保護者に説明したのか、具体的かつ詳細にご教示ください。

 回答13 「肩書は?」と前川さんにお尋ねしたところ、「福島駅前学習支援ボランティア講師、厚木市えんぴつの会学習支援ボランティア講師、国会参考人」と答えられました。「国会参考人」と答えられたことについて、特に、つっこんだり、説明したりせず、全くスルーしました。このことを生徒にわざわざ説明する必要はないと判断したからです。

 質問14 報道によれば、今回の授業には、生徒約300人以外に保護者ら200人が訪れたとありますが、これは事実でしょうか。また、「保護者ら200人」とありますが、このうち、保護者はどの程度参加し、保護者以外としてはどのような方がどの程度参加されたのでしょうか、また、動員等が行われた事実があったかなかったか、明確にご教示ください。

 回答14 大人約200人。教職員30人、保護者約30人、学区・北区内住民約100人、教育に関心のある方約40人
 動員は一切ありません。

 質問15 学校設置者の名古屋市教育委員会として、上記の経緯を含め、今回の前川氏の講演による授業をどのように判断しているか、お考えをご教示ください。

 回答15 八王子中学校における総合的な学習の時間の指導計画に基づき、キャリア教育の視点で行われたと把握しています。また、「笑顔いっぱい絆づくり推進事業」の一環として行われた講演と捉えています。

 ◆2度目の質問と回答【6日付の追加質問と7日付の回答】

 質問1 「天下り問題は、文科省ひいては国家公務員全体の問題であると認識しています。(中略)いずれも今回の講演を依頼する障害になると考えませんでした。」とありますが、
 ・前川氏は、いわゆる天下り問題について自らが直接関与したことが認められ、省全体の責任者としての責任のみならず、本人自らの非違行為を理由として停職相当とされましたが、校長はこの事実をご認識されていたのでしょうか。

 回答 辞任されたこと以上のことは知りません。

 ・(文科省側の質問)また、このような事実関係を前提とした場合、このような責任を問われた方が、道徳教育を行う学校において授業を行ったことについて、改めて校長の見解を具体的にご教示ください。

 回答 すでに述べたとおりです。今回の授業は道徳の授業ではありません。

 質問1−2 質問「1」にあるような責任を問われた方が学校において授業を行ったことに関する名古屋市教育委員会としての見解を具体的にご教示ください。

 回答 八王子中学校における総合的な学習の時間の指導計画に基づき、校長が判断した方にキャリア教育の視点で講演いただいたと把握しています。また、「笑顔いっぱい絆づくり推進事業」を活用して行われた講演と捉えています。

 質問2 回答3(5日付)について
 「また、バーうんぬんについては、良心的な目的であったことが報道されています。いずれも今回の講演を依頼する障害になると考えませんでした。」とありますが、報道の中には、出会い系バーに、頻繁に出入りしていたことや教育行政のトップとして不適切な行動であること、「文部科学省は青少年の健全育成などを所管しているのだから、そのトップは当然、一般よりも厳しい倫理行動規定を自ら課さなければならない。違法な店ではなかったとしても、国民から不適切な行動だと言われても仕方がなく、疑われるような行動は取るべきではない」といった報道も見られます。これらの報道について、校長は認識されていたのでしょうか。また、これらの報道を含めて考えた場合、今回前川氏を招いた判断は校長としてどのように認識されているか、改めて具体的にご教示ください。

 回答 いろいろな報道があったことは承知しております。私が前川さんにお願いしたのは、私がじかにお会いしてお聞きしたお話や私が感じた前川さんの人となりから判断したものであり、生徒や地域の方にじかにお話を聞いてもらい、判断してもらえばよいと考えた次第です。

 質問2−2 質問「2」について、名古屋市教育委員会としての見解を具体的にご教示ください。

 回答 校長が報道及び直接話を聞いた内容から総合的に判断したものと捉えています。

 質問3 回答4(5日付)について
 「生徒には先入観や思い込みなしで話を聴いてもらおうと意図したので、事前に特定の事柄だけを詳しく説明する必要はないと考えました。」とありますが、実際に生徒には事前または当日に、前川氏をどのように紹介されたのか、具体的にご教示ください。全く肩書や経歴などは触れないで紹介されたのでしょうか。

 回答 「元文科省の役人の方で、これからの日本や教育についてわかりやすくお話ししてくれる方です。」と2週間ほど前の全校集会で説明しました。

 質問4 回答4(5日付)について
 「保護者や関係者向けの案内に、簡単なプロフィルは載せました。」とありますが、「簡単なプロフィル」とは具体的にはどのようなものでしょうか、具体的にご教示ください。

 回答 ちらしに掲載したプロフィル
 1955年奈良県生まれ。東京大学法学部卒業後、1979年文部省(当時)へ入省。宮城県教育委員会行政課長などを経て、2001年に文部科学省初等中等教職員課長、2010年に大臣総括審議官、2012年に官房長、2013年に初等中等局長、2014年に文部科学審議官、2016年に文部事務次官を歴任。2017年1月、事務次官を退任。記者会見で「行政がゆがめられた」と発言し注目を浴びる。今年、7月には国会中審査に参考人として出席。現在は自主夜間中学のスタッフ、学習支援ボランティアや教育についての講演活動を行っている。

 質問5 回答6(5日付)について
 木村泰子氏、西川千雅氏、防災ジレンマゲーム“クロスロード”、水野孝一氏、避難所運営ゲーム“HUG”体験を招いた授業について、これらの方は全て総合的な学習の時間において招かれたのか、道徳の時間で招かれたのか、それぞれご教示ください。回答6の文面からすると、今年度の総合的な学習の時間で招かれたのは前川氏のみとも読み取れるのですが、それでよろしいでしょうか。

 回答 木村泰子さん…総合、西川千雅さん…道徳、クロスロード…総合、水野孝一さん…道徳、前川喜平さん…総合、HUG…総合

 質問6 回答6(5日付)について
 木村泰子氏、西川千雅氏、防災ジレンマゲーム“クロスロード”、水野孝一氏、避難所運営ゲーム“HUG”体験を招いた授業については、保護者や地域住民はどれほどの人数が参加されたのか具体的にご教示ください。

 回答 木村泰子さん…保護者+地域で約30人、西川千雅さん…保護者+地域で約10人、クロスロード…保護者+地域で約40人、水野孝一さん…保護者+地域で3人、HUG…保護者+地域で約50人参加予定

 質問7 回答9及び10(5日付)について
 保護者及び生徒からはポジティブな反応ばかりとのことですが、ネガティブな反応は全くなかったと理解してよろしいでしょうか、ご教示ください。

 回答 まったくございません。

 質問8 回答11(5日付)について
 本授業は、マスコミなどにも全て公開で開催されたものと理解しており、録画記録を外部に提出することについて、本人の許可が必要とされる理由をご教示ください。また、「まとめたもの」についてはご提供いただけないでしょうか。

 回答 まとめたものは、本校の教職員、学校評議員向けに作成したものです。前川さんのご了解をいただいておりますのでお見せできます。

 質問9 回答13(5日付)について
 「肩書は?」と前川氏に尋ねたのは、どのタイミングであったのかご教示ください。(冒頭の校長による前川氏紹介の際か、司会による質疑応答の際か)

 回答 校長である私が、私の話から前川さんにバトンタッチする際です。

 質問10 回答13(5日付)について
 「『国会参考人』と答えられたことについて、特に、つっこんだり、説明したりせず、全くスルーしました。」とのことですが、「国会参考人」という言葉は生徒たちには何の注釈もなく受け入れられ、理解される用語でしょうか、ご教示ください。

 回答 事前に配布したちらしに掲載したプロフィルの中に、「今年、7月には国会中審査に参考人として出席。」と記載されています。前川さんは「国会参考人」とそのことを省略して話されたものと推察しています。特に説明はしていませんが、理解している生徒はいるものと考えています。

 質問11 回答14(5日付)における「大人200人のうち、学区・北区内住民約100名、教育に関心のある方約40名について」
 (1)これらの方々には、どのようにして授業の案内を出されたのか、具体的にご教示ください。

 回答 学区にたいしては、学区の自治会の定例会議で、学校からの案内として紹介しました。
 北ホームニュースの方から、「事前案内を載せて良いですか?」と聞かれ、前川さんが了解されましたので、開催1週間前の土曜日の北ホームニュースに紹介されました。

 (2)=文科省側の質問=また、木村泰子氏、西川千雅氏、防災ジレンマゲーム“クロスロード”、水野孝一氏、避難所運営ゲーム“HUG”体験の授業の際にも同様な方法で学区・北区内住民等に案内をされたのでしょうか、ご教示ください。

 回答 前川さんの件と同様です。

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