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「いわきだるま」を見つめる高橋工房の高橋聡一郎さん=福島県いわき市で

 縁起物の「いわきだるま」。顔を縁取る群青色は、福島県いわき市に広がる太平洋の色という。常磐線いわき駅から徒歩十数分の高橋工房で、三代目の高橋謙一郎さん(71)、妻淳子さん(66)、長男聡一郎さん(38)が毎年2500個を作る。

 創業100年。店の看板商品は、端午の節句に飾る伝統工芸品「いわき絵のぼり」だが、制作に忙しいのは春のみだ。閑散期の収入源にと、ダルマを作り始めた。

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 初代の故・与平さんは、車がなかったため、ダルマを積んだかごをてんびん棒で担ぎ、常磐線に乗った。湯本や小名浜などに立つダルマ市で売った。験を担ぐ漁師がお得意さんだった。

 東日本大震災の翌年の2012年1月、謙一郎さんは例年通り、小名浜の市に出店した。原発事故を受け、漁師は漁を自粛していた。おそらく売れないと思ったが、「ダルマのおかげで、家は津波を免れたよ」と次々と買ってくれた。

 「ダルマは、人々の心の支えになれる」

 そう信じて、これからも作り続ける。

 文 ・池内 琢
 写真・今泉慶太

JR常磐線 日暮里(東京都荒川区)と岩沼(宮城県岩沼市)を結ぶ343.1キロで、1898(明治31)年に全線開通。2011年3月の東日本大震災では福島、宮城両県内などの各地で不通になった。事故があった東京電力福島第一原発に近い広野(福島県広野町)−原ノ町(同県南相馬市)間では14年以降、区間ごとに順次、運転を再開したが、現在も富岡(同県富岡町)−浪江(同県浪江町)間が不通。2020年3月までの運転再開を目指す。

復興に向けて歩む人々の姿を追う 福島、宮城両県の常磐線(動画)

 

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