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名鉄玉ノ井駅に到着した列車と、のこぎり屋根の建物。今は繊維工場ではなく物置として使われている=愛知県一宮市で

 名鉄尾西線の沿線には、のこぎり屋根が多い。

 繊維工場の特徴。愛知県一宮市の玉ノ井駅から徒歩2分、創業106年の葛利(くずり)毛織工業の工場も、のこぎり屋根だ。傾斜が急な方が北向きで窓がある。直射日光が入らず、光量の時間変動が少ない。糸や布の検品に適しているという。「蛍光灯だと黄色く見えることがある。本当の色は、自然光でこそ見える」と四代目、葛谷(くずや)聡さん(44)は言う。

 玉ノ井と弥富を結ぶ尾西線にはかつて、貨物列車も走った。沿線の繊維工場向けに三重県の四日市港から関西線、弥富経由で原料の綿などを運び、できた商品を各地へ送った。

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 戦後、機械でガチャンと織れば万の金がもうかる「ガチャマン景気」に沸いた。やがて安い海外産に押され、一帯の事業所は1980年代の約2割に。のこぎり屋根の空き家が増えた。

 逆境久しいが、葛利毛織工業は海外高級ブランドに布を納める。命綱は品質。北窓の明かりの下、職人たちができあがった商品を手に取り、凝視していた。

 文 ・清水裕介
 写真・浅井 慶

名鉄尾西線  弥富から名鉄一宮を経て玉ノ井に至る。30.9キロで全22駅。全線を直通運転する列車はない。1898(明治31)年に弥富−津島(津島市)間で開業した尾西鉄道が前身。徐々に延伸し、1918(大正7)年には、玉ノ井の先の木曽川港まで開通した。25(大正14)年に名鉄が吸収合併。51(昭和26)年から、現在の弥富−玉ノ井間で運行している。

繊維産業が盛んな尾州を走る名鉄尾西線(動画)

 

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