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車窓から見える石油化学コンビナートの工場の煙突=三重県四日市市の四日市あすなろう鉄道・日永−南日永間で

 昔、赤い風船が毎日のように空を漂っていた。三重県四日市市小古曽(おごそ)一の主婦鈴木公子(たかこ)さん(76)は、よく覚えているという。

 自宅は、四日市あすなろう鉄道小古曽駅そば。風船は、近くの丘にあった気象庁四日市測候所が飛ばしていた。開設された1966年から92年まで毎日、風船で風向と風速を調べた。

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 測候所誕生の契機は「四日市ぜんそく」。高度経済成長期の60年ごろ、臨海部の石油化学コンビナートの工場から排出されるばい煙の影響で、ぜんそく患者が出た。国が派遣した現地調査団は、実態把握には風を調べる必要性があるとして、気象観測施設の設置を唱えた。

 「くすんでいた」と鈴木さんが語る当時の四日市の空。工場からの排出規制が厳しくなり、変わっていった。測候所は合理化の一環で、97年に廃止された。

 測候所跡には今、一戸建て住宅が並ぶ。小古曽の駅からあすなろう四日市行きの電車に乗ると、沿岸部は進行方向右手の方角。晴れた日には窓から、澄んだ青空に伸びる煙突が見える。

 文 ・曽田晋太郎
 写真・大橋 脩人

 四日市あすなろう鉄道 あすなろう四日市−内部間の内部線5.7キロと、日永−西日野間の八王子線1.3キロ。全線が三重県四日市市内で9駅。1912(大正元)年、三重軌道として日永−八王子村間で開通し、22年に全線開通した。1965(昭和40)年から近鉄が経営。2015(平成27)年から、近鉄と四日市市が出資する第三セクターが運行し、市が車両や線路を所有する。軌間762ミリは他に三岐鉄道北勢線(三重県)と黒部峡谷鉄道(富山県)。

全線7キロのローカル線、四日市あすなろう鉄道(動画)

 

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