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1995年まで操業していた旧亀山製絲室山工場。建物は閉鎖され、内部には入れない=三重県四日市市室山町で

 四日市あすなろう鉄道八王子線の終点西日野駅から西へ約1.2キロ。三重県四日市市の四郷地区に洋風建築が立つ。亀山製絲(同県亀山市)の旧室山工場で、23年前まで操業した。

 建設は1903(明治36)年で、当初は地元実業家が営む伊藤製糸の工場だった。官営の富岡製糸場(群馬県)に人を派遣し、技術を学んだ。大正天皇も皇太子時代に視察した。

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 四日市あすなろう鉄道の前身・三重軌道は製品の生糸などを運ぶために敷かれた。当時、鉄道は西日野駅から工場付近を経由し、八王子村駅まで延びていた。

 糸は四日市港から欧米へ。昭和に入り、海外産に押されて生産は縮小され、1974(昭和49)年の水害を機に、鉄道の西日野駅より西は廃止された。

 今、旧工場の壁の一部ははがれ、瓦も少し落ちている。地元の郷土史家の田中明郎さん(82)は「貴重な産業遺産」と保存を求めるが、亀山製絲は「解体を含め検討中」。市の買い取りも困難という。遺産はいずれ、姿を消すのかもしれない。

 文 ・曽田晋太郎
 写真・大橋脩人

 四日市あすなろう鉄道 あすなろう四日市−内部間の内部線5.7キロと、日永−西日野間の八王子線1.3キロ。全線が三重県四日市市内で9駅。1912(大正元)年、三重軌道として日永−八王子村間で開通し、22年に全線開通した。1965(昭和40)年から近鉄が経営。2015(平成27)年から、近鉄と四日市市が出資する第三セクターが運行し、市が車両や線路を所有する。軌間762ミリは他に三岐鉄道北勢線(三重県)と黒部峡谷鉄道(富山県)。

全線7キロのローカル線、四日市あすなろう鉄道(動画)

 

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