大涌谷で初の火山性微動

2015/6/30 東京新聞朝刊神奈川版

 箱根・大涌谷で29日、火山性微動が観測され、周辺では降下物も確認された。夜に入って、気象庁が「噴火ではないと考えている」と発表したが、地元や自治体の関係者は終日対応に追われた。

(西岡聖雄、猪飼なつみ、原昌志)

 箱根町によると、午前8時前、気象庁から火山性微動が起きたとの連絡があった。各種機器の保守作業のため、大涌谷の想定火口域の半径200メートルまでの立ち入りを許可していた温泉供給会社やロープウエー会社などに対し、町はその後、立ち入りを見合わすよう要請。仮に噴火が起きていたとしても噴石などの被害を未然に防ぐ体制をとった。

 4月下旬から始まった火山活動で初めて火山性微動を確認したことについて、県温泉地学研究所の研究員は「浅い所で起きており、地下10キロ付近にあるマグマの移動に伴う微動ではなく、熱水の移動に伴うものではないか」と分析。「単発なのか、続発するのか数日間は見極める必要がある。山体膨張のペースは6月から鈍化している」と話した。

 箱根町役場には、屋根や車のフロントガラスに灰のような降下物があると町民から5件ほど連絡があった。午後2時ごろから防災対策室の職員が温泉地学研究所の専門家とともに大涌谷へ調査に向かうなど、対応に追われた。

 県にも午後零時50分ごろ、県温泉地学研究所に「車に灰のようなものが付いている」と電話で地元業者らから2件の通報があった。大涌谷はこの日、早朝から有感地震を含む地震が1時間あたり10回以上観測され、蒸気も200~300メートルとこれまでを100~200メートル上回る高さが確認された。

 同日夕記者会見した片山真応急対策担当課長は「現場は蒸気がすごく、目視できない状況だった。視界の状況をみて規制区域内の確認をする」と話した。杉原英和災害対策課長は「地殻変動が鈍化していることもある。気象庁の判断があると思うが、今のところは想定の中ではないか」と、警戒レベル引き上げには否定的な見方を語った。

 午後9時半ごろ、気象庁が降下物について、火山灰ではなく噴き上げられた土砂とみられると発表。杉原課長は「水蒸気爆発でなくひとまず安心だが、噴気が上がっているのは確かであり、引き続き警戒は必要。推移を見守りながら情報収集を続ける」と話した。

箱根山で降下物確認 分析急ぐ、気象庁

2015/6/30 東京新聞朝刊社会面

 気象庁は29日、神奈川県の箱根山で同日午後零時45分ごろ、機動観測班の車両に、雨にまじった灰のような降下物を確認したと発表した。蒸気などで噴き上げられた土砂で、噴火ではないとみている。

降下物

箱根温泉供給会社の自動車に付着した粒子状の物質=29日午後3時、箱根町下湯場で(県提供)

 気象庁によると、火口と想定する大涌谷で29日、新たな噴気孔が確認された。地滑りが原因でできたとみられる。降下物はこの噴気孔から出た可能性が高いという。

 噴火警戒レベルは2(火口周辺規制)を維持し、小規模な噴火が起きる恐れがあるとして警戒を呼び掛けている。

 降下物を確認した場所は、火口と想定する大涌谷の北約1.2キロ。車の窓ガラスに、粉のようなものが点々と付着した。今後、詳しく分析する。

 29日は、午前7時32分ごろから約5分間、マグマや熱水の移動を示すとされる火山性微動が、4月下旬に活動が活発化して以降初めて起きた。火山性地震も急増し、午後8時までに140回に達した。箱根町湯本では、震度1の地震もあった。

 一方で、噴火の爆発による空気の揺れを測定する「空振計」に変化はなかった。

 (共同)

噴気 活発化以前並みに

2015/6/21 東京新聞朝刊神奈川版

 県が20日に箱根町大涌谷の立ち入り規制区域(想定火口域の半径300メートル)で実施した小型無人機「ドローン」による調査の結果、温泉井戸から大量に蒸気を噴く「暴噴」は収まっており、活動が活発化する4月末以前の噴気水準に戻っていることが分かった。

ドローン画像

ドローンから撮影された箱根山・大涌谷周辺の立ち入り規制区域内の様子。白い噴気が激しく上がり、温泉供給設備の一部が崩落している=20日午前、神奈川県箱根町で(同県提供)

 規制区域の中心部に飛ばしたドローン二機は、上空20メートル前後から交互に動画を計40分、静止画を数十枚撮影した。県は噴火の前兆をつかむ傾斜センサーの設置に向け、地面の形状を調べる目的で調査。暴噴していた温泉井戸1本の近くに傾斜センサーを設置する方針だ。

 県産業技術センターの大塚康男所長は、この日の記者会見で「現場は腐食性のガスが強いため、腐食しにくいセンサーをつくり、1カ月内外を目標に設置したい。ドローンで運ぶか、走行用ベルト付きロボットで運ぶか検討する」と説明した。

 暴噴していた温泉井戸の近くの地面は、局所的に30センチ隆起している。規制区域内に源泉を持つ温泉供給会社は、特別に半径200メートルまで立ち入り、温泉井戸を保守できる。水蒸気噴火の前兆をとらえるセンサーの設置により、作業員の安全を確保する方針だ。

 一方、立ち入ることができない半径200メートル内にある温泉井戸6本のうち、3本の配管などに硫黄が詰まり、構成部品が破損していることも今回のドローン調査で分かった。

 町の一部の旅館などに温泉を供給している箱根温泉供給(箱根町)の井手幸彦事業部長は「立ち入り可能になれば、すぐに3本の配管を交換できるよう準備している」と話した。立ち入り規制前に供給していた湯量の8~9割に当たる日量3600トンは現在も維持し、供給先からの苦情はないという。

県、大涌谷噴火警戒で中小に緊急融資

2015/6/19 東京新聞朝刊神奈川版

 県は18日、箱根・大涌谷の噴火警戒の影響を受けている中小企業を救済するため、「箱根地域等緊急支援融資」制度を新設すると発表した。箱根町内に限らず、周辺自治体の旅館や物品の納入業者も利用できる。25日から受け付けを始める。来年3月末まで。

 噴火警戒による顧客離れなどにより、売り上げや粗利益が、最近一カ月で前年同期より10%以上減少している中小企業が対象。通常の制度融資は、減少の確認期間を最短でも3カ月としているが、緊急性が高いとして短縮した。返済期間は最長十年、利率は年1.8%以内の固定金利で最優遇のメニューとした。主に運転資金の需要を想定し、融資限度額は8000万円。

 県内信用金庫や各銀行支店などの窓口で受け付ける。

修学旅行の中止相次ぐ 収束後の火山学習に期待

2015/6/13 東京新聞朝刊神奈川版

 箱根・大涌谷の噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられて以降、箱根への修学旅行のキャンセルが相次いでいることが12日、町などの調査で分かった。箱根火山と周辺は地形や地質を学ぶ日本ジオパークに認定されており、関係者は火山活動の早期収束を願うとともに、閉館中の「箱根ジオミュージアム」の再開などが足掛かりになることを期待している。

 (西岡聖雄)

箱根ジオミュージアム

大涌谷(奥)と箱根ジオミュージアムは箱根火山学習の拠点だ。(昨年6月、同館提供)

 大涌谷の立ち入り規制区域(想定火口の半径300メートル)から3キロ離れた老舗の温泉旅館は5、6月だけで、10校、600人分の宿泊キャンセルがあった。学生の団体旅行客を引き受ける箱根学生旅館連盟(八旅館・ホテル)の川辺ハルト会長(60)は「箱根への修学旅行は近年、年間4万人台だが、今年のキャンセルは3万人に上り、影響は来年以降も引きずる」とみている。

 学校や旅行会社は、修学旅行の学習内容や交通機関の組み合わせを綿密に設定する。変更は手間がかかるため、目的地が変わると、2~3年間は変更ルートが固定化しがちという。

 復活の参考になるのが、北海道・有珠山の地元、洞爺湖町だ。2000年の噴火で、避難指示対象となった温泉街は数カ月間、営業を停止した。前年に8万6000人だった修学旅行の宿泊客は噴火の年、52人に激減。しかし、翌2001年に1万5000人、02年に4万人、03年は5万8000人へとV字回復した。

 洞爺湖町観光振興課によると、正確な情報発信に加え、新たにできた火口周辺に造った散策路を活用した火山学習や、宿泊日数に応じて周辺地域を回る旅行メニューを町自ら考え、道内外の学校や旅行会社を回って提案した。

 箱根火山などは12年に日本ジオパークに認定され、箱根町は昨春、大涌谷の民間施設に「箱根ジオミュージアム」を開設。火山学習の拠点として修学旅行にも組み込まれていた。立ち入り規制区域にあり現在は閉館中だが、長田茂館長(61)は「再開後はキャラバンを組み、首都圏の学校を訪問し、PRしたい。なぜ、今回のような現象が起きるのかを小学生にも分かりやすくするなど、展示内容も改善する」と話している。

箱根「やや活発な状態」 気象庁が引き下げ

2015/6/13 東京新聞朝刊社会面

 気象庁は12日、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)に引き上げている箱根山(神奈川県)の火山活動について、「活発な状態」から、「やや活発な状態」に評価を下げたと明らかにした。

 評価変更は5月6日のレベル引き上げ以来初めて。気象庁は「直ちにレベル引き下げにつながるものではない」と説明し、引き続き大涌谷での小規模な噴火に警戒するよう呼び掛けている。

 気象庁によると、大涌谷では蒸気が噴出する勢いが弱まっており、山の膨張を観測する「傾斜計」の一部データも、6月から収まる傾向を示している。

 火山性地震も減少。5月中旬には400回を超える日もあったが、11日は4回、12日も午後3時までに1回だった。

箱根・大涌谷規制1カ月 温泉地学研究所に聞く

2015/6/6 東京新聞朝刊社会面

 箱根・大涌谷の噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられて、6日で1カ月。群発地震は神奈川県温泉地学研究所(小田原市)が1989年に現在の観測態勢になってから最多となり、その後も続いている。箱根の地震活動を監視してきた同研究所のチームに、過去の活動との違いや今後の見通しを聞いた。

 (西岡聖雄)

 4月26日に始まった群発地震の原因は。

 地下10キロより深い所にあるマグマの熱が上方向に移動。火山ガスや熱水が岩盤の隙間に入って微小地震を起こし、噴気の勢いも増大させた。2001年の群発地震は5カ月で4230回だったが、今回は1カ月あまりで5000回を超えた。最も多かった日は5月15日の約500回で、同20日ごろからペースは鈍化している。噴気の勢いは2001年の方が強い。

 1934年には駒ケ岳で噴煙、43~44年の群発地震時は芦之湯地区で震度5の記録もあるが、噴火しなかった。

 火山性地震だったのか分からないが、今回より活動が大きかった時もあるかもしれない。今回も噴火しない可能性の方が高いと思われるが、小規模な水蒸気噴火が起きる可能性はある。

 その場合、立ち入り規制している半径300メートルより遠くに噴石は飛ぶのか。

 現在の活動なら仮に噴火しても、規制区域外に飛ぶ可能性は非常に低いと思う。

 人工衛星の観測で、大涌谷の地表が局所的に20センチ隆起しているが。

 隆起分の土砂は2000立方メートル強。御嶽山の噴火前の隆起分は50万立方メートルなので、規模は格段に小さい。

 火口からマグマが噴出し、火砕流を起こすマグマ噴火の可能性は。

 地殻変動、山体膨張が桁外れに大きくなるなど、マグマ噴火の前にはいろいろな現象が起きる。現在、前兆現象はない。

 マグニチュード(M)8・1を記録した5月30日の小笠原諸島沖地震などとの関連は。

 小笠原の巨大地震の翌日、箱根の群発地震は233回に増えたが、その後は減った。箱根では東日本大震災後にも群発地震が増えたが、因果関係は検証されていない。口永良部島・新岳の噴火は、乗っているプレートやマグマの供給源が異なるため関係は薄いのではないか。

「蒸気の勢いが低下」 箱根山で専門家調査

2015/6/3 東京新聞朝刊

 火山活動が続く箱根山(神奈川県箱根町)の大涌谷で、東海大の大場武教授(火山化学)が2日、調査を行い、「噴き出す蒸気の勢いが弱まっており、地中の圧力が低下しているのではないか」と話した。

 大涌谷周辺で採取した火山ガスの分析でも、地中の圧力が減っていることを示す結果が得られたという。

 今回の火山活動活発化は、マグマ周辺から来たガスが途中の岩の層に一時的にブロックされ圧力が高まり、その後一気に解放されたことが原因とみられる。大場教授は「ガスが順調に抜けている。再び蓄積しなければ終息に向かうのではないか」と話した。

 大涌谷の火山ガスには、マグマ由来のガスと、マグマの近くを通る地下水が熱せられてできる水蒸気が混ざっている。4月下旬ごろにはマグマ由来のガスが一時的に岩の層にブロックされたらしく、比率が減っていた。

 マグマ由来のガスの比率は、5月8日ごろには増え始め、今回の調査ではさらに上昇。岩の層に再びガスの通り道ができたとみられ、大場教授は地下の圧力が減っていると推測している。

大涌谷に観測機器をさらに14台追加

2015/6/3 東京新聞神奈川版

 噴火警戒が続く大涌谷(箱根町)の監視を強化するため、県は2日、観測機器の追加設置などの緊急対策を発表した。機器は地震計や火山ガス検出装置などで、8月末までに14カ所に設置する予定。費用は1億600万円。

 箱根山全体では以前から30カ所に観測機器があるが、大涌谷に特化したものは少なかった。県はこれとは別に6カ所に観測機器を設置することを既に決めており、合計で20カ所に追加設置することになる。

 また同日、5月11日から公開していた大涌谷の映像を、さらに解像度の高いものに替えた。これまでは「大涌谷自然研究路」管理用のカメラを流用しており、想定火口域内の近くは映らず、不鮮明だった。カメラを刷新し、動画サイト「ユーチューブ」と県ホームページの特設サイトで、生の映像を配信する。

 3日には箱根町の建設業者ら48社が参加して「箱根見守り隊」を結成。万一、噴火などがあった際、地元住民や観光客の安全確保のために県と連携する。

(志村彰太)

ロボット活用へ検討会 知事「ドローンで状況把握」

2015/5/29 東京新聞神奈川版

 噴火警戒レベル2(火口周辺規制)の状態が続く箱根・大涌谷の温泉供給施設の維持管理などについて、ロボットの活用を検討する県の会合が28日、小田原市の県産業技術研究センター工芸技術所で開かれた。黒岩祐治知事は、立ち入り規制区域内に小型無人機ドローンを飛ばして、まず現場の状況を詳細に把握する考えを明らかにした。

説明を受ける黒岩知事

プロジェクトチーム初会合であいさつする黒岩知事=小田原市で

 県や箱根町の担当者、ロボットの専門家らでつくる火山活動対応ロボット緊急開発プロジェクトチームのメンバーが出席。温泉供給業者やロープウエー事業者らが、設備管理への活用を要望し、実際にロボットを投入する場合のメリットなどを協議した。

 協議は非公開で行われたが、県産業労働局によると、温泉井戸のパイプのつまりを取り除く作業に、何らかの形でロボットを投入して、作業員の安全性向上や負担軽減を図るなどの観点で話し合った。開発にあたっては、パイプのつまり具合を詳細に把握するなどして、どんな技術が必要かをさらに検討するという。

 会合後、黒岩知事は報道機関の取材に「なるべく早くドローンでいろいろなことを調査した上で、(ロボットで)どういうことができるか、実験を同時並行で進めていく」と話した。ドローンの機種や調達方法は今後詰める。

 (原昌志)

黒たまご製造もロボ化期待 立ち入り規制で行えず

 大涌谷名物の黒たまごを製造、販売する奥箱根観光(箱根町)も会合に参加。担当者は「立ち入り規制区域内のくろたまご館と玉子茶屋、ゆ~らんどの三店、計45人の従業員は自宅待機中で、黒たまごはまったく製造できない状態」と語った。黒たまごは現地の温泉池でしか製造できないといい、「ロボットでできるのか、開発に期待したい」と語った。

 ただ、現場には硫黄分を含む強い酸性の蒸気が漂っている。ある観光関係者は「機械や電気系統が壊れやすい環境のため、ロボットを腐食しない材質にする必要がある。規制区域内に温泉設備の保守職員が逃げ込めるコンテナのようなシェルターをヘリで設置し、区域を狭める方が現実的ではないか」と話す。

 箱根町の小林泰彦防災対策室長は28日の記者会見で、「火山活動が続いているため、立ち入り規制(一般は半径300メートル、許可業者は200メートル)を当面維持する」と語った。

 (西岡聖雄)

箱根の避難区域に3度目の立ち入り 物産店関係者ら

2015/5/27 東京新聞夕刊

 噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられた箱根山(神奈川県箱根町)で、大涌谷(おおわくだに)の半径約300メートルの避難指示区域に27日、物産店やレストランの関係者ら計約80人が、貴重品などを回収するために立ち入った。町がこうした事業者に立ち入りを認めるのは今回が3回目。

 気象庁が6日に噴火警戒レベルを引き上げて以降、大涌谷は立ち入りが制限され、区域内の販売店や博物館は休業が続いている。

 このほか、宿泊施設に温泉の湯を供給する業者や区域に大涌谷駅がある箱根ロープウェイも、施設の維持、整備のための立ち入りが許可された。

 温泉供給業者によると、町が立ち入りを認めていない、最も蒸気が強く出ている場所から半径200メートル以内にあるパイプから、蒸気が漏れているのがこれまでに目視で確認された。硫黄などの成分が詰まり、装置が破損している可能性がある。業者は「今のところ湯の供給が止まる恐れはない」としている。

箱根山で新たな観測開始 気象庁の研究所

2015/5/27 東京新聞朝刊

 気象庁気象研究所は26日、噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられた箱根山(神奈川県箱根町)の大涌谷周辺で、地下の熱の状態を調べるため、地磁気の観測を27日から開始すると発表した。

 箱根山ではこれまで、観光客が多く、車両から発する磁気の影響を受けることなどから、地磁気を観測していなかったが、長期的な火山活動の評価のために必要と判断した。

 研究所によると、火山活動が活発になると、地下の温度上昇に伴い岩石から磁気が失われる現象が起こる。この変化を調べるため、大涌谷周辺で、蒸気の噴出場所から数百メートルの3地点で地磁気の観測機器を使い、2週間程度の間隔で調査を続ける。

 また、この3地点とは別に、大涌谷から北へ数キロ離れ、火山活動の影響がない1地点でも2週間おきに観測を続け、データの比較などをする。

 火山活動に伴う地磁気の変化は、多くの火山で観測されている。昨年には、草津白根山(群馬、長野県)で、地下の温度上昇を地磁気の観測から把握。火山性地震の増加なども踏まえ、気象庁は同6月に警戒レベルを2へ引き上げた。

 箱根山では既に、気象庁が大涌谷での観測態勢を強化するため、蒸気の噴出を直接確認するカメラや、噴火の際に空気の振動で爆発規模を測定する「空振計」を増設している。

災害対策訓練に建機操縦ロボ 寒川町の業者開発

2015/5/27 東京新聞神奈川版

 県が開発を支援した建設機械の操縦ロボットが、県警の災害対策訓練でモニター使用されることになった。ロボット産業の振興を目指す県の取り組みの一環。使い勝手や効果などを検証・評価し、普及を後押しする。

 ロボットは、建機の運転席に設置し操作レバーなどを接続して、人が無線による遠隔操作で動かす。パワーショベル用で、既存の建機を改造せずにそのまま使えるのが特徴。振動にも強く、斜面崩壊や建物倒壊で二次災害の危険がある現場などで、人が近づかずに作業ができる。寒川町の特殊車両製造販売会社コーワテックが開発した。受注生産で価格は約600万円。

 県は、県央と湘南地域の10市2町を「さがみロボット産業特区」に指定し、関連産業の育成などに取り組んでいる。コ社のロボットは昨年、県の公募型実証実験の対象となり、今年4月に商品化された。同社によると、クレーン車などほかの建機用も開発予定。放射線量が高い東京電力福島第一原発事故現場の作業に使えないか、という照会もあるという。

 黒岩祐治知事は「災害対応用のロボットは非常に高額で使用頻度が少ないことが普及のネック。公共機関を中心に需要の喚起が必要になる」と話す。県警危機管理対策課によると、操作練習をした後、6月の風水害訓練で活用する予定。

 黒岩知事は、噴火警戒が続く箱根・大涌谷で、ロボット活用の可能性について検討を関係部署に指示。28日には県産業技術センター工芸技術所(小田原市)で「火山活動対応ロボット緊急開発プロジェクトチーム」の初会合を開き、地元関係者やロボット研究の専門家らが、現場のニーズなど話し合う。

 (原昌志)

温地研「群発地震6月末~8月末まで続く可能性」

2015/5/22 東京新聞朝刊

 噴火警戒レベル2(火口周辺規制)の状態が続く箱根・大涌谷の火山活動について、県温泉地学研究所の里村幹夫所長は21日の県議会防災警察委員会で、一帯の群発地震などの活動は少なくとも6月末~8月末ごろまで続く可能性があり、気象庁による警戒レベル引き下げは当分困難との見通しを報告した。

 里村所長の説明では、大涌谷で局所的な隆起がみられ、箱根山全体も微妙に膨らんでいる。大涌谷の隆起は地下からの水蒸気圧力の影響で、山全体の膨らみはさらに深い地下からマグマが供給されていることが理由とみられる。

 群発地震の回数は今月19、20日には減少しているが、隆起や膨張といった地殻変動が続いていることから、里村所長は「群発地震はすぐに収まりそうにはない」とした。活動期間は、地震が顕著になった4月末を起点として「過去の例から考えて2~4カ月くらい続くことを覚悟しなければならないのでは」と述べた。

 今回は、過去に活発だった2001年より地震数の増え方や地殻変動の進み方が早い。01年は活動期間が5~6カ月に及んだ。

 今回の群発地震は4月26日ごろから始まり、今月15日には一日当たり500回を記録したが、19日に126回、20日には84回と減ってきている。

 一方、地表の傾斜の観測装置や衛星利用測位システム(GPS)観測、人工衛星のレーダー測定などのデータから、箱根山はまだ膨らみ続けており、火山活動は引き続き警戒が必要という。

 噴火については水蒸気噴火が懸念されるが、温地研は仮にあっても小規模にとどまるとみている。

 (原昌志)

ロープウェイの代行バス運行 箱根、全線結ぶ

2015/5/20 東京新聞夕刊社会面

 箱根山(神奈川県箱根町)の火山活動の影響で運転を見合わせている「箱根ロープウェイ」は20日、代行バスの運行を始めた。観光客の移動手段を確保し、つなぎ留める狙い。

 バスは午前8時45分から午後5時15分の間、15~20分間隔で運行。早雲山(そううんざん)-桃源台の全線を、運転見合わせ前と同じ約25分で結ぶ。町が出した避難指示区域内にある大涌谷(おおわくだに)駅には停車しない。

 箱根ロープウェイの年間利用客は約250万人。噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられた6日から運休し、早雲山駅で接続する箱根登山鉄道や桃源台駅がある芦ノ湖の観光船の利用客が減少していた。

 約15年前に来て以来2回目の箱根旅行という兵庫県姫路市の男性(73)と妻(67)は、運休と知らず、ロープウェイを目的の一つとしていた。「前回は車で来たのでロープウェイに乗らなかった。(運休は)残念だが、バスの中からもきれいな景色が見えることを期待している。桃源台駅まで行き、観光船に乗る」と話していた。

黒たまご業者らも避難区域立ち入り

2015/5/18 東京新聞夕刊社会面

 噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられている箱根山(神奈川県箱根町)で、噴火が想定される大涌谷(おおわくだに)の半径約300メートルの避難指示区域に18日、名物の黒たまごを販売する業者や火山活動を紹介する博物館などの関係者計90人が、貴重品やごみを回収するために立ち入った。

 宿泊施設に温泉の湯を供給する業者や区域内に大涌谷駅がある箱根ロープウェイとともに、町が立ち入りを許可した。

 気象庁が6日に噴火警戒レベルを引き上げて以降、観光地となっている大涌谷は立ち入りが制限され、販売店やレストラン、博物館は休業が続いている。こうした事業者は町が最初に立ち入りを認めた7日にも同じ目的で入っており、今回が2回目。

 ヘルメットをかぶった関係者らは午前9時から30台前後の車で次々と、県道の通行止め地点から避難指示区域の中へ向かった。警備などのため神奈川県警の8人、自衛隊の4人も同行した。町が立ち入りを許可したのは約2時間。

 町によると、湯を送るパイプの清掃など屋外で作業する温泉供給業者などにはヘルメットや盾などの「強固な安全装備」を身に着けることを条件としているが、事業者は車で移動、すぐに建物に入るため、ヘルメットのほかに通信機器の所持など比較的軽い装備での立ち入りを許可した。

箱根山、最大12センチ隆起か

2015/5/18 東京新聞朝刊社会面

 噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)となっている箱根山(神奈川県)の大涌谷で、火山活動が活発になる前の4月中旬と比べ、地面が最大約12センチ隆起したとみられることが分かった。国土地理院(茨城県つくば市)がホームページで17日までに明らかにした。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用する陸域観測技術衛星「だいち2号」で観測した今年4月17日と5月15日のデータを、国土地理院が比較した。

 大涌谷で蒸気が勢いよく噴出する状況は17日も続き、山体の膨張を示すデータも観測。気象庁は引き続き、小規模な水蒸気噴火への警戒を呼び掛けた。

箱根観光後押しに旅行券活用 知事方針

2015/5/17 東京新聞朝刊

説明を受ける黒岩知事

県温泉地学研究所スタッフの説明を受ける黒岩知事(左)。前方が大涌谷方面=箱根町仙石原で

 噴火警戒レベル2の状態が続く箱根・大涌谷の立ち入り規制による箱根観光への影響をめぐり、黒岩祐治神奈川県知事は16日、大涌谷近辺や芦ノ湖周辺などを視察後に記者会見し、誘客を促すために「ふるさと旅行券」を活用する考えを示した。券を箱根地域で使う場合、何らかの特典をつけることなどを検討している。

 国の緊急経済対策に伴い県が実施する旅行券は、額面1万円の宿泊券を5000円で販売し、残りの5000円は国の地方創生交付金をあてる仕組み。7月上旬から28万5000枚を、全国のコンビニエンスストアなどで販売する予定。県内各地のホテルや旅館で使えるようにする方針だが、噴火警戒の影響がみられることから、箱根の観光誘致に力点を置くことにした。

 黒岩知事はこの日の視察について「大きな風評被害にはつながっていないと実感した」と述べる一方、「まだまだお客が減ってる側面はある」と説明。「旅行券を全国に広報展開する中で、箱根PRを強化し、箱根を応援する旅行商品を企画したい」と語った。

 県産業労働局担当者によると、旅行券を箱根で使用した場合には割引率を上げたり、一部を箱根地域内の限定とすることなどを検討中という。

 会見に先立つ視察で知事は、大涌谷から約900メートル離れた県道から、噴気の方向や蒸気の噴出音を確認。芦ノ湖付近の宿泊施設や観光スポット、箱根湯本の商店街で観光客や商店主らと言葉を交わした。

 (原昌志)

箱根「レベル2」1週間 火山活動、数カ月も

2015/5/14 東京新聞朝刊社会面

 噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に上がり1週間たった箱根山(神奈川県箱根町)は13日、火山活動の活発な状態が続いた。今後の見通しについて、気象庁火山課では「何カ月続くか分からないが、近年の例では短くて1~2カ月、長くて5カ月ほど続いており、今回もそれぐらい続く可能性は考える必要がある」と説明している。

 気象庁の観測によると、13日の火山性地震の回数は午後9時までに11回(有感地震なし)と、10日の266回(有感6回、最大震度2)に比べて少ないが、一連の活動が始まった4月26日からの通算回数は800回を超えた。

 町による立ち入り規制が続く大涌谷(おおわくだに)では依然、蒸気が勢いよく噴き出しており、傾斜計やひずみ計の観測データでは、山がわずかに膨らむ地殻変動が続いている。

 地下のマグマの動きを示す火山性微動などは観測されていない。

宿の温泉 供給継続へ複数の源泉確保

 一部業者の立ち入り規制が緩和された箱根山の大涌谷で14日、源泉から旅館やホテルに温泉を供給している業者が6日ぶりに保守作業を行う。立ち入れる区域は限られるが、仮に施設が使えなくなった場合でも、供給源は他にもあり、旅館やホテルに全く温泉が供給できなくなる可能性は低いという。

硫黄が付着した温泉井戸施設

硫黄が付着した温泉井戸施設(箱根温泉供給提供)=14日午前9時22分、箱根町で

 作業するのは、13日に町に立ち入りを申請し、許可された「箱根温泉供給」(箱根町)。噴石を防ぐヘルメットや盾、プロテクター姿の社員9人が午前中の2時間、想定火口域の半径300メートルの規制区域に入り、同200メートルの外側で作業する。一般の立ち入り規制は半径300メートルで、変わっていない。

 源泉周辺の配管内は硫黄が付きやすく、毎日掃除しないと供給される湯量が減る恐れがある。源泉は今後も入れない半径200メートル内に集中しており、蒸気と水で温泉をつくる蒸気井(じょうきせい)は清掃できないため、14日は周辺の送湯管を手入れする。ただ、同社の担当者は「蒸気井のほかに、手入れが不要な湧泉もあり、蒸気井がすべて止まっても供給量はゼロにならない」と話している。

 県小田原保健福祉事務所によると、町内の旅館・ホテル、浴場に温泉を供給しているのは18業者で、源泉は250。「箱根温泉供給」は蒸気井12と湧泉19を大涌谷に持ち、仙石原と強羅地区の一部に供給しているが、自家源泉を持つ施設や他の事業者から温泉を買っている旅館・ホテルは影響を受けない。

 (西岡聖雄)

大涌谷初日立ち入りなし 地震800回超

2015/5/13 東京新聞朝刊社会面

 噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)となった箱根山(神奈川県箱根町)で、町による大涌谷(おおわくだに)への立ち入り規制(半径300メートル)が12日、緩和された。温泉やロープウエーなどの関連業者が対象で、想定火口の半径200メートルまで近づけるが、この日は立ち入り申請はなく、だれも入らなかった。

 気象庁が噴火警戒レベルを2に引き上げてから、13日で1週間。火山性地震は12日も続いており、4月26日以降で800回超となった。

 立ち入り申請は13日も出ておらず、立ち入り再開は14日以降になる。温泉供給会社は、噴石を防ぐプロテクターや透明な盾などの装備が準備できていないとして、申請のめどがたっていない。日々の保守点検を必要とする温泉の井戸は、今後も立ち入れない半径200メートル内に集中しているため、規制緩和の効果はあまりないという。

大涌谷で8センチ隆起 2日連続の有感地震

2015/5/12 東京新聞朝刊社会面

 噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)へ引き上げられた箱根山(神奈川県箱根町)では、11日も体に感じる震度1の地震を観測するなど、活発な火山活動が続いた。有感地震の発生は2日連続。気象庁は、蒸気が噴出している大涌谷周辺での小規模な水蒸気噴火に警戒を呼び掛けている。

大涌谷

火山活動が続く箱根山の大涌谷=11日、神奈川県箱根町で、本社ヘリ「あさづる」から

 また国土地理院(茨城県つくば市)は11日、大涌谷付近が三月より最大約8センチ隆起していることが新たに分かったと発表した。地下の浅い所で地盤を押し上げる圧力がかかった状態が続いているとみている。

 気象庁は、有感地震が続いたことについて「マグマの活動に関係があるとされる低周波地震や火山性微動の観測はなく、火山活動に大きな変化があったわけではない」と説明している。

 気象庁によると、11日の火山性地震は午後3時までに36回を確認した。このうち震度1を観測したのは箱根町で、発生時刻は午後2時15分ごろ。震源の深さはごく浅く、地震の規模を示すマグニチュード(M)は1.3と推定される。

 10日の火山性地震は、観測データがある2001年以降で最多の266回に上り、うち有感地震は震度2が1回、震度1が5回の計6回。

 震度2の地震は午後6時すぎに起き、気象庁が十一日にM3.1からM3.0へ修正したが、今回の火山活動が活発化した後では最大の規模だった。

 国土地理院は8日、大涌谷付近が昨年10月より最大約6センチ隆起していたことが分かったと発表していた。約8センチの隆起が判明した地点とは約100メートル離れていた。

業者の立ち入り、条件付き再開へ

 神奈川県箱根町は11日、温泉などの機器の保守を目的とする業者向けに新たな立ち入り許可基準を設定、例外的に十二日以降の立ち入りを認めることを決めた。一般人はこれまで通り三百メートル内は立ち入り禁止。

 対象は大涌谷の一部(半径三百メートル)に機器がある温泉、ロープウエー、水道の三業者。ヘルメットなど特別な装備を付け、午前中の二時間だけの条件付きで認める。噴気が激しく出ている場所から半径二百メートルまで近づけるが、それより内側には入れない。

 四百軒の旅館や保養所、別荘に温泉を供給している会社「箱根温泉供給」(箱根町)は二百メートル内にある井戸の清掃ができなくなるため、一部で湯量減少などの影響が生じる可能性があるという。

 町の担当者は「半径二百メートルの範囲外にある送湯管などのメンテナンスはできるようにした」としているが、同社の担当者は「大変厳しい条件だ」と話しているという。

HAKONE観光を安全に 外国人に分かる情報伝達

2015/5/10 東京新聞朝刊社会面

 噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられた箱根山の大涌谷(おおわくだに)がある神奈川県箱根町には、年間17万人もの外国人観光客が訪れる。訪れて初めて、立ち入り規制やロープウエーの運休を知る人も多い。町観光協会は英語のチラシの配布などを始めたが、外国人観光客からは「避難場所やルートを明記した地図や写真で分かりやすく」「宿泊先にも情報を」といった声が上がっている。

 箱根の玄関口の箱根登山鉄道箱根湯本駅前。バス案内係を務める箱根登山バスの田辺拓也さん(22)は、芦ノ湖畔の元箱根行きなどの乗り場を外国人客らに教えている。大涌谷を通るロープウエーの運休で、鉄道と遊覧船、バスを乗り継いで箱根を一周する「ゴールデンルート」は回れないが、「元箱根からも富士山が見えますよ」などとアドバイスする。

 小涌谷の温泉施設に向かっていたフィリピン人のフランセス・フランシスさん(22)=浜松市=は「水蒸気爆発の恐れがあることや、小涌谷は安全ということはニュースで知っている」。介護福祉士を目指して来日してから一年過ごした経験から「外国人観光客には、図や写真で危険な場所や安全な避難ルートを分かりやすく示したカードやチラシが有効では」と指摘した。

 オーストラリアから旅行に来たファッションデザイナーのピーター・ジェームス・マードックさん(36)らは「噴火警戒を今初めて知った。日本語のテレビニュースを見ても分からない」と戸惑った様子。大涌谷周辺のホテルに泊まった米国人の学生ボリソフ・マシューさん(27)は「衛星放送を見て驚いたカリフォルニアの母から連絡が来るまで、どんな事態か知らなかった。大涌谷で富士を見られると思ったのに、立ち入れず残念」と話した。

 町観光協会は8日から、箱根湯本駅前の観光案内所で、立ち入り禁止区域が大涌谷の半径300メートルに限られていることを記した地図や英文の説明文を配り始めた。週明け以降、中国語や韓国語のチラシも作り、ホームページに掲載する。

 ただ、旅行者からは自治体のホームページはあまり見ないという声も。マードックさんらは「噴火警戒レベルなどを流す英文サイトとリンクした宿泊先でのサイトを増やしては」、マシューさんは「最新情報の説明文を観光名所や宿泊先に置くようにすれば」と提案していた。

 (西岡聖雄)

変わらぬ日常…でも不安 規制は一部

2015/5/8 東京新聞1面

 年間2000万人の観光客でにぎわう神奈川県箱根町の名所、大涌谷の一部に町の避難指示が出され、立ち入り禁止になった。

 対象エリアには箱根ロープウェイ(早雲山-桃源台間4キロ、4駅)の大涌谷駅が含まれる。ロープウエーは全線が運休した。大涌谷への観光客は年間300万人。ロープウエーは250万人が利用する。空中から大涌谷の噴気や、眼前に迫る富士の絶景を眺め、芦ノ湖畔の桃源台から遊覧船で湖を周遊するのが人気コースだった。

 ただ、現在の警戒レベルは「2」で立ち入り禁止は、万一噴火した場合、噴石が飛ぶ可能性のある半径300メートルの範囲に限られている。路線バスは動いており、立ち入り禁止地域以外の場所はマイカーでも回れる。大涌谷以外の名所は7日も多くの観光客でにぎわった。立ち入り禁止地域に民家はなく、町民も普段通りに生活している。

 箱根登山鉄道箱根湯本駅前で観光客用に人力車を引く片山良さん(22)は「連休中に宿泊した観光客がまだ残っているので7日の人出は多かった。ただ、『心配なので山の上から早めに下りてきた』と話す客もおり、風評被害が心配」と語った。

 神奈川県温泉地学研究所の竹中潤研究課長は「水蒸気噴火しても、昨年の御嶽山噴火より規模は小さく、噴石は飛んでも700メートル以内だろう」と指摘している。

 (西岡聖雄、荒井六貴)

ハイペースの群発地震

2001年時の2倍 水蒸気爆発を警戒

2015/5/8 東京新聞3面

 地震が急増して水蒸気爆発への警戒が続く神奈川県の箱根山。御嶽山(おんたけさん、長野・岐阜県境)のような噴火が起こるのだろうか。危ない状態はいつまで続くのか。これまで箱根山で起きた火山性の群発地震と比べて考えてみた。

 (榊原智康、永井理)

水蒸気爆発の仕組み

 箱根山の群発地震は2000年以降、01年、06年、08年、11年、13年に起きている。

 地震の大本の原因は、箱根山の地下6~10キロにたまったマグマだ。何かのきっかけでマグマに熱された水が地下深くから上昇してくる。すると、地表近くの地下水が熱くなって圧力が高まり、周囲の岩盤を押して壊して亀裂が入る。そのときの震動が群発地震として観測される。

約半月で千回超

 最も激しかったのが2001年の群発地震だ。まず山がわずかに膨らむ地殻変動が起き、続いて地震が増えた。やがて温泉を採取する井戸が吹き飛び、水蒸気がごう音を上げて噴き上がった。その蒸気の柱はふもとの神奈川県小田原市からも見えたという。

 大涌谷(おおわくだに)の駐車場付近には噴出音が響き渡り硫黄の臭いも漂った。ガスに注意するよう看板も立てられた。かなり危うい状態だったが、当時は噴火警戒レベルもなく、立ち入り規制はされなかった。

 小山真人・静岡大教授は「地殻変動、地震、噴気の三点がそろった群発地震は今回と2001年だけ。よく似ている」と指摘する。同規模だとすれば、今回も激しい噴出が起こる可能性は十分にある。

 2001年よりも規模が大きくなる恐れもある。神奈川県温泉地学研究所の竹中潤研究課長は「地震発生のペースが01年のざっと2倍」と話す。2001年の群発地震は約4カ月間続いて4000回あまりの地震を記録した。今回は約半月で1000回を超した。地下水が急激に不安定になったようだ。

地滑りも引き金

 熱くなった地下水が地上に噴き出すと、水蒸気爆発が起こる。御嶽山で起きたのと同様の噴火だ。石原和弘・京都大名誉教授は「ただ、御嶽山の噴火よりも爆発の規模は小さいだろう。吹き飛ばす噴石や灰の量は御嶽山の百分の一以下で、噴石の飛び出す速度も小さい」とみる。

 理由は地震の分布だ。「御嶽山では火口の下だけで地震が起きてエネルギーが集中していた。箱根は地震が浅く広い範囲で起きている。熱い水が薄く広がり、どこか出やすいところで噴出するという状況」。エネルギーが集中せず爆発も大きくならないという。

 逆に、どこで起きるか分からない状況でもある。小山教授は「地滑りなど何かのきっかけで水蒸気噴火を引き起こすことがある。土木工事が原因で小規模な水蒸気爆発が起きたこともある」と注意を呼びかける。

最低でも2カ月

 この状況はいつまで続くのか。2001年の群発地震は4カ月、13年の場合は2カ月ほど続いた。熱された水が急に冷めることは考えにくいので、少なくとも2カ月程度は続くというのが専門家の見方だ。

 今後は、地震の原因になるマグマの活動に注意が必要だ。活動が活発になると、群発地震が長引いたり、噴火の危険度が高まったりする可能性がある。石原名誉教授は「マグマのある地下深くで集中して地震が起きたり、火山ガスが増えたり、火山性微動が起こったりしないか観測していく必要がある。判断のもとになるデータを集めるのが重要」と指摘する。

 群発地震はまだ始まったばかり。油断のできない状況が数カ月は続きそうだ。

箱根規制 周知を徹底

2015/5/8 東京新聞朝刊社会面

 箱根山(神奈川県箱根町)の噴火警戒レベル引き上げに伴い、町が一部に避難指示を出した大涌谷(おおわくだに)では7日、温泉供給施設の業者などが許可を得て立ち入り、保守作業などを行った。町は立ち入り禁止区域の分かりやすい地図をホームページ(HP)に載せるなど、箱根観光全体への風評被害防止に取り組んでいる。

 許可制での立ち入りが認められたのは、町内の旅館などに温泉を供給する会社やロープウエー、水道施設の3業者。大涌谷に10カ所の井戸を持ち、仙石原(せんごくばら)や強羅(ごうら)地区四百軒の旅館や保養所、別荘に温泉を供給する「箱根温泉供給」(箱根町)は7日午前と午後の2回、職員10人が立ち入り禁止区域に入った。

 蒸気から温泉をつくる造成装置や周辺のパイプを念入りにチェック。配管内に硫黄分が固着すると湯量が減るため、日々の清掃は欠かせず、担当者は「温泉の色やにおいも変わっていなかった」と話した。

 大涌谷駅を含む全線(早雲山(そううんざん)-桃源台間4キロ)を運休したロープウエー会社も職員5人が午前9時から大涌谷駅へ。ロープだけを試運転し、電気系統も調べた。

 担当課長の亀川良治さん(43)は「万全の態勢で営業再開できるよう、週に3~4回は試運転していく」と話す。

 金庫の撤収など防犯上の臨時措置として、土産物店の職員30人が入るなど計50人がヘルメット姿で立ち入り禁止区域に入った。町は立ち入りを申請・許可制とし、現場が危険な状態にならない限り、今後も保守目的の3業者の立ち入りを認める。

 一方、山口昇士(のぶお)町長は7日、箱根温泉旅館協同組合(99旅館・ホテル)の役員と協議。大涌谷の一部の半径300メートルの立ち入り禁止区域の分かりやすい地図を作り、正確な情報を町や観光協会のHPに載せることを確認した。海外からも「箱根は大丈夫か」と問い合わせがくることから、英文版も早急に作る。(西岡聖雄)

「的確に情報発信」神奈川県が緊急対策会議

2015/5/8 東京新聞神奈川面

 箱根山の噴火警戒レベルの引き上げで、神奈川県は7日、緊急対策会議を開き、箱根の観光産業への影響を抑えるため、県のホームページ(HP)やツイッターなどの会員制交流サイト(SNS)を活用し、危険区域が一部にとどまっていることをアピールする方針を確認した。

 黒岩祐治知事は取材に「箱根全体が噴火していると思われるかもしれないが、非常に限られたエリアということを分かるように発信しなくては」と説明。「人的被害ゼロ、風評被害ゼロを目指すために的確な情報を伝える」と述べた。外国人観光客向けに多言語での情報発信も行うほか、県のHPで現地の生映像を流すことも検討する。

 県は本年度、箱根山の火山活動監視強化のため、新たな地震計や熱赤外カメラといった監視装置の導入を予算化している。水蒸気噴火の兆候をより詳しくつかめるが、稼働まで数カ月かかる見通し。黒岩知事は「できる限り早く導入したい」と述べた。

ロープウエー、開業以来の噴火警戒停止

2015/5/7 東京新聞夕刊社会面

箱根周辺地図

 箱根山(神奈川県箱根町)の噴火警戒レベルを気象庁が1から2へ引き上げたことを受け、宿泊やレジャー施設の一部で予約キャンセルが出始めた。箱根ロープウェイ(同県小田原市)は6日から全線を運休している。箱根は全体で年間2000万人が訪れる人気の観光地だけに、関係者は火山活動の行方や影響を心配している。(西岡聖雄)

 箱根火山の火口がある名所・大涌谷(おおわくだに)(標高約1050メートル)から上がる白煙を見下ろすロープウエーは箱根観光の目玉。黒いゆで卵も大涌谷の名物だ。強風や雷を除けば、噴火警戒による運行停止は1959年の開業以来初めてという。

 早雲山(そううんざん)駅で、韓国の銀行員パク・ジョン・ジンさん(36)は「以前、大涌谷の蒸気に感激したので今回は2家族9人で来日したのに」と落胆した面持ち。駅員は「6日の乗降客数は例年の大型連休の一割くらい」と嘆いた。

 箱根登山電車の強羅(ごうら)駅では、都内の会社員岡崎旬平さん(30)が「大涌谷を見せたくて彼女と来たのに残念」と悔しそう。駅前の案内所の担当者(62)は「ロープウエーで芦ノ湖に行けなくなった外国人客の問い合わせが多い」と、外国語パンフレットを用意してバスでの行き方を教えていた。

 箱根町の立ち入り禁止措置で、大涌谷から温泉を仙石原(せんごくばら)や強羅地区の旅館や別荘など約400軒に供給する会社「箱根温泉供給」(箱根町)も危機感を抱く。大涌谷に10カ所の温泉井戸を持ち毎日掃除や点検をしており、怠ると硫黄分などで供給パイプが詰まりかねない。担当者は「規制が長引けば許可をとって点検に入らないと」と言う。

 町は7日に限り、監視員の配置やガス検知器携行、ヘルメット着用を条件に温泉供給や上水道、ロープウエーの業者に保守目的の大涌谷立ち入りを認めた。8日以降の対応はあらためて検討する。

 「限られた大涌谷周辺の噴火警戒だが、箱根全体への風評被害が一番怖い」と話す山口昇士町長は7日午前、箱根温泉旅館協同組合の役員と対策を協議。強羅地区の老舗旅館の支配人は「連休中は問題なかったが、ロープウエー中止で先々のキャンセルが出始めた。こんなことは初めて」と漏らした。

 小中学校は通常通り授業を実施した。

「大涌谷は噴火口そのもの」

 観光名所で知られる大涌谷周辺への立ち入りが規制され、地元経済への影響も懸念されるが、火山の専門家は「大涌谷は活火山の噴火口そのもの。ほかの火山と比べ、人が近すぎる」と指摘し、関係者に機敏な対応を求めた。

 「暴噴」。大涌谷にある温泉施設から蒸気が勢いよく噴き出す様子について、地元の関係者らはこう表現するといい、箱根山で確認されたのは2001年以来となる。

 過去の噴火は12世紀後半から13世紀ごろが最後。近現代に記録はないが、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)で活断層・火山研究部門の総括研究主幹を務める山元孝広さんは「鎌倉時代に起きたことは火山の一生で言えば、昨日起きたようなもの」と説明。

 箱根山のうち大涌谷の火山活動は「約三千年前から強弱をつけながら継続してきた。地下のマグマも冷えていないと考えられる」と解説する。

 気象庁は警戒レベルを引き上げた根拠として、5日午後9時台に発生し、震度1を記録した地震を挙げた。震源となった地下約5キロ付近には、マグマから出たガスのようなものがたまっていて、地表近くの水に熱を供給し、蒸気を発生させているとみられる。

 山元さんは、一時的な火山性地震が特に増えた11年以降は、東日本大震災の影響もあり、活動が活発な時期を迎えていたと分析。「以前に噴気がなかった所からも出るようになり、異変があった」と話す。

 有数の観光地として国内外から多くの人が訪れる箱根だが、山元さんは「火山である認識を持たないまま、安易に近づける状態が、ほかの火山と違う」と指摘。「あちこちから蒸気が出て、どこでも噴火口になり得る。噴火後に雨が降れば、土石流が起きる恐れもある」と注意を求めた。

箱根山で火山性地震が急増 気象庁観測

2015/5/6 東京新聞朝刊社会面

 気象庁は5日、箱根山(神奈川県箱根町)で早朝から火山性地震が急増し、午後3時までに98回を観測したと発表した。このうち午前6時台に観測した2回については、体に感じる震度1の地震で、箱根山付近を震源としていた。また午後9時すぎにも震度1を観測した。

 気象庁は、箱根山の火山活動がやや高まった状態で推移していると分析。大涌谷付近で小規模な蒸気の噴出が突発的に起きる恐れがあるとして、立ち入りが禁止された地域に近づかないように呼び掛けている。

 噴火の恐れは低いとみており、5段階ある噴火警戒レベルは1(平常)を維持するが、気象庁は「マグニチュード2以上の地震が1日10回程度を超えれば引き上げの基準を満たす」とした。

 4月26日から増加傾向になった箱根山の火山性地震は、5月1日に2回へ減少。その後、2日に37回、3日に36回、4日に34回と推移したが、5日は午前5時以降から急増し、午後3時までに98回となった。

 神奈川県箱根町で震度1を観測した地震は午前6時22分、午前6時56分、午後9時13分の3回発生。震源はいずれも箱根山付近で、震源の深さは約10キロからごく浅く、地震の規模はマグニチュード(M)2.6~2.0だった。

 箱根山の火山性地震は2001年に1日で101回、13年にも72回を観測したことがある。体に感じる震度1以上の地震は2011年3月以来。

 3日から蒸気噴出が確認されている大涌谷付近では、5日も気象庁の現地調査で勢いよく噴出しているのが確認された。火山性微動は観測されていない。

 箱根町は4日から、大涌谷付近の遊歩道やハイキングコースへの立ち入りを規制している。

水蒸気爆発の危険も 専門家

箱根山の歴史

 「今回のような地震はそれほど特異ではない。水蒸気爆発を起こすリスクは常にある」。地震が急増した連休の箱根山。収束する気配はまだなく、専門家は水蒸気爆発の危険性もあると指摘する。昨年9月の御嶽山(おんたけさん)噴火も水蒸気爆発だった。箱根山の活動に詳しい高橋正樹・日本大教授は「大涌谷の地下には熱水があり何かのきっかけで活発にうごめく」と分析する。

 箱根山の群発地震は数年ごとに起きている。最近では2011年(東日本大震災の直後)と13年にあった。この20年間で最も激しかったのは2001年。群発地震が約半年間続き、大涌谷で温泉を採取する井戸が吹き飛び、蒸気がごう音を上げ噴き上がった。「箱根山のマグマは大涌谷の南の地下にあり、2001年はそのマグマが上昇したとみられる」と高橋教授は推測する。

 今回の活動はどうなるのか。火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長は、地震や地殻変動の状況から「2001年と同じぐらいか、場合によっては少し上回る状況になるかもしれない」とみる。

 「蒸気が噴き出すことで不安定な状態が収まればいいが、悪くすれば水蒸気爆発の可能性もある。噴き出している蒸気がぱたっと止まったりすると要注意」との見方を示す。また、地下4~6キロの深い場所で地震が活発になったり、体に感じる地震が急増した場合も危険信号で、水蒸気爆発を警戒した方がよいという。(榊原智康)

地元観光業 風評に懸念

 ゴールデンウイーク真っ最中の箱根町では、ハイキングコースを閉鎖するなど、収まらない火山性地震に、町役場などが対応に追われた。

 観光業関係者からは風評被害を心配する声も上がった。

 町は4日から、大涌谷付近のハイキングコースを閉鎖した。箱根山の噴火に備え観光客を避難誘導するマニュアルに沿った対応だ。ただ、町総務防災課の職員は「すぐ噴火に結びつくわけではないと聞いている。大涌谷周辺も車で行ける所は規制していない」と説明する。

 町はホームページで現在の噴火警戒レベルを公表し、閉鎖区間を示すとともに「住民や観光客の安全を最優先に考え、噴煙地に近い場所の立ち入りを規制するためのもの。箱根の他の地域まで規制が及ぶものではありません」というメッセージを載せた。

 箱根山のふもとにあるホテルでは、客から「大丈夫か」と問い合わせがあるという。男性従業員は「こちらも情報収集をしてお客さまに伝え、万が一の時は避難誘導マニュアルに沿って対応する。でも、ごくわずかだが宿泊予約のキャンセルはある」とため息をついた。

 同町湯本の土産店の女性(56)は「今のところ客足に変化は感じられない。体に感じる揺れが観測されたことは不安材料だが、現地は比較的冷静に対応しており、風評被害を懸念している」と語った。

 (中沢佳子)

箱根山で蒸気を確認 突発的噴出の恐れ

2015/5/5 東京朝刊社会面

 気象庁は4日、火山性地震が増加している箱根山(神奈川県箱根町)を現地調査し、大涌谷近くの温泉施設から噴出している蒸気を確認した。5段階ある噴火警戒レベルは1(平常)を維持するが、大涌谷地下の浅い部分で熱水活動が不安定な状態にあり、今後も突発的に小規模な蒸気噴出が起きる恐れがあるとしている。

 箱根町は4日午前、遊歩道「大涌谷自然研究路」のうち、大涌谷の周辺約300メートルを規制。半径約3キロの範囲にあるハイキングコースも立ち入りを禁止した。

 火山性地震は4月26日から増加傾向となった後、5月1日は2回に減ったが、2日に37回と再び増加。3日も36回で、4日は午後3時までに8回を観測した。地震に関連するとみられるわずかな地殻変動も続いている。火山性微動は確認されていない。

大涌谷周辺立ち入り禁止 観光客「全山」勘違いも

2015/5/5 東京新聞神奈川版

 突発的な蒸気噴出に備え、箱根町が観光地「大涌谷」周辺(標高1050メートル)で4日から実施した立ち入り規制は、土砂崩れや有毒ガスの発生時を除けば初の措置という。町内24のハイキングコースのうち、立ち入り禁止は大涌谷周辺の4コース(延べ12キロ)と一部にすぎない。ところが、箱根山全山の立ち入り禁止と勘違いした観光客からこの日、町役場に問い合わせが殺到した。

 東日本大震災による揺れを除くと、箱根山の火山性群発地震は2001年以降、5回目。マグニチュード1未満の小さなもので、今回の有感地震(震度1相当)も4月末に4回起きただけだ。震源域は大涌谷周辺の地下6キロ以内と浅い。

 今回、ハイキングコースや遊歩道の自然研究路(300メートル)の立ち入りを禁止した理由として、町は(1)群発地震(2)軽微な地殻変動(3)火山ガス濃度の上昇(4)水蒸気噴出の勢い増加-が同時に起きたことを挙げる。

 この四現象は2001年にも同時に起きているが、今回は大涌谷周辺の温泉施設から普段の倍以上、20メートル以上の蒸気が噴出し、浅い地下で熱水活動が不安定になっているとして、一部を立ち入り禁止にした。

 多くの犠牲者を出した昨年の御嶽山噴火は半月前から火山性地震が多発していた。噴火を察知できなかったのは、水蒸気爆発の噴火だったためとされる。マグマが直接流れ出すマグマ噴火は前兆も多く予測しやすいのに対し、マグマで地下水が熱せられる水蒸気爆発は突然起こり、予測が難しい。御嶽山の群発地震の震源も山頂の地下数キロと浅かった。

 数年置きに発生する箱根山の群発地震は近年、1~2カ月で収まっているが、今回の群発地震の現象と重なる2001年は半年近くに及んだ。熱水活動の動きが盛んな今回も終息まで長期化すれば、観光に与える影響を心配する声が出そうだ。

 年間2000万人の箱根の観光客のうち、300万人が大涌谷を訪れる。町観光課には4日、問い合わせの電話が数十件相次ぎ、臨時出勤した職員四人で対応。秋山智徳課長(51)は「車で大涌谷に行けるし、ロープウエーも動いているのに箱根全山の立ち入り禁止と誤解する人が多い。風評被害も心配なので、町のホームページなどで正しい情報を伝えたい」と話した。

 (西岡聖雄)

箱根山で火山性地震増加 遊歩道を規制

2015/5/4 東京新聞朝刊社会面

 気象庁は3日、箱根山(神奈川県箱根町)の大涌谷(おおわくだに)付近の浅い場所を震源とする火山性地震が増えていると発表した。突発的な蒸気噴出現象が発生する可能性があり、箱根町は同日、遊歩道「大涌谷自然研究路」を大涌谷の直径約300メートルの範囲で、周辺のハイキングコースも半径3キロの範囲で、それぞれ閉鎖することを決めた。

 気象庁は「直ちに噴火する兆しはみられない」として、噴火予報は「平常」を維持。立ち入り禁止区域以外の温泉地などには影響ないという。

 気象庁によると、4月1日以降の火山性地震は約150回で、特に4月26日から急増。そのうち、体に感じる揺れ(震度1相当)は4回だった。5月3日朝には、大涌谷近くの温泉施設で蒸気が勢いよく噴出しているのが確認された。

 箱根山では2013年にも5カ月間に約500回の火山性地震を観測するなど、活動が活発になることがあった。気象庁は4日に現地に職員を派遣して状況を調査する方針。

中日新聞 CHUNICHI WEB