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四日市あすなろう鉄道の車内。向かいあって座ると、足が触れるほど幅が狭い=三重県四日市市で

 随分と小さな電車だ。窓を背に座って足を伸ばせば、向かいの客の膝に届く。

 三重県四日市市を走る第三セクター鉄道・四日市あすなろう鉄道の線路幅は、762ミリ。JRの在来線より305ミリ狭い。

 前身は近鉄内部(うつべ)・八王子線。さらにさかのぼれば、大正期に開通した三重軌道を嚆矢(こうし)とする。用地費節約のため、幅を狭くした。線路際に住宅が立ち並び、拡幅はその後も難しかった。

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 狭いだけでなく、一部車両は古い。国、県、市の負担で3年前から順次、更新しているが、全14両のうち3両は30年以上前の製造。冷房はなく、扇風機が回る。同じ幅の鉄道は全国で希少。他社の中古車両を得るのは難しかった。「新品は高い。大事に使いました」と運輸課長兼施設課長の森田幸宏さん(63)は語る。

 ただ、狭さ、小ささも個性。社名は「明日(あす)」と「ナロー(英語で狭い)」を組み合わせた。利用者の会社員井上誠二さん(51)は「かわいらしく、愛着がある」。小さな電車は地域に愛される限り、あしたも走る。

 文 ・曽田晋太郎
 写真・大橋脩人

 四日市あすなろう鉄道 あすなろう四日市−内部間の内部線5.7キロと、日永−西日野間の八王子線1.3キロ。全線が三重県四日市市内で9駅。1912(大正元)年、三重軌道として日永−八王子村間で開通し、22年に全線開通した。1965(昭和40)年から近鉄が経営。2015(平成27)年から、近鉄と四日市市が出資する第三セクターが運行し、市が車両や線路を所有する。軌間762ミリは他に三岐鉄道北勢線(三重県)と黒部峡谷鉄道(富山県)。

全線7キロのローカル線、四日市あすなろう鉄道(動画)

 

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