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しんしんと雪が降る中、長良川沿いを走る列車=岐阜県郡上市の長良川鉄道・深戸−相生間で

 長良川鉄道の列車は「客のトイレ」のために、遅れることがある。

 雪深い奥美濃に至る70キロ超の路線だが、車両に便所はない。客は途中駅でいったん降りて用を足すが、出発時刻までに列車に戻れないことが、ままあるのだ。

 岐阜県郡上市の郡上八幡駅に詰めながら、すべての駅を統括する総括駅長、遠藤喜之さん(59)が語る。

 「お客さんは運転士に『時間になったら、行っちゃって』と言ってトイレに駆け込むのだけど、そういうわけにもいかない。次の列車はたいてい、1〜2時間先だから」

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 無人駅が多く、トイレの一部は、地元住民がボランティアで掃除している。客の多くは、運転士や駅員と顔なじみだ。

 ある運転士が「久々に見かける顔だなあ」と思ったら、春まで沿線の高校に列車通学していた女の子。「帰省しました。今は大学生です」と頭を下げた。

 遠藤さんは胸を張る。

 「ウチには都会の鉄道にはない、あったかさがあるんや」

 文・中野祐紀
 写真・今泉慶太

長良川鉄道 美濃太田(岐阜県美濃加茂市)−北濃(郡上市)間の第3セクター鉄道。この区間の開通は旧鉄道省時代の1934(昭和9)年で、越美南線と呼ばれた。旧国鉄時代を経て86年に3セク化。72.1キロで全38駅。

岐阜県の清流、長良川沿いを走る長良川鉄道(動画)

 

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