トップ > 出発進行 > <5>3世代 通学の思い出

ここから本文

<5>3世代 通学の思い出<< 出発進行TOPへ

写真

列車を待つホームに降り積もった雪で遊ぶ相生小の児童たち。駅構内に元気な声が響き渡る=岐阜県郡上市の郡上八幡駅で

 岐阜県郡上市の長良川鉄道・郡上八幡駅。午前8時前、ランドセルを背負った十数人の子が列車に乗りこんだ。隣の相生駅そばの相生小まで通う。高坂柚奈(こうさかゆな)さん(3年)、美緒さん(1年)姉妹の姿もあった。自宅は郡上八幡駅の近く。父和宏さん(45)、祖父耕平さん(81)もかつて、列車で小学校に通った。

 耕平さんは1943(昭和18)年、前身の相生国民学校に入学。当時は蒸気機関車(SL)が走っていた。口にできる飯は白飯でなく雑炊。弁当箱に詰められず、昼はいったん家に戻る。往復の汽車を「雑炊列車」と呼んでいた。郡上八幡駅では出征兵士を見送った。

写真

 70数年たった今、沿線は人口減に悩む。長良川鉄道は赤字。路線維持は容易でないが、耕平さんは「子どもたちが守ってくれる」と信じる。通学で親しんだ鉄道。大人になっても、大切に思ってくれるはずだ。

 冬の朝。耕平さんはいつものように玄関先に立った。白い息を吐いて駅に向かう孫たちに声をかけた。

 「いってらっしゃい」

 文・中野祐紀
 写真・今泉慶太

長良川鉄道 美濃太田(岐阜県美濃加茂市)−北濃(郡上市)間の第3セクター鉄道。この区間の開通は旧鉄道省時代の1934(昭和9)年で、越美南線と呼ばれた。旧国鉄時代を経て86年に3セク化。72.1キロで全38駅。

岐阜県の清流、長良川沿いを走る長良川鉄道(動画)

 

この記事を印刷する

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索