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日没後、電車のヘッドライトを浴びて輝く線路=愛知県一宮市の名鉄尾西線奥町−玉ノ井間で

 玄関を開けると、プラットホームが現れた。上は板張りで床になっている。靴を脱ぎ、おじゃました。

 愛知県一宮市の愛敬(あいきょう)清一さん(74)方は、廃止された旧・木曽川橋駅のホームの一部(長さ約5メートル、幅約2メートル、高さ約0.5メートル)を活用。同じ高さに土を盛って広げ、一部に畳を敷いた。15年前に別棟に移り、今は物置として使う。父親がホームの一部が残る土地を買い、家を建てたのは60年前。愛敬さんは「壊すのも大変だから、土台に使ったのでしょう」と語る。

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 名鉄尾西線のうち、木曽川橋を含む奥町−木曽川港間5.3キロは戦時の1944年、休止に。線路ははがされた。同じ運命を強いられた他路線のレールとともに、名古屋などの軍需工場付近の線路増設に使われた。地元の陳情もあり、奥町−玉ノ井間1.5キロは戦後の51年に復活したが、残りは廃止された。

 玉ノ井の先の廃止区間は今、道路になっている。線路跡などない平凡な片側一車線。地元の人たちは「電車道」と呼んでいる。

 文 ・清水裕介
 写真・浅井 慶

名鉄尾西線  弥富から名鉄一宮を経て玉ノ井に至る。30.9キロで全22駅。全線を直通運転する列車はない。1898(明治31)年に弥富−津島(津島市)間で開業した尾西鉄道が前身。徐々に延伸し、1918(大正7)年には、玉ノ井の先の木曽川港まで開通した。25(大正14)年に名鉄が吸収合併。51(昭和26)年から、現在の弥富−玉ノ井間で運行している。

繊維産業が盛んな尾州を走る名鉄尾西線(動画)

 

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