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常磐線の富岡駅を出発した列車。線路沿いに積まれた除染袋が朝の光に染まった =福島県富岡町で

 福島県楢葉町の本田てる子さん(69)の自宅は、JR常磐線竜田駅から約100メートル。時に電車に乗り、30分かけて同県いわき市に行く。買い物や通院が目的。「常磐線がなければ、故郷には戻れなかった」と言う。

 地元の高校を卒業後、東京で働いた。定年退職し、母イシ子さん(98)が一人で暮らす実家に戻った半年後、東日本大震災が発生。自宅から約15キロの東京電力福島第一原発で事故が起き、母と一緒にいわきで避難生活を送った。

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 楢葉に戻ったのは昨夏。避難指示が解除され、母が「帰りたい」と願ったためだが、常磐線が竜田以南で運転を再開していたことが背中を押した。電車が便利な東京暮らしが長く、運転免許は持っていない。

 あちこちに、放射能で汚れた土などを入れた除染袋が山積みになっている。気分は少しめいるが、住民の帰還も進み、竜田駅前で見かける人が増えてきた。

 時々、思い出したように「ありがとうね」と言ってくれる母。この地で二人、穏やかに暮らしていきたい。

 文 ・池内 琢
 写真・今泉慶太

JR常磐線 日暮里(東京都荒川区)と岩沼(宮城県岩沼市)を結ぶ343.1キロで、1898(明治31)年に全線開通。2011年3月の東日本大震災では福島、宮城両県内などの各地で不通になった。事故があった東京電力福島第一原発に近い広野(福島県広野町)−原ノ町(同県南相馬市)間では14年以降、区間ごとに順次、運転を再開したが、現在も富岡(同県富岡町)−浪江(同県浪江町)間が不通。2020年3月までの運転再開を目指す。

復興に向けて歩む人々の姿を追う 福島、宮城両県の常磐線(動画)

 

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