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三河高浜駅近くの瓦置き場に積まれた三州瓦。後方を電車が走る=愛知県高浜市で

 窯は幅3.8メートル、高さ2.2メートル、奥行き4.5メートル。扉を開くと、熱を帯びた空気の向こうに、完成間もない瓦が並んでいた。

 愛知県高浜市の瓦製造「鈴幸」の工場。名鉄三河線高浜港駅の東約200メートルにある。創業107年という。

 この地の特産「三州瓦」。三河線の前身・三河鉄道が大正期に敷かれた主たる目的は、瓦の輸送だった。鈴幸の三代目鈴木弘さん(79)が子どものころは、高浜港や三河高浜の駅前に瓦の倉庫が並んだ。駅では仲買人が忙しく、貨車に積み込んでいたという。

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 平成になってバブル景気がはじけ、住宅需要は落ちていった。瓦を使わない家も増えた。駅前の倉庫は激減。鈴幸のような中小業者はかつての1割になった。

 四代目の長男幸利さん(57)は近年、神社仏閣に販路を見いだしている。伝統重視の顧客の注文は「新品に見えない色に」などと厳しいが、試行錯誤で応えている。最近はアジア各国の寺からも注文がある。生き残るため、これからも技術を磨くつもりでいる。

 文 ・安福晋一郎
 写真・鵜飼一徳

 名鉄三河線 碧南(愛知県碧南市)と猿投(同県豊田市)を結ぶ39.8キロで23駅。知立を境に猿投方面を「山線」、碧南方面を「海線」と呼ぶ通称もある。1914(大正3)年開通の三河鉄道が前身。2004年に吉良吉田−碧南間、猿投−西中金間が廃止された。豊田市−梅坪間では、名古屋市営地下鉄鶴舞線直通の名鉄豊田線の電車も運行されている。

田園、工場、住宅街と、車窓が多彩に変化する名鉄三河線(動画)

 

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